日々、観察することが大事。
自分と植物との相性もある
植物をリビングダイニングに、似たもの同士でまとめて置くのは世話がしやすいようにするためです。そして、植物を自分がいつも過ごしている場所に置くことで、その様子を常に観察できるようにしています(単純に植物を見ていたいというのもありますが)。
植物の些細な変化に気づけたら、植物が何を欲しているのか、だんだんとわかるようになります!
新芽が出てきたとか、子株ができたなどのうれしい変化はもちろん、葉の色が一部変わったとか、クモの巣みたいな糸が張っている(=ハダニがいる)などの異変も、毎日、植物をよく見ているから気づくこと。
植物にいい変化があったら、肥料を与えたり、株分けをしたりする時期に来たなと考えます。異変を発見したら原因を探して、大きなダメージになる前に対処することもできます。
毎日ただ水やりをするだけではダメ。 僕が「観察が大事」といっているのは、葉の裏や幹、土の表面などもじっくり見て、いつもとの違いに気づくことができれば、植物に必要なものが何か、わかってくるからです。
枯らしてもいい。それだって育てる楽しみ
とはいっても、どんなに気をつけていても枯れてしまうことがあります。原因もわからず急に枯れたり、じわじわと枯れていったり…。そういうときは、これまでどんな世話や管理をしていたのかを見直して、次はこうしてみよう、ここを変えてみよう、と試行錯誤。それも植物を育てる楽しみです。
タネから育てるとよくわかるのですが、同じ世話をしてもしっかり大きく育つものと、ひょろひょろして小さいものと個体差があります。これはもう、タネがもっている素質としかいえません。
もともと健康な株は、その後もきちんと世話をしてあげれば元気に育ちます。だから植物を買うときは「元気な株」「生育がいい株」を買いましょうといわれるのです。それでもなぜか枯れてしまう、元気がなくなることも。最後は植物と自分との「相性」の問題だと思います。同じように育てても違いが出てきます。
植物との相性の良し悪し、得意不得意は、僕にだってあります。育てていて相性がいいなと思うのは、アガベとフィカス。反対に、カラテア系の植物とは相性がよくない(悪いとはいいたくない)かもしれません。
やっぱり、育ててみないと植物との相性はわかりません。好きなら片思いだっていい。まずは自分が好きだと思う植物から育ててみましょう。
枯れない理由
異国の地の植物との出合いはそれだけで奇跡。何より自分が楽しむこと!
僕がとても大切にしているわが家の御神木のグラキリス
盆栽のようにも見えるこの植物は、コーデックス(塊根植物)という種類の多肉植物。佇まいがカッコよすぎる「パキポディウム・グラキリス」は、わが家の植物で過去最高額の御神木。タネから育てている手前の小さなグラキリスに、こんなふうに丸く大きくなれ〜と念を送っています。右奥の細い木のような「センナ」はマメ科の灌木(低木)系塊根植物です。
タネから育てたホリダは2年くらいでこの大きさに
僕の一番のお気に入りは、タネをまいてイチから育てた 「アガベ・ホリダ」。特に生育がよくて、 形がいいものを選んで約2年育ててこの大きさになりました。いまは、マレーシアの作家が作ったとっておきの鉢に植えかえています。
誰しも植物との相性の良し悪し、得意不得意もある!
カラテア系は実はちょっと苦手。僕は斑入りの植物が好きだから、カラテア(右:トリオスター、 左:オルビフォリア)も好き。だけど、育てるといつも、なんとなく元気がなくなってしまうのが悩み。
僕はアガベと好相性。株分けでも実生(タネ)でもどんどん増える。株分けはその株のクローンを作り出すイメージ。実生は、それぞれに個性があるので、親とまったく同じようにならないのがおもしろいところ。
【著者プロフィール】
かい
園芸インストラクター。農業高校時代から園芸に親しみ、現在も農業関係の仕事に従事。引っ越しをきっかけに観葉植物を購入、会社員として多忙な生活を送りながら、これまで40種類・200株以上を育てている。2021年10月より、自らの経験を基に観葉植物の育て方や楽しみ方をInstagramで発信。毎日寄せられる観葉植物についての相談に丁寧に回答、解決に導いている。
著=かい/『観葉植物男子 会社員が200株と暮らしてわかった、枯らさないコツ』