ドラマ『冬のソナタ』日本上陸から20年!韓国エンタメの起源は2003年!?【古家正亨のBEATS of KOREA】
여러분! 안녕하세요? 皆さん! こんにちは。
古家正亨です。
はじまりました『BEATS of KOREA』。僕、古家正亨が、四半世紀に渡って関わってきた、お隣の国「韓国」のエンタテインメントの鼓動……「ビート(Beat)」、その魅力を紹介していきますよ。
あ、そうそう、その前に、僕が何者かを簡単に説明しておく必要がありますよね?
名前は古家正亨(ふるや まさゆき)。よく「落語家さんですか?」って言われるんですけど、亨という字を、亭と読み違える人が多いので、そう思われるのかも知れません。
当然、お師匠さんはおりません……。
ただ、確かに、簡単に読んではもらえない名前なので、「改名した方がいいのでは?」と何度も提案されましたが、せっかく親からもらった名前なので、そのまま使っています。でも現場では、今でもよく漢字を間違えられますし、名前の部分になると「ふるや 〇×△※さん」ってごまかされることも、しばしば……。
そんな僕ですが、運あって大学3年生の時にラジオDJデビューし、その後カナダ、韓国への留学を経て、2000年から、韓国のエンタメに関わる仕事をしています。
2003年にソウルで行われたペ・ヨンジュンさんのファンミーティングの司会以降、韓流・K‐POPのイベントのMCや、テレビ・ラジオでその魅力を紹介したり、本を書いたりと、これまでの人生、韓国のことを中心に、歩んできた感じです。なので、人は僕のことをよく「日本におけるK‐POPのパイオニア」とか「韓国エンタメの伝道師」などと呼んでくれるのですが、たまたま、そういうことをしている人が少なかった時代に、ただ好きで紹介していただけなので、ありがたいとは思いますが、そう言われると、未だにくすぐったいと言えばいいでしょうか。自分ではそう思えないんですよね。
오늘도 후루야 마사유키와 함께 해주세요!(今日も古家正亨とお付き合いください!)
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2003年にドラマ『冬のソナタ』が日本上陸を果たしてから20年が過ぎました。
とは言っても韓国のエンタテインメントの日本上陸でいうと、正確にはもっと前から。なので、その起源をどこに置くのかは、何をもって『韓国のエンタテインメント』の上陸と定義するのかによって考え方も大きく変わってくるので、ここではあえて2003年で統一していきたいと思います。
というのも、映画『シュリ』のヒットやBoAさんの日本デビューはそれ以前の話でもあるので……。
とにかく韓流という言葉が日本で定着し始めたのは、2003年からであることは間違いありません。
そんな20年前の韓国の音楽シーンって、どんな感じだったのか……。気になりませんか?
そこで、ここでは20年前、つまり2003年の韓国の音楽シーンと2023年のそれとを比較して、この20年でどんな動きがあったのかを調べてみたいと思います。
ちなみに、2002年は、サッカーワールドカップ日韓共催の年だったこともあり、両国で一時的に、それぞれの国のエンタテインメントに注目が集まった1年となり、マスメディアでも、かなりその情報が取り上げられましたが、ワールドカップが終わった瞬間、まるで引き潮のようにサーっと、メディアで韓国関連の情報が取り上げられなくなりました。
その直後に、まさか「韓流ブーム」が起こるなんて、誰が想像できたでしょうか。
そんな2003年の韓国音楽界の話題といえば、「イ・ヒョリの大ブレイク」に尽きると思います。
イ・ヒョリさんって、ご存じですか? 多分、今の韓流・K‐POPファンには、バラエティ番組『ヒョリの民宿』の女の人っていうイメージが強いかもしれませんね。
彼女の名前が冠された番組や企画も多いので、そちらでご存じの方も多いかもしれません。女性アイドルグループ第1世代の人気者だった「Fin.K.L(韓国語的な発音はピンクル)」のメンバーで、その中でも最も人気があった存在です。
「Fin.K.L」って活動当時は清楚なイメージが強かったんですが、ソロ活動で彼女が打ち出したコンセプトは、日焼けした小麦色の肌に、安室奈美恵さんを意識したファッションに身を包み、ジェニファー・ロペスさんを意識したダンスとミュージック・ビデオで、クール&セクシーを標榜したもので、世の男性たちを虜にしました。
彼女はこのイメージチェンジの成功をきっかけに、セックス・シンボルとして、そしてポップ・アイコンとして圧倒的な人気を誇ることになったんです。ただ、タレントとしての評価が高かった一方で、音楽性に対する評価は低く、音盤売り上げは14万枚で年間15位(以下売り上げ順位で記載のないものは全て、韓国音盤産業協会調べ)という結果に終わってしまいました。
対照的だったのが、女性ヴォーカルグループ「BIG MAMA」のデビューと大ヒットです。
韓国で「文化大統領」と言われ、90年代、社会現象を巻き起こす人気を得たグループ「ソテジ・ワ・アイドゥル」出身で、後にBIGBANGや2NE1、BLACKPINKを誕生させた、YGエンタテインメント(以下YG)創業者のヤン・ヒョンソクさんが、「絶対に整形手術をしないことが条件」として4人の実力派
女性シンガーを集め、R&Bヴォーカルグループとしてデビューさせたのが彼女たちでした。
外見至上主義の韓国芸能界で、音楽性だけで勝負した結果、意外にも高い評価を得て、韓国でも音楽だけで勝負できるということを証明した存在として、長く語り継がれています。特に、彼女たちのデビュー曲「Break Away」のミュージック・ビデオは、クラブで歌う美しい4名の歌姫たちが、じつは口パクで、実際には、その後ろでBIG MAMAのメンバーが歌っているという姿を捉えた、韓国芸能界の内情を如実にあらわした傑作として、この年の「m・net music video festival(現MAMA〔Mnet Asian Music Awards〕)で最優秀ミュージック・ビデオ作品賞を受賞しています。
多分、今の時代ではこのような作品は差別的だとして、制作できないのではないでしょうか。まさに時代を反映した作品だと思います。
YGといえば、この年、後にピ(RAIN)さんと共に、男性ソロ歌手の時代を築くことになったSE7ENさんをデビューさせ、新人賞を総なめすることに成功しています。デビューアルバムも年間売り上げ
10位を記録して、華々しいデビューを飾りました。
また、2002年のサッカーワールドカップ日韓共催の際、日韓の人気アーティストによって結成されたユニット、「VOICES OF KOREA/ JAPAN」のメンバーとして韓国側から参加した「BROWN EYES」が解散後、メンバーの1人だったナオルさんが新たに立ち上げた4人組ヴォーカルグループ「BROWN EYED SOUL」の第1集(韓国ではアルバムのカウントの際、第○集という言い方をしています)もヒットを記録。フィソンさんや先に挙げたSE7ENさん、BIG MAMAを含め、当時はR&Bが、ジャンルとしては韓国の音楽市場を席巻していたんです。
一方で、ベテランが力を発揮した年でもありました。「韓国のスティービー・ワンダー」と言われ、
95年にリリースされた3rdアルバムが(海賊版を含むと)500万枚以上売ったとされる、国民歌手でシンガーソングライターのキム・ゴンモさんの8thアルバム『Hestory』が52万枚も売れ、年間セールス1位を記録。また「バラードの王子」と言われた男性シンガー、チョ・ソンモさんの5thアルバム『歌人』が約40万枚売って年間3位に。
ちなみにこのアルバムには、98年の日本の大衆文化開放前から韓国で絶大な人気を誇っていた「X JAPAN」のYOSHIKIさんが曲を書き下ろし、チョ・ソンモさん自身が作詞を手掛けた「君だけだから」という今となっては伝説的な曲も収録されています。
さらにZARDの「GOODDAY」をカヴァーした「GOODBYE」がタイトル曲として話題となった4.5thアルバム『Sweet Holiday in Lombok』が22万枚を売り年間9位、5thアルバム『ThisTime』を43万枚売り年間2位と、同じ年に2枚のアルバムを年間トップ10に送り込んだ、「バラードの女王」と呼ばれた女性シンガー、イ・スヨンさんが「不況知らずの歌手」と言われ、安定的な人気を誇っていました。
その後、彼女は翌2004年に日本進出を果たしましたが、「最後のわがまま」というシングル1枚をリリースしただけで、日本活動は終了してしまいました……。
当時、いろいろとその現場に立ち会っていたので、思い出しただけで胸が痛いです……。
このように、R&B以外で言うと、いわゆる「韓国バラード」と言われる歌謡曲と、日本で言う演歌(韓国的に言うとトロット)の中間的なジャンルの楽曲が、音楽市場を牽引する存在になっていたんです。
古家正亨(ふるや まさゆき)PROFILE
1974年北海道出身。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。専門は韓国大衆文化、日韓文化比較論。2000年以降、ラジオ、テレビなどのマスメディアを通じて、日本における韓国大衆文化の普及に努め、韓国政府より文化体育観光部長官褒章を受章。
また年200回以上の韓流・K-POPイベントのMCを務め、スターとファンの橋渡し役を20 年以上に渡って続けている。現在もNHK R1 「古家正亨のPOP★A」、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」、FMノースウェーブ「Colors Of Korea」、テレビ愛知「古家正亨の韓流クラス」など、ラジオ・テレビのレギュラー番組を通じて、韓国大衆文化の魅力を紹介している。
主な著書に『K-POPバックステージパス』(イースト・プレス刊)、『DiscCollection K-POP』(シンコーミュージック刊)など多数。
2024年8月26日(月)には自身のファンミーティング「古家x藤原ファンフェスタ スペシャルゲスト超特急カイ」を飛行船シアター (東京都)にて開催!
※本記事は古家正亨著の書籍『BEATS of KOREA いま伝えたいヒットメイカーの言葉たち』から一部改訂・編集しました。
【文=古家正亨】
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