動画は手桶の中にグッと近づくようにズームアップされていきます。柄杓のほかに、何かが入っているようです。
なんと手桶の中では、鳥のヒナがギュッと肩を寄せ合っていました!
親鳥が安全な場所であると感じて、手桶の中に巣を作り子育てをしているようです。
軒下などの見える場所よりも手桶は高さもあって目につきにくい場所なので、ほかの生き物に狙われづらいのかもしれません。
手桶に入れた水を柄杓で墓石にかけるのは「故人への飲み水」「墓石をきれいにする」といった意味合いがあります。そんな手桶や柄杓が新たな生命を育む場所として使われているのは、きっと「御先祖もにっこり」していることでしょう。
手桶に巣を作り、身を寄せ合っている鳥の姿を収めたポストに「ぎゅっと集まっているのがかわいい」「微笑ましい光景」などのコメントが寄せられ、7.9万いいねを集めました。
巣を見つけた時の様子は?
なかなか見られることのない様子を収めたポストへの反響について、野原の筏(@par_yuki)さんにお話を伺いました。
ーいいねがたくさんついてバズっていましたが、反響についてはいかがでしたか?
野原の筏さん「いつも通り何の気なしに投稿した生き物ポストだったので、ここまで反響があるとは思わず驚きました。虫や植物はほぼのびないので……。」
ーバズったことについて、周囲の方はどんな反応をされていますか?
野原の筏さん「友人は投稿したばかりの私のポストを見て、これは万バズすると確信していたらしく、ドヤってました笑」
ーポストへの印象的なコメントや反響があれば教えてください!
野原の筏さん「文章のセンスを褒められたことですかね。」
鳥の巣を見つけたときの様子をさらに詳しく伺いました。
ー鳥の巣はお墓参り中に見つけられたのでしょうか?
野原の筏さん「自然公園を兼ねた霊園を散歩していたときです。」
ー鳥の巣を見つけた時のお気持ちをお聞かせください。
野原の筏さん「鳴き声からヒナがいることはわかったのですが、中をのぞき込むと想像より多くの個体がミチミチに詰まっていてほっこりしました。」
ーその後、管理人さんに伝え戻されたとのことですが、鳥さんたちがどうなったかご存知でしょうか?
野原の筏さん「管理人さんは見守ると仰ってました。後日様子を見に行くと巣材のみ残っていました。巣立ったかヘビなどに捕食されたかは分かりません。」
手桶の中に作った巣がヒナの成長で手狭になり、生活の拠点を移したことを願うばかりです……!
まだある!なかなか見られない生き物の様子
野原の筏さんは普段からいろいろなところでフィールドワークをされていて、その様子をXに投稿しています。とくに心に残っている思い出を伺ったところ、「選び難いですが、琵琶湖の豊かな淡水魚相は強く印象に残ってます。」とのこと。
琵琶湖の様子を伝える野原の筏さんのポストには、見たことのない生き物がいっぱい!その土地にしか生息していない生き物の姿が見られるのはとても貴重ですね。
野原の筏さんは、ほかにも日常で見かけた植物や昆虫の様子を投稿しています。
たとえば、デンジソウ。クローバーのような見た目をしている水生のシダ植物です。水田周辺でよく見られる植物でしたが、農薬の使用や水路の整備などにより現在では絶滅危惧種とされています。
ゾウムシの姿もありました。ゾウムシは口先がゾウのように長いためにその名がついた昆虫で、日本には約1,400種類もの種類がいるようです。植物にうまくまぎれているので、パッと見ただけではどこにゾウムシがいるのかわかりません……!
土を掘っていたら出てきたというセミの幼虫の姿も。木に止まっているセミの成虫は夏になるとよく見かけますが、幼虫はなかなか見る機会がないので貴重ですね。
サイカブトの仲間と思われる昆虫の姿もありました。よく見るカブトムシとは、角の形や体つきが異なります。日本ではなかなか見ることのできない種類のカブトムシのようです。
野原の筏さんのXを見ていると、改めて私たちはたくさんの生き物と一緒に共生しているのだと感じます。植物や昆虫、自然が好きな方は、ぜひ野原の筏さんのXをチェックしてみてください。
文=武川彩香