親の安全と子どもの生活を守る
将来的には「高齢者施設」への入居を視野に
お笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんと、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの会話形式でわかりやすく「介護」のリアルと乗り切るコツをお送りします。
CHECK!
・要介護度が上がったら親は1人で暮らせない
・親の安全のためにも高齢者施設への入居を考えておく
安藤なつ(以下、安藤):親はやっぱり、最期まで自分の家で暮らしたい!と言うことが多いような気がしますが、介護が必要になってきて、子どもが離れて暮らしていてもずっと家で暮らすことって現実的にできるものでしょうか?
太田差惠子(以下、太田):「絶対にできる・できない」は、皆さんの事情によるので断言はできません。介護を行った場所を調査したデータによると(下図)、要介護1は76.4%、要介護2は68.4%の人が、在宅での介護をしていますが、要介護4だと41.5%、要介護5だと40.4%と在宅介護が少なくなって、半分以上の人が施設へ入居しているようです。
安藤:やっぱり、介護の必要度合いが高くなってくると、自宅で介護をするのは難しくなるんですね。
太田:1人で食事を取れないとか、火の始末ができないなどになると、在宅での生活を続けることが厳しくなることもあります。親が安全に暮らしていくことを考えると、将来的には施設への入居は、視野に入れておくほうがよいと思います。
安藤:もし親が嫌がった場合は、説得するのは、なかなか大変そうですよね。
太田:親に嫌がられてしまうと、なんだか悪いことをしているような気分になるのは当然です。でも、しつこいようですが、親も子どもも105歳まで生きる可能性があることを忘れないでください。
親の介護に全力投球してやっと終わったところで、自分自身の老後は待ってはくれません。それなら、親が安全に暮らせる施設を探して、快適に過ごせるようにサポートするほうが、子どもの人生を守ることができますし、より現実的なプランではないでしょうか。
安藤:そうですね。でもどんな施設があるのか、どこで探せばいいのかまったくわかりません!
太田:施設は、さまざまな種類があり、受けられるサービスもそれぞれです。まずは、いつかは、高齢者施設への入居も検討しなくてはいけなくなることが多いと心に留めておいてください。
安藤:わかりました! 親の施設探しのサポートを全力でできるように知識を備えるようにします。
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介護については「自分が何とかしなければ」と孤独になってしまいがち。
でも実はプロに頼ったり、悩みをシェアすることで最新の情報が得られたり、心や金銭的な負担が軽くなることも。ひとりで抱えこまず、できるだけ周りを頼りたいものですね。
安藤なつ(メイプル超合金)
1981年1月31日生まれ。東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。2023年介護福祉士の国家試験に合格。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GO プロジェクト』の副団長を務める。
太田差惠子(介護・暮らしジャーナリスト)
京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材 。「遠距離介護」「高齢者施設 」「仕事と介護の両立」などをテーマに執筆や講演を行っている。AFP(日本FP協会認定)資格を持ち、「介護とお金」についても詳しい。「Yahoo! ニュース エキスパート」オーサーなどでも活躍中。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)など著書多数。
※本記事の情報は2024年6月現在のものです。法令や条例等の改正などにより、内容が変更になる場合があります。
著=安藤なつ(メイプル超合金)、太田差惠子/『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』