介護はライフステージのひとつ
子どもの「お金」と「時間」は別に確保しよう!
CHECK!
・親も子どもも100歳くらいまで生きると想定する
・親の介護は親のお金で
お笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんと、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの会話形式でわかりやすく「介護」のリアルと乗り切るコツをお送りします。
安藤なつ(以下、安藤):自分の子どもが成人して一段落ついたとほっとした頃、親の様子がなんとなくおかしい、という人が多くなりますよね。
太田差惠子(以下、太田):そうなんです。子育ての手が離れた頃に、親から「ちょっと転んだ」「腰が痛い」など、ちょくちょく呼ばれることが増えてきます。何でも、「はいはい」と聞いてしまうと、子ども自身の身がもたないですよ。
安藤:でも、今まで育ててくれた親には、できる限りのことはしてあげたいと思うのは当然な気もしますが……。
太田:いえいえ、そこでいいかっこうをするのは、禁物です。たとえば、自宅から実家まで、片道1時間とします。毎週実家に通ったら往復で2時間、1年に換算すると、100時間以上です。もし、子どもが50歳、親が80歳だとすると、「人生100年時代」といいますが、105歳まで生きるケースを想定すれば、これがあと25年は続くんですよ。
安藤:えええ!!! 25年も。しかも25年後、子どもは75歳だ。とても体がもちませんね。
太田:交通費だって片道1000円なら往復2000円。1年で約10万円。25年で250万円ですよ。
安藤:250万円って……新車1台分より高いじゃないですか!!! バカにならないですね……。
太田:それに、子どもだって、105歳まで生きるかもしれないんです。その老後資金の250万円が、親のための交通費に飛んでしまうんですよ。子どもが老後破綻になることだってなくはないです。
安藤:まさに、親子共倒れ……。
太田:介護は「就職」「結婚」「出産」と同じライフステージのひとつと考えて、親には、お金も気持ちも自立してもらって子どもはドライに割り切ることが大切なんです。
安藤:ライフステージのひとつ。考えたこともなかった。でもやっぱり親のことを見捨てるなんてできない……。
太田:そこで、上手に活用したいのが「介護保険サービス」や「自治体が独自に行うサービス」です。美味しいご飯が食べたいならレストランに行くように、プロのヘルパーさんや、地域のボランティアサービスをどしどし利用しましょう。親の介護をきっちりサポートしてくれます。
安藤:なるほど! 親の介護は、親のお金でプロのサービスを使い倒すってことですね。
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介護については「自分が何とかしなければ」と孤独になってしまいがち。
でも実はプロに頼ったり、悩みをシェアすることで最新の情報が得られたり、心や金銭的な負担が軽くなることも。ひとりで抱えこまず、できるだけ周りを頼りたいものですね。
安藤なつ(メイプル超合金)
1981年1月31日生まれ。東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。2023年介護福祉士の国家試験に合格。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GO プロジェクト』の副団長を務める。
太田差惠子(介護・暮らしジャーナリスト)
京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材 。「遠距離介護」「高齢者施設 」「仕事と介護の両立」などをテーマに執筆や講演を行っている。AFP(日本FP協会認定)資格を持ち、「介護とお金」についても詳しい。「Yahoo! ニュース エキスパート」オーサーなどでも活躍中。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)など著書多数。
※本記事の情報は2024年6月現在のものです。法令や条例等の改正などにより、内容が変更になる場合があります。
著=安藤なつ(メイプル超合金)、太田差惠子/『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』