家の前の花が強盗を撃退!? 「強盗」と「特殊詐欺」をきっちり防ぐ身近で意外な対策とは
高齢者を狙う、恐ろしい犯罪。最近増えている2大犯罪は「強盗」と「特殊詐欺」だといわれていますが、実はどちらも適切な対策を行うことで防ぐことができるんです。
今回は、強盗と特殊詐欺の防ぎ方を、防犯アドバイザーに聞きました。犯罪の特徴をしっかり確認し、親と情報を共有。被害を未然に防ぎましょう!
* * *
▶︎教えてくれたのは
京師美佳さん
防犯アドバイザー、犯罪予知アナリスト、防犯設備士。セキュリティ企業、防犯ガラスメーカー勤務を経て独立。テレビや雑誌などを通じて、住まいの防犯からネット関連、子どもの防犯など、幅広く啓もう活動を行なっている。著書に『60歳から絶対やるべき防犯の基本』(主婦の友社) ほか。
実家の狙われやすさは? 強盗が狙う家の特徴をチェック
こんな家が狙われやすい!
□庭など家の敷地が荒れている
□隣家との距離が離れている
□高齢者だけの家庭
若者に比べて力の弱い高齢者が住む家は、強盗にとって狙いやすい家。「また、庭の雑草が伸びていたり、管理されていない印象を与える家に対して、強盗犯は『この家の住人はズボラだから防犯対策はしていないだろう』と判断して標的に。住環境を整える、防犯アイテムを取り入れるなどの対策を行ないましょう。強盗は音、光、時間、人の目を嫌います。この4つを意識して対策すると、防犯効果が高まりますよ」
音、光、時間、人の目。強盗に嫌われる4つのポイントで撃退
音を出すものを置く
窓は強盗の侵入口。窓があいたときや、大きな衝撃を感知したときに大音量で鳴るアラームを設置しましょう。「防犯アラームは、音量が大事。パトカーのサイレンと同程度の音量、100デシベル以上のものを選んで」
照明を取り入れる
強盗は人目を避けたいので、家の外にセンサーライトを設置するのも有効。「光量は300ルーメン以上の明るいものを。センサーライトには設置場所を問わないソーラー充電タイプや、点灯と点滅を繰り返すタイプなどがあります」
時間稼ぎグッズを使う
家への侵入に5分以上かかると、約7割が侵入を諦めるというデータが。「侵入時間を稼ぐため、窓には350ミクロン以上の防犯フィルムを貼って強化。国の検査で防犯性能が認められた、CPマークのついたものなら安心です」
人の目を集める
「強盗が犯行を諦める一番の理由は、近所の人に見られること。つまり家に人の注目を集めれば、強盗に狙われなくなるというわけです」。イルミネーションを飾ったり、人の目の代わりとなる防犯カメラを取り付けるのも手。
えっ、これも有効? 強盗対策ができる意外なアイデア
家を強盗から守るため、そして親に防犯対策をすすめる際に役立つ、意外な方法をご紹介します。
家の前の「花」が犯罪を防いでくれるかも
強盗は、人に見られている場所では決して犯行に及ぶことはありません。
「防犯アイテムに頼らずに、『人の目を集める』ことができる対策の一つが、家に花を飾ること。玄関やベランダなどに鉢植えの花を設置すると、家の前を通る人の視線を集めることができます。ただし、枯れた植物があると狙われやすい家になるので注意して」
防犯対策に積極的でない親には「プレゼント」を
防犯対策に消極的な親には、「私が心配だから」ということばを添えて防犯グッズをプレゼントしてみては?
「『どうして防犯対策をしてくれないの⁉』などと怒ってしまうと、親のプライドが傷つく場合もあるので気をつけて。高齢者は機械の操作が苦手なことも多いので、防犯グッズの設置をサポートしてあげることも大切です」
手口は巧妙・複雑に。近年増えている特殊詐欺の種類とは
こんなものが増えています
□フィッシング詐欺
□ロマンス詐欺
□投資詐欺
□還付金詐欺
詐欺の中でも増えているのが、フィッシング詐欺と投資詐欺。
「前者はメールなどで銀行や宅配業者を模した偽サイトに誘導し、口座情報などをだまし取る犯罪。後者は著名人の名前や写真を使ったうその広告、電話やメッセージで投資に勧誘し、金銭を振り込ませる詐欺です。どちらの場合も、知らない相手からの連絡を直接受けないことが一番の対策。詐欺対策アプリや迷惑電話防止機能つきの電話機の導入が効果的です」
アプリや迷惑電話防止機能を導入して特殊詐欺犯罪を未然に防ぐ
詐欺対策用電話機
迷惑電話防止機能つき電話機には、かけてきた相手に通話を録音する旨の警告メッセージを流したり、通話内容を自動的に録音する機能が搭載。「犯罪者は声を残したくないため、これらの機能は詐欺を防止するために有効です」
詐欺対策アプリ
「Whoscall」は、電話帳に登録されていない電話番号を26億件のデータベースとAI技術を用いて識別。迷惑電話・SMSをブロックするアプリ。「スマートフォンにダウンロードするだけで、迷惑SMSを自動で振り分け、詐欺電話を事前に拒否してくれて安心。自分で設定するのが難しい親なら、子どもが設定してあげると◎」
親子のコミュニケーション
「ふだんから会話の多い家族なら、『最近こういう投資を始めてね』など、会話の中から犯罪を察知することができるはず」。電話やメールなどで日頃からコミュニケーションを取り、何でも話しやすい環境づくりを心がけましょう。
最近の詐欺犯罪は手が込んでいるらしい
詐欺の手口は、日々進化しています。新たな手法が次々に出現するため、常に情報のアップデートを行いましょう。
子や孫の動画でだます「ディープフェイク」
近年アメリカで発生している詐欺犯罪で最も多いのが、人物の画像や音声などを人工的に合成するAI処理技術「ディープフェイク」を使った詐欺。
「3秒以上の動画があれば家族そっくりの画像や音声が作れるため、子どもや孫に成りすますことも簡単。日本でもこれから増えてくるはずなので、安易にSNSに写真や動画をアップしないよう注意を」
ロマンス詐欺は半年かけてだましてくる
実は年配の女性にも多い、ロマンス詐欺の被害。「最初は警戒していても、犯行グループは半年、1年と時間をかけて人間関係を構築。恋愛感情を抱かせたうえでお金を振り込ませるため、防犯意識の高い人でもだまされてしまうんです。SNSで友達申請してくるアイドルや俳優、外国人パイロットなどは、全員ロマンス詐欺と疑って」
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強盗も特殊詐欺も、きちんと対策すればちゃんと防ぐことができます。ご両親に呼びかけ、ぜひ一緒に取り組んでくださいね。
イラスト/さかがわ成美 取材・文/恩田貴子
Information
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