【オデュッセウスとセイレーンなねこ】声で惑わせる魔物の噂。魅力的な誘いに若者は動揺!?/にゃんと!ねこむかしばなし(12)
作品の元となったお話の解説も!
神話や名作についても改めておさらいしながら楽しむ、ねこが加わった新たな展開の物語。
言わずと知れた数々の有名な物語にねこを融合させるのは、「ねことわざ」でおなじみのぱんだにあさん。童話や昔話にねこが加わるだけでひと味違った展開となり、悲劇の結末を迎えるお話ですらゆるくてキュートなお話に変貌します。登場人物たちがねこに絆される姿に、「まぁねこだから仕方がない」と思わず納得してしまうこと間違いなし!?
誰もが知っている古今東西の昔話やおとぎ話。そこにねこが登場したら…? というもしものエピソードを、ぜひお楽しみください。
※本記事はぱんだにあ著の書籍『にゃんと!ねこむかしばなし』から一部抜粋・編集しました。
◆オデュッセウスとセイレーンなねこ
◆元となったむかしばなし
オデュッセイア
昔、オデュッセウスという人が航海をしていたところ、セイレーンという人の頭に鳥の体を持つ怪物がいるという島の側を船が通過することになりました。セイレーンの歌を聞いた人は記憶がなくなってしまい、そのまま怪物の餌になってしまいます。
ですがオデュッセウスはその歌をどうにかして聴いてみたいと考えます。そこで自分以外の船員の耳をロウで塞ぎ、自分自身は船の帆に縛り付けて通過するという作戦を実行しました。
結果、オデュッセウスはセイレーンの歌声がする方向に進むのだと暴れたものの、何も聞こえていない船員がそのまま通過してくれたので事なきを得たのでした。
◆アルゴナウタイなねこ
◆元となったむかしばなし
アルゴナウタイ
アルゴナウタイはギリシア神話において翼の生えた黄金の羊を求めて航海をした英雄たちのことを指します。
様々な英雄がアルゴーという船に乗って旅をしたので、彼らを総称してアルゴーの船員という意味のアルゴナウタイと呼ばれたと言われています。船長であるイアーソーンは王位につかせてもらうという約束を王と交わし、4ヶ月にも及ぶ航海の末、黄金の羊を手に入れました。
しかし、王はイアーソーンが帰ってくるはずがないと思っていたため、約束は反故。イアーソーンは復讐を企て、それに成功するまではよかったのですが、その噂が広まったため彼は腫れ物扱いをされるようになり、そこからは何をしても上手くいかず、疲れ果てて亡くなったのでした。
◆フィンとディルムッドとねこ
◆元となったむかしばなし
英雄フィンとディルムッド
昔、ディルムッドという騎士がいました。ディルムッドは騎士として優秀な素質を持ち、忠義心に暑く、眉目秀麗かつ女性を虜にしてしまう魔法を妖精に授けられていました。
そんなディルムッドはある日、主君であるフィンの婚約者に惚れられ、そのまま恋に落ちてしまうのです。主君よりも恋人を優先したディルムッドはそのままフィンの元を逃げ出します。あのディルムッドが自分を裏切ったことに傷つき、フィンは激怒しましたが、数年後に許し、再び側に置きます。
その後、ディルムッドが瀕死の重傷を負った時、すぐに手当てをすれば助けられたものの、当時のことを思い出して躊躇してしまったフィンは、そのままディルムッドを死なせてしまったのでした。
著=ぱんだにあ/『にゃんと!ねこむかしばなし』
Information
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