「学校に行きたくない!」不登校や行き渋りの理由は聞かないほうがいい?
これまで普通に学校に行っていた子が、ある日突然「学校に行きたくない」と行き渋ったり、不登校になったら…。親はどうしたらいいか戸惑いますよね。
その理由が知りたくて、ついつい「なんで?」「どうして?」と聞いてしまいそうになるのが親心。
でも、なんだかつらそうにしている子どもを見ると、聞かないほうがいいのかも…と思ったり。本当のところ、親はどう対処するのがよいのでしょうか。親子問題専門の心理カウンセラーである矢部裕貴さんは、次のように教えてくださいます。
◆子どもは具体的に話せないことを知っておこう
親がまず分かっておきたいのは、子どもは具体的に話せないということ。小さな子ほど語彙力はなく、今自分に起こっている問題を言語化することができません。
親は理由が分かれば解決できるかもしれないと思って、原因追及とばかり子どもを問い詰めがちですが、うまく説明することができない子どもにしてみれば、尋問されているような気持ちになることも。
子どもはただでさえ、自分が学校に行けないことで親を困らせている、迷惑をかけていると苦しんでいます。
そんな状態で親からアレコレ聞かれてしまったら、ちゃんと説明できない自分をダメだと思ってしまい、ますます自分を責めてしまうかもしれません。
◆大事なのは「理由」ではなく、「子どもの気持ち」を聞くこと
では、親はどうすればいいかというと、「理由」を聞くのではなく、「子どもの気持ち」を聞くこと!
例えば、「どうして学校に行きたくないの?」の答えが「なんか嫌なの」だったら、「そうか、嫌なんだ。校門のところから嫌なの?」と、子どもの嫌という気持ちに共感して、寄り添ってあげましょう。
すると、段階的に「どうして嫌な気持ちになったのかな?」と聞けるようになるので、「そんなことがあったから嫌な気持ちになったんだね」と受け止めてあげます。
子どもが学校に行けない「理由」よりも、大事なのは子どもが言った「気持ちや思い」を親がちゃんと受け取ってあげることです。
◆受け容れないで行動したことはうまくいかない
子どもの気持ちを受け取ったら、次にしたいことは、それを「受け容れる」こと。「受け取る」と「受け容れる」は、似ているようで段階が違うからです。
例えば、うちの子は学校に行くのを嫌がる、と起こっている事実自体を見ることが「受け取る」です。「受け容れる」とは、うちの子は学校に行くことが嫌な状態なんだ、と今の子どもの状態を認めてあげること。
「受け容れる」の反対は「否定する」です。うちの子は学校に行くのを嫌がる、これじゃダメだと思って「否定する」のではなく、今そういう状態にいる子なんだな、と思うことが「受け容れる」。
受け容れないで行動したことはうまくいきません。拒絶からスタートすると全て拒絶されます。実はこれ、心の基本法則です。
◆土台は親子の信頼関係
また、親が話を聞こうとすると、子どもが小学生の場合はとっさにウソをつくことがあります。本当のことを言ったら、親にどう思われるか怖いからです。
親を怒らせたり、傷つけてしまうかもしれないし、自分が傷つくかもしれない。だから、親が納得するであろう、誰も傷つかない答えを口にする。それがウソになってしまいます。
でも、親子の信頼関係があれば子どもはウソをつきません。信頼関係がないから、ウソをつかなきゃいけない状況になっている。そういうコミュニケーションになってしまっているからです。
では、どうしたら親子の信頼関係が回復できるかというと、やはり子どもの気持ちと思いをよく聞いてあげること。
大切なのは、子どもの話を遮らずに最後までしっかり聞いてあげることです。
言葉にするのが苦手な子の場合、聞いているうちにもどかしくなって「こういうこと?」と途中で口出ししそうになるかもしれません。でも、それでは信頼関係を回復するどころか、ますます損なっていくばかり。
子どもの話を途中で遮らず、最後まで十分に聞いてあげるということは、子どもの気持ちと思いに寄り添ってあげるということです。これは小さな子どもも思春期の子どもも同じ。
すると、子どもは気持ちと思いに寄り添ってくれた親に対して、自分を受け容れてくれていると信頼を高め、本音が言えるようになったり、相談してくれるようになります。
不登校や行き渋りなど、学校に行けない子どもの気持ちを理解してあげたくても、なかなかうまくコミュニケーションがとれないことも。
そんなときのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
文=岸田直子
【著者プロフィール】
矢部裕貴
親子問題専門の心理カウンセラー/お母さんの学校 校長。15000人以上の親子のカウンセリングをする中で、悩みは才能に変わることを発見。「一人で悩むお母さんを0にする」をモットーに、お母さん向けのオンラインコミュニティ「お母さんの学校」を運営。
※本記事は矢部 裕貴著の書籍『学校に行けない子どもの気持ちと向き合う本 その子にあったオリジナルの未来を見つけよう』から一部抜粋・編集しました。
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