「学校に行きたくない」と言い続ける小5息子が心配です【小川大介先生の子育てよろず相談室セレクション】

小川先生の回答

思春期は自己主張が強くなる時期


「学校に行きたくない」と言われると、大人はどうしても「何かトラブルがあるんじゃないか?」と思ってしまいがちですよね。わかりやすい原因があったほうが納得しやすいのかもしれませんが、実際には必ずしもそうとは限りません。おそらく息子さんの場合も、わかりやすい原因がひとつあるというよりも、さまざまな感情が入り混じっての「つまらない」という発言に思えます。もちろんそこには思春期というものも関係しているでしょう。思春期というのは自己主張であり、息子さんも内面に抱えている思いを吐き出したいのだと思います。でも、今まであまり自己主張をするタイプではなかったため、うまく出し切れずにモヤモヤしている状態な気がします。

手がかからない子ほど、自分の内面を出すのが苦手


おそらく息子さんは、今まであまり手のかからないいい子だったのではないでしょうか。お子さんたちの年齢差からしても、息子さんが小学校低学年の頃というのは、下の子2人にとても手がかかる時期ですよね。なかなか息子さんの細かい気持ちに気づいてあげることが難しかったのではないかと思われます。ちゃんと振る舞える子だったからこそ、気づいてもらい損ねたことがちょっとずつたまっていったのかもしれませんね。手のかからない子の扱いをされていると、自分の内面を言わずに自己解決してしまうようになりやすいのですが、5年生となり感じとる部分が強まった今、それがしんどくなってきたのでしょう。でも自己主張に慣れていないため、「つまらない」という言葉でしか言い表せないのだと思います。ですから今必要なのは、その「つまらない」の心の奥にある気持ちを知ることです。

なぜつまらないかを知るには、好きなことの理解を深める必要がある


とはいえ、「何でつまらないの?」と、つまらないことについて説明してもらおうとしたところで、「つまらないものはつまらない」で終わってしまうでしょう。なぜなら、つまらないと思ってしまう原因は本人にもよくわからないからです。まずは本人の「好きなこと」についての話を聞き、本人がどういうことを求め、何に関心を覚えるのかという、そこの理解を先にしてあげましょう。

野球が好きということですので、野球のどういうところが面白いのかというのを、興味深そうに教えてもらうといいと思います。本人の気持ちが盛り上がったり、喜びなり楽しみなりを感じたりするポイントというのが見えてくると、逆に楽しみを感じにくいのはどんな時かという次の話を教えてもらう糸口にもなります。「あなたはこういうことが好きで、こういう時に喜びを感じるんだね。そういうあなたは学校の時間でいうと、どの時間が嬉しさや楽しさを感じにくいのかな?」というように、本人が感じ取っているところを振り返らせてあげましょう。そのためには、ものごとを観察し直すための目盛りを渡してあげる必要があり、それは自分の好きなものにしか存在しません。好きなことにワクワクするその1個1個の面白さを口に出させてあげて初めて、「だからこっちは面白くないんだ」という説明の言葉も手に入るのです。

「つまらない」の中身を分析する


そのような会話を通して、本人がどういうところに対して抵抗を覚えたり、しんどさを感じているのか、どんなシーンで気持ちがポジティブにならないのかなど、「つまらない」の中身をもうちょっと細かくつかんでいってあげたいですね。

校門をくぐった瞬間から憂鬱になるのか、嫌な気分になりやすい時間帯や授業があるのか、面白いことがないから嫌なのか、時間がただ過ぎるのを待っている感じが嫌なのか、本人が「つまらない」と言っているその中身を知ると、もしかしたら「つまらない」という言葉が適切ではないかもしれません。家庭科に関しても、「つまらない」のではなく、「うまくできないから恥ずかしい」のかもしれないし、女子たちがすごく盛り上がるから、居場所がない感じがするのかもしれませんよね。そうやって本人自身の、自分が感じていることを観察する目を育てててあげることで、モヤモヤした状態からも一歩抜け出せるはずです。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『「つまらない」と言えるのはお母さんへの信頼の証だから大丈夫』
息子さんはとてもいい子。小5になって「つまらない」と言い出したのは、お母さんに聞いてもらえるという安心感・信頼感があるから。その思いに応えて息子さんへの理解を広げることをがんばっていけば、息子さんも安定してくると思います。中学へ上がり、ある程度対等に会話するフラットな関係に移っていく準備期間としてとらえるようにすれば、お子さんへの信頼感もさらに増すと思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介先生
教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。
京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

漫画=きたがわなつみ/文=酒詰明子

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