朝になると「学校に行かない」。学校に行く前日に親子で会話しておきたいこと

不登校の児童は増え続け、令和5年度の文科省の調査によると全国で30万人を超えています。
元小学校教諭の福田遼さんは、憧れの教員となったものの「不登校の現状」に直面。その後、よりよい支援の形を模索するため教員を辞め、世界18カ国の教育現場を回りました。
その経験をもとに、不登校支援に特化した無料のオンラインフリースクール「コンコン」を設立。子どもたちが自分の進みたい方向を見つけ、一歩踏み出す自信を育めるように日々活動しています。
本記事では、福田さんが培ってきた知識と経験をもとに、子どもが自信を取り戻し、将来を前向きに生きていくためのヒントをご紹介します。
「学校に行ってほしい」と願う方、「いろいろ試しても再登校が難しい」と感じている方、登校をしぶる朝が増えて心配な方へ、不登校を新しい可能性へとつなげる視点をお伝えします。
※本記事は福田遼(著)の書籍『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』から一部抜粋・編集しました。
Q:「前日は『行く』と言うのに、朝になると『行かない』と言います」
A:前日と当日の「やるべきこと」を洗い出そう
不登校のわが子が「学校に行く」と言ってくれたらうれしくて、そわそわ期待するのが当然です。でも、翌日の朝になって「やっぱり行かない」と言われ、ガックリ。
そんなお子さんのひと晩の手のひら返しに、感情を振り回された経験がある親御さんは多いはずです。この手のひら返しが毎日のようにつづけば、親御さんの精神的な負担はかなり大きくなってしまうと思います。
ここでは、前日と当日の場面に分けて、いくつか対策をご紹介しましょう。
前日の対策1
まず「学校に行く」ことについて、スモールステップを設けましょう。
ひと口に「行く」と言っても、教室ですべての授業を受けるのか、1時間だけ授業を受けるのか、別室や保健室へ登校するのか、先生と会ってプリントをもらうだけなのか……。いろんな「行く」がありますよね。
「学校に行く」という漠然としたイメージから、お子さんの中で過度に高いハードルを描いているかもしれません。それを防ぐために、事前に具体的になにをするのか明確にしておくんです。もちろん、内容はスモールステップで、お子さんができそうだと思えることに設定します。
僕らがよく使う最初のステップは、「放課後に先生や友だちと会う」「まずは給食を別室で食べる」などです。「明日は学校に行く」よりも、「明日の放課後に先生と会おう」だったら、ずっと簡単にできそうな気がしませんか?
子どもにとっては、そんなわかりやすさやハードルの低さが大切なんです。スモールステップでゆっくり自信をつけていきましょう。
前日の対策2
前日に翌日の行動(学校に行く)を詳しくシミュレーションしておくのもおすすめです。
なにをするかもわからずに、自分にとってアウェイな場所へ行くなんて、大人でも緊張したり不安になりますよね。反対に、事前に行動の見通しが立っていれば、すこしは落ち着いて臨めるはずです。
ですから、前日に翌日の行動の流れを確認しておくだけでも、お子さんの「学校に行く」不安を大幅に減らすことができるんです。
たとえば、「朝起きたら〇〇を食べて、着替えをする。外に出たら15分くらい歩くよね。学校についたら、東門から入って、保健室へ向かって……」と家からの行動を細かくなぞってみたり、授業に参加する場合は「1時間目の国語では〇〇の単元をやるよね。2時間目は……」と授業内容をチェックしておくのも良いと思います。なにか行事やイベントなどがあるときには「どこで、どれくらいの人数で、どれくらいの時間、どんなふうに行われるのか」といった詳細な情報があると、事前に見通しが持てるようになるでしょう。
当日の対策
子どもは、どうしても「行くか行かないか」「やるかやらないか」と0か100かの思考になりがちです。「お腹が痛いから今日はもう無理」などとすぐ極端な結論を出してしまうんですね。
そういうときは、「AかBかどうする?」とまったく別の小さな行動を選んでもらうようにしましょう。たとえば、「朝ごはんはごはんを食べる?パンを食べる?」とか「先に着替えてくる?ごはんを食べる?」などですね。目の前に行動の選択肢が差し出されると、意識がそこに集中し、動き出せる子が多いです。
あるいは、「とりあえず荷物を持って外に出てみない?」「〇〇公園まで歩いてみるのはどうかな?」など、ごく小さな行動を提案してみるのも良いと思います。ちょっとした行動がトリガーになって、不安から目をそらせることもありますし、活動のリズムができて、ポンポンと登校につながることもあります。
著=福田遼/『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』
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