「えっ…本物じゃないの⁉︎」25万いいねを集めた“花の正体”に思わず二度見

X(旧Twitter)で、花を扱った一枚の画像が大きな話題を呼んでいます。投稿したのは、繊細な造形作品の写真で人気を集める岡本なうさんです。
投稿には「一瞬、彼岸花に見えませんか?」という一言とともに、燃えるような赤が印象的な“花”の写真が添えられ、25万件を超える「いいね」が寄せられました。
コメントには「本物だと思った」「見事に騙された」の声が。多くの人の心を惹きつけた“花の正体”とは、いったい何だったのでしょうか。
「彼岸花」に見える写真。よく見てみると……
投稿に添えられた写真には、秋に咲く花として知られている彼岸花の姿が写っています。赤い花びらが重なり合い、まるで自然の中で揺れているかのよう。

しかし、信じられないことに実は彼岸花の花びら部分はすべて「洗濯バサミ」でできているのです。

花の形は、洗濯バサミのそのままの形を組み合わせて再現されています。
ヒゲのように伸びた雄しべ・雌しべの部分には針金が使われ、先端にはパールビーズがそっと光を受けて、より一層本物らしさを演出しています。
投稿には25万もの「いいね」が集まり、コメント欄には「再現度高すぎる」「本物にしか見えない」「思わず拡大した」など、驚きと感嘆の声があふれました。
投稿主の岡本さんにインタビュー!
本物と見間違うほどの“洗濯バサミの彼岸花”は、どのようにして生まれたのでしょうか。
投稿主の洗濯バサミフォトグラファー・岡本なう(@okaphotoart)さんに、お話を伺いました。
“彼岸花フォト”の舞台裏
――ポストへの反響についてはいかがでしたか?
岡本さん「こんなに多くの方にご覧いただき、25万にも及ぶ『いいね』、またあたたかいコメントやフォローをしていただけて、本当に感無量でした」
――印象に残ったコメントはありましたか?
岡本さん「『本物に見えました』や『一瞬、わかりませんでした』といったコメントが、自分が想像した以上に多く寄せられました。投稿した僕が嬉しくなるような言葉を届けてくださる皆様のお人柄や感性に、感動いたしました」
――今回の作品を作るとき、撮るときにこだわった点を教えてください。
岡本さん「まず、1番のこだわりは庭で撮影することです。洗濯バサミという存在は身近な日用品なので、洗濯物を干す庭という場所での撮影にこだわっています。
その上で毎年、どうすれば見てくださる方に内在する彼岸花のイメージに近づくかを考え、夏の間から庭の雑草を伸ばしたり刈ったりして試行錯誤を重ねています。
今回の一枚は、草の存在を感じさせつつもシンプルにかげりゆくイメージで、秋の繊細な光を生かして撮ることにこだわりました」
――彼岸花を洗濯バサミで作るには、どのくらい時間がかかるのでしょう?
岡本さん「当初は非常に時間がかかっていましたが、毎年制作しているため、今年は1本あたり2〜2時間半ほどで作れるようになりました」
日常にある洗濯バサミで描く四季の風景
――洗濯バサミで作る作品のモチーフはどのように選ばれていますか?
岡本さん「季節にあうものを中心に制作・撮影しています。洗濯バサミを通じて、日常のイベントや季節感を表現しています」
8月18日の米の日には豊作祈願で稲穂の作品を、月がきれいな秋の夜にはススキの作品が投稿されていました。


――使用している洗濯バサミの色は、加工しているのでしょうか?
岡本さん「基本的に着色はしていません。洗濯バサミそのもの、身近な日用品として皆様が使う姿が最も美しいと考えているからです。
この身近な『洗濯バサミの美しさ』を表現するため、制作した洗濯バサミを被写体として一眼レフで撮影し、『洗濯バサミフォト』としてお見せしています。着色するとリアリティーは増しますが、洗濯バサミの存在が『素材』になってしまい、日用品としての美しさが伝わりにくくなってしまいます。
つまり、(自分の中での意識が)作ることが目的になってしまうと思うんです。また、洗濯バサミを使いまわすこともできなくなります。その為、着色はしていません。
洗濯バサミの美しさは、視覚的な魅力だけでなく、『日用品としての存在の美しさ』も意識しています」
作品づくりを始めたきっかけは祖母との別れ
――そもそも、洗濯バサミを使った作品づくりを始めたきっかけは?
岡本さん「2021年に祖母が亡くなった際、縁台で西日に染まる洗濯バサミを眺め、『洗濯バサミは美しい』という強い想いを抱きました。その瞬間、洗濯バサミという存在に祖母の生き様が重なったように感じました。
その後、2021年3月からSNSを中心に『洗濯バサミフォトグラファー』として活動しています。最初は被写体として洗濯バサミの魅力を引き出す写真を試行錯誤していましたが、この感覚を一般的に伝えるため、2022年から洗濯バサミを使った制作や、アート的表現の撮影を行うようになりました」
岡本さんの作品は他にもたくさん!
今回の「彼岸花」に限らず、岡本さんの作品には洗濯バサミとは思えないものがたくさん!その中から、印象的な2作品をご紹介します。
まず紹介するのは、「雨」という文字をモチーフにした一枚。

雨の右半分だけを洗濯バサミで作り、水面に反射した左半分と合わせて「雨」を表現しています。
見る角度や風の動きによって、映る姿が変わる繊細な作品です。
数々の作品を作ってきた岡本さんにとっても、特にお気に入りのものなのだそう。
岡本さん「お気に入りは、洗濯バサミで『雨』という漢字の半分を作り、水たまりに反射させて残りの半分を写した写真です。この作品は、洗濯バサミフォトの体現例だと思っています。
360度どの角度からでもそれっぽく見えるわけではなく、僕の視点から撮影したものが、見る方の感性に映って完成します。風で水面が揺れていると半分は写らないなど、撮影時の条件も含めて気に入っています。ここにも撮る僕と見る方の関係性、洗濯バサミフォトの本質が表れていると思います」
また、一番多く洗濯バサミを使った作品は「藤の花」で、なんと700個も使ったとのこと。
「洗濯バサミで藤の花のカーテンできたぁぁぁーっ」というポストでは、花房のすべてが洗濯バサミでできており、紫と白が花を、緑が葉をかたどっています。
背景には自然の植物が写り込み、本物の藤棚のように見える完成度です。

作品で使う洗濯バサミの数には、岡本さんなりのこだわりがあるそう。
岡本さん「洗濯バサミの数が多すぎると『数』の迫力に目が行き、洗濯バサミ本来の美しさが損なわれるという考えから、なるべく少ない数にこだわっています。
これでもできる限り少ない数で美しさを表現することを意識しています」
洗濯バサミ本来の美しさを表現するために、試行錯誤されていることが伝わりますね。
洗濯バサミが教えてくれる「日常の美しさ」
最後に洗濯バサミの魅力について伺いました。
岡本さん「洗濯物を干して取り込める一日は、その日の天気に期待できた日です。
そんな日常にある、ちょっとした期待に応えてくれる洗濯バサミという魅力を、洗濯バサミフォトで発信しております」
岡本さんのX(@okaphotoart)では、今回紹介した作品のほかにも、季節ごとの洗濯バサミアートが数多く公開されています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
文=武川彩香
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