【私たちの穴がうまらない件】お互いの体と心が一致するのは奇跡みたいなもん【女のレス放談(2)】
「人間の三大欲求、食欲・睡眠欲・性欲のうち、食事と睡眠グッズはいろいろ試せるのに、どうして性欲だけは“手持ちの駒=夫”だけで満足しなきゃいけないの?」
心と体にぽっかりとあいた、満たされない「穴」はどうすればいい?

“レス”夫婦のすれ違いを、リアルにほろ苦く描いた連載で大反響を巻き起こした話題のフィクションコミックエッセイ『私の穴がうまらない』。
2月28日に待望の単行本化を果たした、著者で漫画家&イラストレーターのおぐらなおみさんに今回、特別にインタビュー! 担当の名物編集者・松田紀子さん(元レタスクラブ編集長/現・ファンベースカンパニー) も交え、制作秘話から「女の性欲」「うまらない穴」について語りつくす全3回【女の性欲放談】、今回は2回目です!
“心と体の一致”についての深~い話や、本作には描かれなかった主人公ハルヒの浮気未遂のエピソードも飛び出して…。

好きでも仲がよくても、男女の体と心が一致するのは奇跡!?

--主人公ハルヒはもちろん、職場の同僚のヒカリさん、アルバイトのミヤコさんなど、それぞれの悩みや言動がとってもリアルで、「そうそう!」とか「いるいる!」と思いながら読んでいました。誰かモデルはいるんですか?
おぐら◆「特定のモデルはいなくて、登場人物は全部、自分自身がモデルかもしれませんね。
夫には言えずにグズグズ悩んでいる自分もいるし、夫に浮気されたらこうするな、とか、『体の関係がなかったら一緒にいたって意味がない!』と思う自分もいますし。
『もし、自分だったらどうするかな?』という感情を反映しています。
それと、女性同士が集まると必ずそういう話になる。夫の不満などを聞くことも多かったので、そんな声も反映しています」

--ハルヒ、ヒカリ、ミヤコの話がすごく面白くて、会話に加わりたいくらいでした。特に、ヒカリの「夫婦お互いの体も心も一致するって奇跡みたいなもんかもね」は名言だと思いました。
おぐら◆「これは松田さんの言葉なんですよね」
松田◇「男女2人とも体も心も満たされているカップルって少ないと思うんですよね。一致しないことのほうが多くて、でも、体と心のどちらかがどちらかを補填する感じでなんとか成り立っていることのほうが多いんじゃないかな」

--確かに、手をつなぐようなスキンシップがあったり、相手のやさしい心が見えれば、性的なことがなくてもうまくいっているカップルもいるとは思います。
おぐら◆「でも、ハルヒは夫のマサルと買い物に行った時、彼がすっと手を差し出したから、手をつないでくれると思って自分も手を出したら、『バカ! (買った)焼き豚を持ってやるよ』と言われて、すっとかわされてしまって」
松田◇「もう、マサルのデリカシーのなさにイライラする!」

男性は風俗もOKなのに、女性はだめ?主人公を女性専用風俗に通わせる案も…
--このシーン、レタスクラブニュースで配信した際のユーザ―からの反響がすごかったんです。実は密かに傷ついているのに、笑いながら明るくふるまわないといけないつらさがよくわかる、と。でも、本当はずっと傷ついているんですよね。
おぐら◆「単行本用に書き下ろしたプロローグでその対比を描いています。付き合っていた時は、買い物の時にマサルが手をすっと差し出してくれたから、荷物を持ってくれると思って買い物袋を渡そうとしたら、マサルは袋を受け取って、わざわざ逆の手に持ち替えて、手をつないでくれる、というシーンです。
そういう幸せだった思い出があるから、手をつなぎたいのにさらっとかわされたりすると寂しさが増すんですよね」
松田◇「マサルのデリカシーのなさが、ほんとにねぇ。私は『2人はなんで一緒にいるの? 別れればいいのに!』と、ずっとおぐらさんに言ってました(笑)」

おぐら◆「男性読者からは『耳が痛い』という感想多かったです。男性は、こういうことを面倒がって、向き合ってこなかった人が多いのではないでしょうか?」
--男性からは「じゃ、言ってよ」「言われないとわからない」という声もありました。あと、女性からは「私だって楽しみたいのに、男性はキャバクラや風俗で性欲を発散できるのに、女性はどうしてだめなんだろう?」という声も多かったです。
松田◇「実は、ハルヒを女性専用風俗に通わせる案も出たんですよ。まぁ、1回してみればいいんじゃないか、と」
おぐら◆「この作品でも、ハルヒが浮気をする直前で逃げ出すシーンが出てきます。ホテルの前まで行きましたが、結局、踏みとどまらせました。
ハルヒは『私はこのまま1回もしないで死んでいくのかな』と悶々と悩んでいるので、とにかく1回してみれば、それで満足するんじゃないかな、と思ったんですが、女性だと『誰でもいいからしとこ!』っていう人はいない。家庭を守る主婦だったり、家に帰ればママでもあったりしますから。
ここを突破してしまうと、『結局、解決策は外ですることか!』となって、今まで彼女が独りで悩んできたことの意味がなくなってしまうと考えました。右往左往しながらも、家族の中で、夫婦2人で解決していくことをテーマにしたかったんですよね」
「この男、役に立たない!」と夫を思わないようにするには、アレを禁止に!?
--セックスレスになる理由は、お互いが忙しい、家族にしか思えないなど、いろいろあると思いますが、おぐらさんはどう思いますか?

おぐら◆「2人がお互い空気みたいになっちゃって、そのまま空気にしておくのがよくないと思っています。私も人間だし、相手も人間だと思うことで変わるんじゃないでしょうか。
空気だったら顔を見て話さなくてもいいけど、人間同志だったら、顔を見て話したり、『おはよう』とか『おかえり』とか挨拶もしますよね。
空気のように当たり前にある『家族』の存在に甘えていると、その単位でしか生きられなくなると思います」
--確かに『家族』って思うと甘えちゃいますよね。服装も何でもいいし、すっぴんでも気にしないし。
おぐら◆「あと、日本はパートナーをほめる文化がなくて、ちょっとバカにするのが美しいという空気がありますよね。『彼女がキレイで』とか『妻が大好きなんです』とか、ほめたりするのはカッコ悪いという文化があって」
--照れ隠しのつもりで言った辛口のコメントが、実はパートナーにとっては地雷だったりすることもありますね。相手をほめないし、ほめてくれないし、お互いのそういう言動から少しずつ溝ができていくのかもしれません。
松田◇「子どもがいる場合、子育て中にどれだけ手伝ってくれたかも大きいと思います。夜泣きしている時に、いかにサポートしてくれたかという…。
生後2か月くらいで離婚した夫婦もけっこういますよ。里帰り出産で最初の1か月は両親に助けてもらう方が多いと思うんです。でもいざ自分の家に帰ると夫は何もしない、できない。で、『私、もう実家に帰る!』と。
なので、私は里帰り出産反対派。子育ての一番大変な時期を、自分が一番つらい時期を、一番近くにいるはずの夫が全く知らないのはよくない。新生児の最初の1か月間に、夫婦2人で一緒に赤ちゃんを見ることが大事だと思っていて。できることなら、里帰りではなく、お母さんに来てもらって、たいへんな毎日を一緒に体験してもらう。
その時の苦しみを夫婦で共有しないまま実家から戻ると、夫ののんきさにイラ立つんです」

おぐら◆「2人の絆が深まるか、なくなるか、この時が第1ポイントですね。一緒に経験しておかないと、夫は妻がなぜそんなにイライラしているのか全くわからなくて、夫もつらい状況に陥っちゃう。妻と子どもの絆だけが深まって、自分の居場所がどんどんなくなっちゃって…」
松田◇「何年経っても、その時の穴が埋まらないんですよ…」
おぐら◆「『何もわかってくれない』と、後からもずっと思い出してイライラするんです。ハルヒも“手をはらわれた焼き豚事件”のことを一生忘れないはずです」
>>続く
取材・文=岡田知子(BLOOM)
Information
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「人間の三大欲求、食欲・睡眠欲・性欲のうち、食事と睡眠グッズはいろいろ試せるのに、どうして性欲だけは“手持ちの駒=夫”だけで満足しなきゃいけないの?」
職場の同僚のこの言葉は、フリー編集者のハルヒの心に深く突き刺さる。
実は彼女は、夫と何年も“レス”状態を抱えていて……。
心と体にぽっかりとあいた、満たされない「穴」はどうすればいいの?
大人の“レス”をほろ苦く描く、フィクションコミックエッセイ!
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