老親の運転が心配…! でも高齢ドライバーの危険は具体的にどんなこと?

昨今目立つ、お年寄りによる交通事故。自分の親の運転、心配になりませんか? そろそろ運転を控えてほしいけど、子どもがいうと聞く耳を持たない、なんて話も…。実践女子大学社会学部教授の松浦常夫先生にお話を伺い、老化と運転能力低下の関係性を入り口に、親世代の免許返納問題を考えてみました!
危険運転の原因になる、「視力」と「認知機能(脳の働き)」の低下
「車の運転というのは、運転している自分も、そして周囲を走る車や歩いている人も皆〝動いている〟ので、注意と素早い判断が必要とされる作業です。体が老化してくることで、こういった注意と判断ができにくくなってくる。ゆえに、運転することが危なくなってくるわけです」というのは、老人の運転や交通事故問題に詳しい実践女子大学教授・松浦常夫先生(以下同)。
老化することで体がどうなり、それが運転にどのように影響するのか。体と脳、2つの側面から解説します。
体の老化
【「視力」が落ちる】
動いているものを識別する〝動体視力〟が低下すると、運転中の危険のサインを見落とすことに……。
【筋力の低下】
筋力の低下によって、ハンドルをしっかり握れなくなったり、ブレーキを踏み込めなくなったりも。
【体がかたくなる】
バックのときに後ろを振り向けなかったり、左右の確認の幅が狭くなり、危険を見落とすことに。

脳の老化
【 1. 「注意力」の低下】
左右から来る車、飛び出す子ども、信号機、標識といった〝危険〟を発見するのに、以前より時間がかかるようになり事故を誘発。
【 2. 「判断力」の低下】
赤信号でも「行ける」と思うなど、危険に対して判断が甘くなる。道路の逆走や、歩道の走行などにつながります。
【 3. 「操作機能」の低下】
1と2が進行すると、頭の中で情報処理がうまくいかなくなり、ブレーキを踏むなどの操作が間に合わず、事故になってしまう。
うちの親、大丈夫? ここをチェックしよう!
下の「運転中は」と「日常生活で」の2つの表をチェックして、AとBが合計で5つ以上あったら、そろそろ運転について話し合いましょう。


高齢ドライバーによくある事故は?
【車両単独事故】
車の運転手単独の操作ミスで起こす事故。高齢者はブレーキとアクセルの踏み間違いが多い。

【出合い頭事故】
まわりがよく見えず、危険予測能力が低下することも原因。信号機のない交差点では、一時停止の標示を見落とす不注意も。

【右折事故】
対向車や歩行者など処理すべき情報が多くなるほか、「行ける」と思うタイミングが遅れがち。

★助手席で「第三の目」になろう★
一緒に車に乗って助手席に座り、運転のサポートをしてみるのもおすすめ。「最も事故が起こりがちな交差点では、前後左右の車の往来や歩行者の存在などを、親の目に代わり、しっかり確認をするといいでしょう。また歩行者が多い駐車場は見るべきものが多く、夜の運転もものが見えづらくなるので、高齢者にとっては第三者の目が助けになります。一緒に車に乗ることで、今親ができること、できないことが把握できる、というメリットも」。
免許の返納、どうするの?
平成10年から導入されたのが免許の自主返納制度。返納したいと思ったら、地域の警察署、または運転免許センターへ。返納したら、顔写真入りの身分証明書として使用できる「運転経歴証明書」の申請を忘れずに。地域によっては公共交通の割引や、民間のお買物特典などもあるので、ぜひ利用しましょう。
高齢ドライバーによる死亡事故が年々増加しているからこそ、ひと事ではない親の運転。どんなに元気な親でも、老化は確実に体と脳に迫っていることをまずは理解し、免許返納について考えてみましょう。
イラスト=ナカオテッペイ 取材・文=河野友紀
Information
実践女子大学社会学部教授。東京大学を卒業後、警察庁に勤務、交通安全の研究をし、現職。著書に『高齢ドライバーのための安全運転ワークブック 実施の手引き』(企業開発センター)など。
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