先を見通す力が無さ過ぎる?トイレはいつも駆け込みの小4息子が、遂にやらかした!【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第42回目のお悩みはこちら。

先を見通す力が無さ過ぎる?トイレはいつも駆け込みの小4息子が、遂にやらかした!【小川大介先生の子育てよろず相談室】


【お悩み】


先日、小4になる息子がトイレに間に合わず漏らしてしまうという事件が発生!その日はサッカーがある日で、出かける前も、途中のコンビニでも「トイレ行っておいたら?」と声をかけたのですが、「別にしたくない」と言って行きませんでした。それが5分後くらいにグラウンドに着いた途端「トイレ!」と猛ダッシュ!公衆トイレまでは辿り着いたものの、ちょっと入り組んだところにあった大便器を見つけられず、小便器に大をしてしまったのです。

遠くから見ていた私は、小便器に座り込む息子の姿に我が目を疑い、急いで駆けつけましたが、時既に遅し…。息子の粗相を片付けながら、本当に恥ずかしく、情けない気持ちになりました。そもそも息子は普段からトイレに行くタイミングが変。失敗はせずとも、ギリギリまでガマンして、急に「トイレ!」と走ることが多々あります。

出かける前などは前もって行っていくようにいつも言っているのに、「大丈夫」の一点張り。これはトイレだけの問題ではなく、あまりにも先を見通す力がないのが問題な気もしています。目の前にあることだけを処理していくタイプで、先回りしようとする気が全くないので、今後もまたやらかしそうで心配です。(Y子さん・40歳)

【小川先生の回答】


“行きたくなくてもとりあえず行く”をルール化


それは大変でしたね。子どもを信じてあげたいと、できるだけ本人の意思を尊重されているのだと思います。その方針は間違っていませんから、少しの工夫で状況を変えていきましょう。

自分の感覚を点検するという頭の使い方に、まだ慣れていないのだと思います。トイレに誘ったときは大丈夫と思っていても、実際に失敗してしまうということは、“そろそろトイレしたくなるかも”というのに気づくのが苦手ということ。もちろん気づけるようになることが一番ですが、まずは“行きたい気がしなくても、とりあえずトイレに行く”というのをルール化しましょう。

おそらく息子さんは、“したい気にならない時はトイレに行かない”という勝手なルールを作ってしまっています。でも実際ほとんどの人は、“出るかもしれないから、とりあえずトイレに行っておく”というのが普通。そうすることで、この間のような失敗も防げるということを、きちんと理屈で説明してあげましょう。それでも「嫌だ」と言い張った場合は、その理由を本人に説明させること。

「行きたい気分にならないときはトイレに行きたくないという理由、そのこだわりポイントをちゃんと説明して欲しい」と深堀りしてみるのです。説明するくらいだったら行っとこうと思うかもしれないし、自分が思い込んでる決め事が実は根拠がないことに気づくことにもつながります。本人独自のトイレルールから脱却させ、「先に行っておいてよかった」という経験を積ませてあげると、本人も納得して行くようになると思います。

お手伝いで先を見通す力を育てる


トイレ問題はルール化することで解決できますが、こういうタイプの子は、その他のことも自分で気づいたり感じたりしない限り、考えようとしない傾向があります。宿題なども、そろそろやらないと間に合わないという間際になって慌ててやるタイプ。追い込まれてその場しのぎでやっつけてる状態なので、記憶にも残りません。せっかくやっても身につかないのではもったいないので、やはり予定や見通しを立てる練習はしておいたほうがいいでしょう。

おすすめは料理のお手伝いです。材料の買い出しから作り方まで、料理というのは段取りの集合。例えば、料理の材料を調べて書き出しておくよう頼んだり、スーパーではどの順番で回っていくと一番効率的かを考えさせたりなど、生活の中で見通しを立てる機会を増やしていくといいでしょう。

また、前もって準備するという練習も大切です。16時から宿題をやる予定なら、その時間にすぐに始められるよう必要なものを机の上に準備しておいたり、学校の準備は前日の19時までに完了させたりなど、“前もって何かする”という機会を増やしていくこと。そうすると、次第に自分でも“前もって考える”ことができるようになります。

振り返りグセをつけて考える力を育てる


サッカーをされているとのことですが、サッカーはフォーメーションを考えて動くスポーツ。3秒後にどうなるかを考えて、相手の走って行く先にパスを出す必要があるため、見通す力を育てるのにも役立ちます。ただ、わかっておいて欲しいのは、その場その場で動いている子というのは、“自分が今どういうことをしたか”という振り返りをあまりしないということです。

「本人が経験したから、その経験から学ぶだろう」と、大人が勝手に高をくくって本人任せにしていると、やったことから何も学ばずにいるということもままあります。「今やったことで何がわかったのか」、「次はどういうことに気をつけようと思ったのか」など、その都度聞いてあげるようにしてください。その積み重ねにより、“経験したことから考える”ということが段々わかってくるので、そのひと手間を惜しまないことです。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

この記事に共感したら

おすすめ読みもの(PR)