「飢えてんの?」夫を誘ったらまさかの拒絶…「君とはもうできないと言われまして」レス解消の糸口とは!?

#くらし   
あの手この手でレスを解消しようと奮闘する主人公だけど…

産後、子どものお世話にもようやく慣れ、生活や時間に少しゆとりが出てきた主人公。そろそろ夫と夜の生活も再開したい……とアプローチしたら、まさかの大拒否…!?
「セックスレス大国」と言われるこの国で、多くの女性が共感するエピソードの詰め込まれたコミックエッセイ「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA/もち・著 三松真由美・監修)。レタスクラブニュースで連載された作品はなんと1300万PVという異例の数字を叩きだしています。

同書内ではセックスレス解消に向け奮闘する物語の間に、監修者・三松真由美さんの解説やアドバイスが登場。
三松さんは「恋人・夫婦仲相談所(通称すずね)」を営む「夫婦仲コメンテーター」。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員13000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティを展開しています。特にセックスレスやED、女性の性に関する親身なアドバイスには定評があり、長年各種メディアで活躍しているので、その姿を目にしたことがあるという読者も多いのではないでしょうか。

今回は作品の紹介とともにさらに踏み込んだアドバイスを頂戴したく、インタビューさせていただく運びとなりました。今セックスレスに悩んでいる人も、今は問題ないけどいずれはもしかしたら……? なんて不安を抱えている人も、必見のアドバイスです。



妻にだけ性欲が沸かないという男性の声は珍しくない…

レス夫婦になって7年…私、このまま枯れてくの…!?


――この物語のテーマは「産後のセックスレス」。妻が普段は着ないようなセクシーな下着でアプローチしてみるなど勇気を振り絞った努力を重ねるにもかかわらず、夫からは「そういう気になれない」「ガツガツしている」「飢えてるの?」というひどい言葉……。身に覚えがあってもなくても、かなり胸に刺さる展開でした。作中に登場するこれらは、多くの女性たちが実体験しているエピソードなのでしょうか。

三松真由美さん(以下、三松)「おっしゃる通りです。タイトルの『君とはもうできない』という言葉も、セックスレスに悩む世の妻たちが、昔から夫に言われてきている言葉です。はっきり言葉にしなくても『寝ている背中が自分を拒否している』『なんやかんやと理由をつけてはぐらかされている』などなど……。10年くらい前から出てきた『妻だけED』という言葉がありますが、妻にだけ性欲が沸かないという男性の声は珍しくないんです。産前産後のセックスレス相談はとても多いので、今回はそこにフォーカスした物語にしました」

――同書の解説では「アラフォー以上になるとセックスレスは7割」とありました。でも悩む人が多いということは、皆納得しているわけではないのですね。

忙しい、充実しているとレスをスルーする夫婦。でもこのまま触れられないまま、歳をとっていくの…?


夫婦なのに…?私って何?

三松「30~40代は仕事も育児も忙しく生活が充実しているので、つい後回しになるうちレスのまま『もう卒業』となる人も少なくありません。
特に日本はレスが多いこともあり、最近ではそれが広く知られているので『皆そうだよね』という空気になりがちです。ところが本心を聞いてみると、性への意識が心のどこかでゆらいでいる人が多い。
『このまま夫から触れられず、歳をとっていくのか』『セックスは子供を作る目的だけのものだったのか』…。
また、今は興味を持てなくなっていても、思わぬところでスイッチが入るケースも少なくありません。男性の場合は付き合いや何かのきっかけで未経験の風俗店などに足を踏み入れ『こんな世界があるのか!』と衝撃を受けるケースもあります。
女性はドラマなどで理想の恋愛ストーリーにハマっていたタイミングで、たまたま子どもの習い事で好みど真ん中のコーチが現れたとかPTA不倫とか。事実は小説より奇なり、というような実話が山ほどあります。そこで葛藤する方々の声を、長年聞いてきています」

不倫している友達も…


――この物語では、「性行為はしたくないけど妻を愛していないわけではない」という夫の想いも描かれていました。仲良くてもセックスには至らないのはどうしてでしょう。

三松「あくまで一因ですが、男性がひと昔前のように性行為に向上心を持たなくなったことも関係しているでしょう。あれこれ頑張らなくても、楽しいものがたくさんある。ネット環境が普及して、いつでも手軽に萌えでもなんでも自分好みのコンテンツにアクセスできますから。SNS、ゲームのほうが気楽。そんなことからリアルな女性との『面倒な性生活』を避ける傾向があります。
そんな男性たちが結婚すれば、『妻とするのが面倒』と感じるようになり、夫婦の性生活を向上しようとせず、テクニックも磨かれません。すると女性も、気持ちいい愛を感じる性行為でなければしなくていい……となってしまう。
働く女性も多くなり、家事育児の負担に『なぜ自分だけ…』と不満がたまり、ついついベッドの上でも上から目線でものを言いたくなってしまう。対して男性はますますやる気をなくしてしまう…というケースを最近は多く目にします」


『そこまでしなくてはいけないの…?』レス解消は、異次元に飛び込むくらいのつもりで挑まなければ解消できない問題!?


その気になってくれない夫にモヤモヤ

――レス解消に向けては、物語でも解説ページでも「夫婦でしっかりと話し合おう」というメッセージがありました。しかし現実では、改めて性生活について話し合うのは、かなりハードルが高いのでは? と思えます。どんな心構えで取り組めばいいのでしょう。

三松「たくさんの方にアドバイスしてきたり相談を受けて思うことは、セックスレス問題は、とにかく女性から働きかけなくてはどうにもならないケースがほとんど、ということ。相談に見えた方にそうアドバイスすると『なぜ自分ばっかりが努力しなくちゃいけないのでしょうか』とおっしゃる女性もたくさんいますが、女性のほうがコミュニケーション能力も言語化する能力も高いので、提案に向いているし、スムーズに話し合いが持たれる可能性も高まります。
社会的にはもちろん男女平等なのですが、たくさんのケースを見てきて、うまくいく話し合いのきっかけづくりは女性から、がおすすめです」

――三松さんがこれまでアドバイスしてきた中での具体的な成功事例というのは…。

三松「嫉妬心をうまく使った方はレス解消につながっていますね。

とびきりキレイにして外出し、遅い時間に帰ってみる。チラリズム的な服装で、他の男性の視線を集めてみる。夫に内緒でセクシャルなコンテンツを楽しんでみる。夫婦に隠し事はないのが健全という考えもありますが、何もかもさらけ出さず、ミステリアスな部分をいくつか持っておいたほうが、そそられませんか? 言うなれば「におわせ妻」「ミステリアス妻」です。『そこまでしなくてはいけないの?』と思われるでしょうか? そのとおりです。セックスレス解消は、異次元に飛び込むくらいのつもりで挑まねばならないんです」


色々な手を使って誘うものの何度も断られー…。放置する?離婚も考える? お互い「もう一度したい」と思えるために


――この物語ではそうやってがんばってあれこれ工夫したものの何度も断られてしまっていています。そこからまためげずに再トライ! というのは、なかなかどうして鋼の心が必要そうです。

久しぶりに夫婦の触れ合いを夫に迫ってみたら…まさかの大拒絶!


三松「確かにとても難しいですよね。頑張れば必ず成功するものでもなく、断られ続け、これはもうダメかもしれない…というケースもたくさんあります。
しかしだからといって、放置する? 離婚して他の人とやりなおす? 自分がどうしたいのか、真剣に考えたほうがいいと思います。
仕事や育児に追われていると、30年後のことなんて考えられませんよね。でも、そのままだと寂しい…ということなら『なぜその気にならないのか?』という視点で再検討してみてはどうでしょうか。60歳、70歳になったときも目の前にいる夫に、女性として見てほしい、出かけるときは手を差し伸べてほしいと少しでも希望を持つのなら、その種を蒔くのは"性を意識した今"しかありません。
このコミックと、このインタビューを目にしている皆さんは"性"を意識していらっしゃるわけですから。

『もう一度がんばろう!』という気が起きないという相談も多いのですが、『そこまで頑張ってしたくない』ということは、今まで満足できる性行為をしてこなかった可能性もあります。
また、意外と、10代の頃覚えたスキルのままになっている人も多いもの。初心者のまま、技術向上せずに10年たつ…これがビジネスだったら、ありえませんよね。
テクニックを磨き上げ、どんどんよりよいものにしていくべきです。それには、自分はどんな風にしてほしいのか、どこが感じるのか。しっかり伝えられる準備も整えておくことをおすすめしたいです」

――人生100年時代。これから先、夫婦でどう生きていきたいか? セックスレスはそれを考えるための、大きなきっかけになりそうです。

三松「特に今はステイホームが推奨される新しい時代です。
夫婦生活も、それぞれの夫婦ならではの新しい様式を模索しなくてはいけないのではないでしょうか。これは前から発信していることなのですが、セックスの定義もどんどん自分たちにあわせて変えていくべきだと考えているんです。
性行為=射精・オーガズムと考えるから苦しくなる。出かけるときは必ず手をつなぐ。おやすみなさいのキスをする。まずはそれだけ数ヶ月続けられればいい。自分たちのペースにあわせたいろいろなステップ・定義があるでしょう。

この自粛生活の中で、子どもの教育をはじめとする家族の世話が増え、ストレスもたまっていると思います。しかし反対に飲み会や会合がなくなり、満員電車に乗らなくなったりして、健康的になった方も多いのではないでしょうか。この生活にシフトしてから性欲が蘇ったというお話も多くありますし…。

皆がしてないから自分もいいや、という時代は終わりにしましょう。
自分はどうしたいのか? 夫のセクシャルなスイッチはどこで入るのか? 話し合ったりアプローチする前に、まずはそれらのポイントをリストアップするのもいいかもしれませんね。
たくさんの実例の中で、セックスレス下において、誘ってほしいと待っていても、夫からのアクションはまずないと言い切れます。悩んでいるのであれば、女性から働きかけるのが解決への道です」

――セックスレスに至る理由など、なるほど……と腑に落ちる解説をありがとうございます。女性からアプローチすることがおすすめ、ということですが…まずは何からはじめればいいのかわからないという方も多いと思います。具体的にレス解消のためのアクションをご教示いただけますでしょうか。

三松「ぜひ、次のポイントについて振り返ったり実践してみてください。

1・なぜ夫はスイッチが入らないのか? を考えてみる。
実例でいうと、ある相談者さんは、尊敬できるがまじめすぎる妻に対し、母親か教師みたいな存在になってしまったため、できないと言っていました。そのように、レスの理由をさぐってみることが第1歩です。夫の性の好みを、あらためて探るということもしてみてはいかがでしょうか。夫の嗜好にあわせ新しいジャンルに挑戦した奥様もいます。「自分には無理」と決めつけず、新たな世界へ飛び込んでください。

2・自分の体を深く理解する。
お互いやる気が高まらないのは、これまでの「つまらないセックス」が原因かも。まずは自分の体を熟知して、どんなシュチュエーション、どんな動き、どこを刺激すれば高まるかを研究してみることです。

3・「つまらないセックス」の反省を切り出す
改めて、夫婦で夜の生活を改善・改変していきたい旨を切り出す。もし性についての話題へ誘導するのが難しいなら、刺激的なシーンがある映画を一緒に観たりして、会話の糸口を探してみてはどうでしょう。例えば『ビッグ・リトル・ライズ』という海外ドラマなど。あまりにも直球な作品だとなかなか一緒に…とはなりませんが、こちらの作品はセレブなママ友たちが抱える秘密や苦悩~といった物語でセクシャルなテーマではないと思わせておき、刺激的なシーンが散りばめられています。こんな場所でしてしまうのはアリ!?など、会話のきっかけづくりにもなるのではないでしょうか?

5・「におわせ妻」になってみる。
夫の嫉妬心をあおるのはとても効果的です。性的なことが苦手な人の場合は、セクシャルなコンテンツに親しむことから初めてみみるのはどうでしょうか。女友達とトークで盛り上がってもよし、女性向けのアダルトコンテンツを見てもよし、何ならポルノ映画館に行ってみてもいい。そういうコンテンツをよく見ると、セクシャルなことの大切さや、どういった場面でどうするのかなどへの理解が深まります。そういった工夫を重ねていくと変化を夫がかぎとり、セックスレス解消につながったという体験談もたくさんあります。

こういったアクションを積極的に行うことで、関係に何かしらの変化が生まれたというご夫婦はたくさんいらっしゃいます」

――人生100年時代となった今、産後の時間は昔よりもどんどん長くなっていっています。そこをどう生きていきたいか? 悩んでいるのであれば、「『君とはもうできない』と言われまして」の主人公の勇気と奮闘を頭に浮かべ、お互い「一度したい」と思えるように、放置せずにアクションを起こしてみることが大事なのかもしれません。



取材・文=木下頼子

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