もうすぐ小3になる息子の、中学受験への意識を高めるには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月15日発売の新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第63回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

この春、小学3年生になる息子がおり、中学受験を考えています。夫も受験には賛成で、3年の終わり頃に塾に入るというスケジュール感を持っているのですが、当の本人は、まだ全くもって中学に対する意識が芽生えていません。まずは本人の気持ちを「中学受験というものをがんばってみよう」という方向へ持っていかせるのが課題だと感じています。

今は、公文の算数と国語に加え、タブレットの通信教育をやっています。勉強に取り掛かる前は遊びのほうが気になったりもしますが、いったん始めると、わりと集中して取り組むことができるタイプです。先日、自分から「全国テストを受けてみたい」というので、某塾の無料テストを受けました。本人としては、友達に自慢したいからという理由だったのですが、友達の反応があまりよくなかったため、ガッカリしてしまったようです。

その後「また受ける?」と聞いても、「もういい」とトーンダウンしてしまいました。今の息子にとっては、友達からの評価が一番なので、周りがあまり受験に関心がない中で、受験に対する前向きな姿勢を育てることに困難さを感じています。本人の気持ちを受験に向かわせるにはどのようにすればいいのか、アドバイスをいただきたいです。(Nさん・39歳)

【小川先生の回答】


「やればやるほど上達する」という実感を与えて、前向きな気持ちを育てる

受験に対するモチベーションを上げるには、まずは“自分は結構勉強が好きかも、得意かも”という気持ちを育ててあげることがポイントだと思います。そのためには、公文でもタブレット学習でも、ただやらせるだけでなく、例えば、「1分短縮したね」、「よく覚えてるね」「正確だね」など、何か上達している実感を持たせてあげる声かけが大事です。

「自分はやったらやっただけ、できることが増えるタイプだ」という思いがあると、「塾に行ったら、もっといろんなことができそう」という予感があるため、前向きな気持ちが生まれます。逆に、言われたことをこなしていく「忍耐力がある」という方向で育ててしまうと、塾での勉強も「疲れる」という未来が見えるので、嫌がる傾向が強くなるでしょう。

お話を伺う限りでは、勉強を嫌がっている感じはしないので、褒めて自信を持たせて、「もっと知識を獲得したい」「もっと上を狙えるかも」という気持ちを育ててあげたほうが、本人も気持ちが乗りやすいと思います。

テストを受けたり、中学に足を運んだりしてイメージを膨らませる

全国テストなどもできれば受けたほうがいいでしょう。成績や順位が出ることで、塾に通い出した自分をイメージしやすいし、勉強して成績が上がるという体験も、勉強へのモチベーションに繋がります。周りの友達が評価してくれないなら、「お父さんとお母さんはすごいと思うよ」と言ってあげればいいだけ。その年齢の子であれば、友達の評価が一番なのはしかたありませんが、まずは親が認めてあげること。そして自分自身の中に「自分はこれができる」という自信が育っていけば、次第に友達の評価ではなく、自分自身の価値観で考えられるようになるでしょう。

また、中学の文化祭やオープンキャンパスなどに足を運んでみるのもおすすめです。自分が所属している学校環境とは違った学校環境があるということは、実際に見てみないとわかりません。今年もコロナでどの程度学校行事が復活するかは不明ですが、機会があったらぜひ気になる学校をいくつかまわってみてください。そうすると、受験勉強にも興味が湧くと思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

この記事に共感したら

おすすめ読みもの(PR)