早くもスマホ依存⁉ 中学でスマホデビューした途端、そればかり見るように…【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第67回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

この春、中学に入学した娘についての相談です。入学を機にスマホを買ってあげたのですが、その使い方が目に余ります。一応ルールとして、「許可なく誰かと繋がらないこと」、「個人情報を書き込まないこと」、「夜9時以降はやらないこと」などを取り決めたうえ、勝手にアプリなどをダウンロードできないよう、スマホ自体も保護者が管理できる設定にしています。ゲームなども全く入れていないので、そんなに長時間やることもないだろうと思っていたのですが、気づけばずーっとスマホを触っている状態。時間をチェックしてみたら、休みの日などは1日7時間以上やっていたこともありました。

内訳としてはほぼLINE。中学入学を機にスマホを買ってもらったご家庭がやはり多いようで、小学校の友達だけでも10個以上のLINEのグループができていました。常に誰かが何かしらを送っている状態で、スマホは鳴りっぱなし。娘のスマホは夜9時以降は使えない設定にしているので、朝起きると200件以上のメッセージが届いていることもありました。

もちろん保護者の設定で、1日何時間までと制限することは可能なのですが、できればそういう制限ではなく、自分で時間をコントロールできるようになって欲しいと思っています。今まで、ゲームやYouTubeなどにハマったことはなく、やっても1時間以内で終わっていたのですが、LINEは相手もいるためか、なかなか抜けることができないのかもしれません。LINEで友達と楽しむこと自体は悪いことではないと思いますが、あまりにもそればかりに時間を取られて、振り回されている今の状態をどうにか改善したいと思っています。どのようにすればいいでしょう?(Aさん・47歳)

【小川先生の回答】

子ども任せで上手なスマホ利用の実現は不可能

最近LINEで崩れる子が本当に多く問題になっていますが、わかっておいて欲しいのは、『子どもなりの意思判断で、ほどよい利用ができる』なんてあり得ないということです。それは、LINEが友達との交流を目的としている以上、同調圧力は避けられないというのもあるし、スマホ自体が持つ特性にも関係しています。

『触ればすぐに反応がある』というのは、脳にとっては報酬回路が働いて、ドーパミンという興奮物質が出ます。これは一種の脳内麻薬みたいなもので依存しやすいため、無意識にスマホを触ってしまうようになるのです。朝起きたらすぐ触るとか、電車の中でも食事中でもスマホを手放せないという人は、もはやかなり依存している状態といえるでしょう。スマホ依存は、今や全世界的な問題として大人でも多くの人がなっているもので、子どもはなおさら簡単になります。それを「考えて使いなさい」という言葉で済ませるのは、不可能だということはわかってあげましょう。

なぜそのルールが必要なのかを明確に説明する

では具体的にどうしたらいいかというと、ルール作りになるわけですが、これには3つのステップがあります。

まず第1ステップは、親としてわかって欲しいこと、ここは譲れないということを伝えること。Aさんも『夜9時以降はやらない』とか、『個人情報を書き込まない』などのルールを作っていたようですが、大切なのは、『なぜそのようなルールが必要なのか』ということをしっかり説明してあげることです。「長時間の利用や夜遅くの利用は目の健康にも良くないから、何時間以内にコントロールして欲しい」とか、「個人情報を外に晒すと、それを他人に悪用される危険もあるので絶対にやめて欲しい」など、『禁止』が目的ではなく、『子どもを守ること』が目的なんだということを伝えるようにしましょう。

LINEのやり過ぎに関しても、例えばLINEを2時間やるより、それを半分に減らして勉強を1時間やったほうが、身につくものが多く、将来的な幸せにもつながることは明白です。そういったことをきちんと説明したうえで、健やかな成長や将来的な幸せのためにもルールが必要だということを、中学生でもわかるように話してあげましょう。

大人の視点と子どもの事情を汲んだ我が家のルールを設定

ルールを作る理由を理解してもらったら、次の第2ステップで子ども側の事情を聞きます。LINEであれば、「返事ができなくて置いてけぼりになってしまうのは嫌だ」とか、「ついつい気になって見ちゃう」とか、いろいろあると思います。そういった子どもの事情を理解したうえで、第3ステップとして、双方の意見をそれなりに叶えられる現実的なルールを相談します。「あなたの中学生の世界をジャマしたくないけど、あなたを守るためのルールは必要だ」という親の想いを伝えたうえで、本人も納得できるガイドラインを決めていきましょう。大人が一方的に押し付けたルールではなく、子どもの意見も取り入れた納得感の持てるルールのほうが、子どもも守りやすいと思います。

具体的な案としては、『リビングにスマホゾーンを作り、そこでしかやらないようにする』とか、『やるべきことをやったら10分休憩のときに見る』などもいいでしょう。またLINEの通知を音が鳴らないように設定するだけでも、気になり方が変わります。今は『通知が来たら反応する』というクセがついているようなので、リズムを乱されにくい使い方を編み出していくのも有効です。

親同士のコンセンサスをとっておく

また、小学校のお友達で親同士の繋がりがあるなら、まずその人たちと「うちの子たちのLINEに関してはこういうルールに統一しよう」と親がコンセンサスをとっておくのがおすすめです。「うちは夜9時以降はやらないようにしている」とか、「こういうことが起こったら、教え合うことにしよう」などの情報を共有しておくと、ある程度各家庭の足並みも揃うようになります。そうすると、子どもたち自身も使い方について最低限の形ができてくるので、中学からの新しい友達が入ってからも対応しやすくなります。

中学入学でスマホデビューする子が多いため、4月5月のこの時期はみんな使い慣れていないのと、新しいおもちゃが手に入った感覚で、とてもハマりやすい状況にあります。実際、LINEで生活が崩れて成績がひどいことになっている子もたくさんいます。いったん依存してしまうと抜けるのが大変なので、入口のところでのルールを、本人の納得を得て丁寧に作り上げていくということはとても大事です。そのうえで楽しく使えるようになるといいですね。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て


『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』

大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。


■小川先生のTwitter:@Kosodate_Ogawa
■小川先生が主任相談員を務めるサイト:中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

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