柴門ふみさん「40代のころ、同世代のママたちが恋に出会い、取り乱し、悩み、決断する姿を見ていつか描きたかった」【恋する母たち】

名門私立校に息子を通わせている3人の女性、杏、まり、優子。いずれも問題や悩みを抱える彼女たちは、互いの心中を少しずつさらけ出し合い、やがてそれぞれの人生が交錯し始め…?
昨年ドラマ化もされて話題を呼んだ『恋する母たち』(ビッグコミックス・小学館サービス)。最終巻である『恋する母たち(8)』が21年4月に発売されたばかりです。
著者であり「恋愛の教祖」と呼ばれる漫画家・柴門ふみさんに、作品に込めた思いを聞きました。




夫婦関係、子の反抗期、介護問題…悩み多き40代の母たち
息子の通う名門私立校の担任から呼び出しを受けた3人の母親たち。息子たちが落第目前であることを告げられたことから、お互いに連絡を取って情報共有すべくメールグループを作ることに…。
ーーシングルマザーの杏、セレブ主婦のまり、仕事に邁進する優子。それぞれに境遇の違う3人のキャラクターはどうやって生まれたのでしょうか?
柴門ふみ 当初は、杏とまりという、性格も境遇も180度違う対照的な二人の話にしようと思っていました。杏は、読者が感情移入しやすい癖のない一般的でノーマルな性格。まりは、読者よりちょっと恵まれた環境で憧れと若干の嫉妬を感じさせるキャラに。
フルタイムで働くママも登場させたくて優子を付け加えました。一流企業の女性管理職は多分読者の身近にはあまりいないだろうから、逆に先入観を持たれなく描けるかな、と思いそうしました。
ーー3人の母たちは皆40代ですが、女性にとっての40代とはどういう時期だと思われますか?
柴門ふみ 家庭でも仕事でも、これでもかという難題が降りかかってくる年代だと思います。夫とはマンネリ、子どもは反抗期、年老いた親の介護問題…。加えて、自身の体力・容姿の衰えに直面して危機感も募ります。ホルモンの作用で、初期の更年期障害が訪れる人もいるでしょう。
なので、ここが人生の踏ん張り時だと思います。




夫の不倫に悩むまりに対して真っ直ぐな思いをぶつけてくるのは、ひょんなきっかけで知り合った人気落語家の今昔亭丸太郎。久しぶりに異性から向けられた情熱にまりは次第に絆されていき…




10年温めていた「母親の恋心」というテーマ
――「母親が恋をする」というテーマで作品を描かれたのはなぜでしょうか。テーマに込めた思いをお聞かせください。
柴門ふみ 私が40代のころ、同世代の魅力的なママたちが恋に出会い、取り乱し、悩み、決断する姿を実際に見たことがあり、いつかこのテーマで漫画を描きたいと思って10年温めていました。
ずっと男性コミックス誌で描いていたため、なかなか「母親が恋をする」といったテーマでは描きづらかったのですが、女性週刊誌という発表場所が得られたのでようやくカタチにすることができました。





自虐的な笑いをからめて語る女性の「性欲」について
ーー3人の母たちが純粋な恋心のみならず「性欲」に翻弄される心理描写がリアルでした。彼女たちの心理を描く時に気をつけたことなどはありますか?
柴門ふみ 女性があからさまに「性欲」を語るのを嫌悪するひとは多いと思います。なので3人とも、「性欲」を客観的に見つめ、時に自虐的な笑いをからめて他者に語る形式をとりました。

「人生の踏ん張り時」である40代を3人の女性達はどう生きるのか。そして最後に得るもの、または失うものは何なのかーー。杏、まり、優子、それぞれの出会いや選択に「自分ならどうする?どうなる?」と思いを巡らせずにはいられない、そこが『恋する母たち』の魅力かもしれません。
取材・文=宇都宮 薫
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