恐怖!モラハラ男の表とウラ 『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』maronさんインタビュー

#くらし   
「誰のおかげで生活できてると思ってんだ!」

恐怖!モラハラ男の表とウラ 『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』maronさんインタビュー(前編)


他人には見えにくい、家庭という密室で繰り広げられる「モラハラ」。モラハラとは「モラルハラスメント」を略した言葉で、道徳や倫理に反する、精神面に対する嫌がらせのこと。昨今離婚トラブルの原因としても、モラハラが増えているといいます。

モラハラは人格のほか、家事・育児を否定する、生活費を渡さない、相手を見下した態度や発言する……などいろいろな特徴がありますが、それらを赤裸々に4コマで描いたエッセイが登場しました! 『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』(maron:著、高田真弓:イラスト/KADOKAWA)で語られるエピソードはどれも強烈です。
誰のおかげで生活できているんだ!と威張る。4人家族の1か月の食費3万円を「高い」。勉強をがんばる娘に「中学出たら働かせる!」と脅す。なのに反論されると、同居の義母に泣きつくマザコンっぷり。そしてそれにもめげず、ガンガン言い返す嫁・maronさんの強さが不思議と笑いを誘う作品です。今回はmaronさんのモラハラ体験をさらに踏み込んで、お伺いしていきましょう。


結婚前はあんなに優しかったのに、実際は…

――数々の衝撃的なふるまいを放つ旦那様ですが、作中で「結婚前は好青年」とあったのがとても気になるポイントでした。相手がモラハラだ、ということが結婚前にわからないのは、なかなか怖い話だなと。

maron そうなんですよね。結婚前は本当に「好青年」でした。これは我が家だけでなく、Twitterなどでモラ夫と結婚した人の体験談を聞くと、多くの人が「結婚前はいい人だった」と言うんです。うちの旦那も皆さんの場合も、結婚とか出産とか同居とかの出来事がスイッチになり、モラハラが発動する感じです。人それぞれいろいろなスイッチがあり、だんだんモラハラ度が上がっていく。旦那は結婚前は、すごいレディファーストな人でした。荷物持ってあげる。ドアを開けてあげる。「結婚したら養ってあげるから働かなくていいよ。育児と家事、家のことだけしていてね」とか平気で言う。

――漫画では、結婚前はすごくよくしゃべる楽しい人だったのに、結婚したら突然無口な人になった……とありましたね。

maron  本当、二重人格みたいで怖いくらいです。結婚前はプレゼントとかもすごかった。記念日でも何もない日でも、突然数万円のアクセサリーをプレゼントしてくれたり。それが今や、ホームパックの1本30円のアイスも「贅沢だ」。自分はひと月10万円の飲み代を使っているのに。

「毎日アイスって贅沢じゃね?」


――一緒に車に乗ったら、ガソリン代を払え。子供が熱を出していちごを食べさせたら「お金あるねー」というエピソードもありましたね。結婚前のふるまいは、単なる「餌」だったのでしょうか? 釣った魚にエサはやらないという。

maron 結局は結婚前のレディファーストも、自分より弱いものを支配しないと生きていけない、裏返しなんでしょう。今振り返ると、好青年だった結婚前も束縛は結構きつかったです。電話していれば誰と話してたの? とチェックが入る。LINEの相手は誰? 友だちグループと遊びに行くと、メンバーに男の人はいたの? みたいな。でも結婚前はまだ支配下に置く前ですから、極力そういう面は隠していたように思えますね。

―――モラハラ気質の自覚があり、意図的に隠しているのでしょうか?

maron 旦那は基本的には、自分はモラハラだという自覚は全くないと思います。認知が歪んでいて、その歪みにすら気づいていません。家庭内のお山の大将なんですよね。旦那をはじめモラハラの人って外面がいいから、結婚するまで気づかない我が家のようなケースってすごく多いみたいです。結婚したのもきっと、会社員として妻と子どもはアイテムとして揃えておきたいという世間体からだと思うんですよね。

「これが本当の俺だから」

――結婚前の「好青年」も、まだmaronさんが「外の人」だからだったということですね。それが結婚後、豹変。自分の夫はモラハラだと気づいたのはどんなタイミングでしたか?

maron 本にも描いたエピソードですが、やはり新婚旅行から帰ってきたあたりから急に無口になったことですね。だから、結婚してすぐです。その時は「どうしたんだろう? 具合悪いのかな?」と心配していました。すると「コレが本当の俺だから」と言うんです。その瞬間、「あ~やらかした!」と。結婚したのは、まずかったかもしれないと。

――maronさんは今でも婚姻中ですよね。そこで逃げず、「いつかは変わるかも」と前向きな気持ちを持ち続けていたのはなぜでしょう。

maron 今ならそこですぐ離婚すべきだったと思うのですけど、モラハラ気質の人って、自分の言うこと聞きそうな人を見つけるのがうまいのもあると思います。私は自分で言うのも何ですが、かなりのお人よし。それを、見抜かれた気がしています。あとはモラハラって、無視したり暴言吐いたりという一定のひどい時期をすぎると急にやさしくなったりするらしいんです。「ハネムーン期」と言うらしいです。そうすると、優しい時もあるんだし……となってしまう。きっと無意識に逃げられそうだと察したら、優しく振る舞うんでしょうね。でも新婚の頃は、そんな言葉もしくみも全然知らなかった。モラハラの手口は、相手が外の世界に触れて常識を身つけさせないようにするのも定番です。「あなたのほうがおかしい」と言われないようにする。俺様教ですよね。でもやられているときは気づかない。すごく怖いなと思います。

――確かにモラハラに限らず、いろいろな詐欺なども、渦中にいると自分ではひどい目にあっていると気づきにくいという話はよく聞きます。そのような点から、このような作品が広く読まれることで「相手のしていることはモラハラだ」と気づく人がたくさんいるように思えます。本書を読むと、モラハラに遭遇しても思考停止して受け入れてしまわないため、皆でいろいろ考えていくきっかけになりそうです。

取材・文=木下頼子

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