「女の子に教育はいらない」⁉ モラハラ義実家の男尊女卑思想 『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』maronさんインタビュー

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ヒドすぎる!モラハラ義実家の男尊女卑思想 『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』maronさんインタビュー(中編)

結婚したら、夫がモラハラ※&マザコンを発動! そんな生活を4コマで描いたエッセイ『ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術』(maron:著、高田真弓:イラスト/KADOKAWA)。著者であるmaronさんに、ご家庭のモラハラ事情についてお話をお伺いしました。

※「モラルハラスメント」を略した言葉で、道徳や倫理に反する、精神面に対する嫌がらせのこと。

義実家の男尊女卑思想がひどい


――maronさんの旦那様がモラハラ気質なのは、作中にも重要なキーパーソンとして登場する義母さんの影響も大きいように思えました。そのふたりがタッグを組むコンビネーションが鮮烈ですね。

maron 基本、旦那を含む義実家は今の時代にそぐわないレベルの、前々時代的な男尊女卑です。旦那が娘に「中学出たら働け」と言ったり、義母も「女の子に教育はいらない」と言ったり。挙句の果てに、義母は私の実家にまで電話してそれを言うんですよね。もう本当に、戦前にタイムスリップしているみたいです。

モラ夫が娘に「働かせる」というのは、私たちに対する嫌味や嫌がらせも含まれていると思うんですけど、それでも言っていいことと、悪いことがある。だったらあなたには頼らない、自分で稼いで子どもを大学出さなくては! と思っています。ケチというより、男の子至上主義なんですよ。だから小学生の甥っ子には凄く甘くて、まだ小学生なのに私立の大学に行きなさいとか言っている。

多分義家族みんな、そんな感じでちょっとおかしい。でも、外面がすごくいいんですよ。私の両親も、義家族が少しおかしいことは気づいていたみたいなんですが、外面のせいでここまで酷いとは思っていなかったみたいです。私も親も、みんなして義家族に騙されちゃったって感じですかね(笑)。

女の子は高校に行かせない…!?


――義実家を見て、maronさんが反面教師にしていることはありますか?

maron 旦那たちのように「女だから」「男だから」と、言わないようしています。下の娘が一時期、車とか大好きだったんですよ。そういう時も「女の子なんだから~」と否定しないように気を付け、近所の消防署に消防車を見に行ったり、救急車柄の服とか靴下とか買ってみたり。

でも私の中にもきっと、男尊女卑の価値観はあると思います。田舎で育ち、男尊女卑がしみついていた土地柄だったので。例えばお正月。親戚の男連中はお酒を飲んで。母や叔母たちは忙しく働いている光景を当たり前のものと思っていました。でも違和感に気づくことはできたのは、ネットの普及でいろいろな価値観に触れられるようになったこと。あとは関東に来て、田舎とは全然違う世界だったこと。そういったことを考えると、子どもはやっぱり人口の多いところで育てたほうがいいなと思っています。

――そういった教育方針を、家族で共有できない辛さもありそうです。

maron そうなんですよね。私がひとりでそうやって気を付けていても、義母と旦那が娘に直接「女なんだから」とか言ってしまう。モラ夫がひとりで理不尽に不機嫌なだけなのに、義母が娘に「あなたがパパを怒らせるから悪い」、私には「あなたにも責任がある」と言うんです。長女は一時期、義母からそう言われるのを悩んでいたみたいなんですよね。そのことを私にも言えなかったみたいで、すごく辛い思いをさせてしまって申し訳なかったです。

モラハラ旦那の買う買う詐欺


――お子さんがかわいそうになるエピソードに「買う買う詐欺」がありましたね。スマホが欲しいと訴える長女ちゃんに、「中学入ったら」「誕生日に」「テストでいい点とったら」「巨人が優勝したら」とはぐらかし続けて、結局買ってあげないという。単なるケチ、を超えた何かを感じます。

maron 旦那の「買う買う詐欺」は似たようなことが何十回もありました。やっぱり馬鹿にしているんですよ。女子どもを。子どもに「家賃払え」とか言うこともあり、無理難題をふっかけるなんて本当に信じられません。経済を盾に力をふりかざし、支配できると思っているのでしょう。

私の子ども時代なんかは、祖父に物置に閉じ込められたり、学校でめっちゃ叩かれて立たされたりとかしたりすることもありなかなか酷い時代でしたが(笑)、今はもうそういうことをしてはいけない時代じゃないですか。でも義母は今でも「親が子どもをたたくのはどこにでもあること。普通だ」と思っている。義家族は子どもにも人権があるという価値観がアップデートされていないので、もう何を言っても無理だと思っていますし、限界を感じています。だからもう距離を置き、離れさせるしかないなと。

子どもへの虐待を容認する義母


――いざ離婚となったとき、どんなケースであってもやはり金銭面の問題は大きいですよね。シングルマザーの貧困問題をとりあげたニュースも多い昨今ですがモラハラ下においてはさらに様々な困難がありそうです。

maron 私も実家が田舎なのですごく分かるんですが、田舎だと家事育児が女の仕事とされていてなかなか働きにくい。そもそも仕事もあまりないので、専業主婦になってしまう。そういった問題がすごく顕著です。すると、モラハラされても耐えるしかない。そしてモラハラ男がますますつけあがる。そういう経緯でうつ病になり、今も治療中の親戚もいるんですよ。各家庭の問題だけではなく、女性が働きにくい、家事育児の負担を負うのが当然という社会の構造的な問題も大きいと思います。だから娘ふたりには、絶対に学校はまじめに行って、仕事は絶対やめちゃダメだと伝えたいです。

――この本はギャグっぽい明るいテンションで描かれているものの、女性をとりまく環境のいろいろな問題に気づくことができる作品でもありますね。それと同時に、同居嫁であるmaronさんを猛烈に応援したくなり、読み進めるうちに心はファイター……! maronさんの奮闘に、モラハラの渦中にいる人もそうでない人も、世の理不尽には戦わねばと思わせられるのではないでしょうか。

取材・文=木下頼子

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