実は誰にとっても身近なこと。多様性を認め合う「インクルージョン」な社会に向けて、私たちができること

#くらし 
オンライン・シンポジウム『「多様性」の、その先へ~ インクルージョンがもたらす成長』の登壇者たち

近年、少しずつではありますが、LGBTQ+などさまざまなマイノリティを抱える人をそのままの形で受け入れよう、という「Inclusion(インクルージョン)」の流れが起こっています。しかしその点において、日本はまだまだ後進国。ビジネスシーンにおいて、国籍、LGBTQ+、障害のある人などさまざまな“違い”のある人がお互いの違いを認め合い、活かしあうにはどうすればいいのでしょうか。

そんな課題を抱える中、2021年6月16日(水)、P&GとNewsPicksがタッグを組み、『「多様性」の、その先へ~ インクルージョンがもたらす成長』というテーマのもとオンライン・シンポジウムを開催しました。このシンポジウムはYoutubeやTwitterで配信され、多くの視聴者がコメントを投稿する形で参加しました。

まずはP&Gジャパン合同会社 社長 スタニスラブ・ベセラさんによる挨拶。

P&Gジャパン合同会社 社長 スタニスラブ・ベセラさん

ベセラさんは、P&Gが取り組んでいる「Equality(イクオリティ) & Inclusion(インクルージョン) 」、すなわち「平等な機会とインクルーシブな世界の実現」について紹介し、P&Gにとって人材こそ最も重要な資産であり、多様性は組織の成功の基盤であると話しました。

日本のジェンダーギャップ指数は、G7の中で最下位…

挨拶のあとは、早速パネルディスカッション。ジャーナリストである治部れんげさんがファシリテーターを務め、シドニー五輪金メダリストでスポーツキャスターの高橋尚子さん、 LGBTQ+コミュニティのサポートで積極的に活動するモデルの長谷川ミラさん、コピーライターで世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋さん、P&Gジャパン合同会社 人事統括本部 シニアディレクターの市川薫さんとともに「Equality & Inclusion」実現に向けて議論を開始しました。

 

日本は、ジェンダーギャップ指数が世界で121位、G7の中では最下位となっています。中でも政治、経済という分野においては女性の活躍が特に少なく、まだまだ男性社会であると感じるのが現実です。また、男女の問題だけでなく、LGBTQ+を巡る環境についても日本ではインクルージョンが遅れています。G7の中で、同性カップルのパートナーシップが法制化されていないのは日本だけ。セクシャルマイノリティーの人やトランスジェンダーの人が職場で自身のことを話せないなど、課題は山積です。

そこで市川さんは、「まず、LGBTQ+に該当する人は全体の8%~10%、左利きの人と同じくらいの割合で存在するということから認識を改める必要がある」と説明。長谷川さんも、SNSなどで知りやすい環境になってきてはいるものの、「大人になっても学べる機会をもっと作ってほしい」と提言しました。

 【画像を見る】LGBTQ+コミュニティのサポートで積極的に活動するモデルの長谷川ミラさん

また、LGBTQ+だけでなく、障害者の雇用問題についても触れられました。障害者雇用は数値だけ見ると年々改善されていますが、澤田さんによると実態はあまり芳しくないとのこと。障害者は健常者の半分以下の割合でしか職につけておらず、企業が法定雇用率を満たすためだけに雇用して仕事を与えないケースもあるそうです。

フルーツポンチ型のインクルージョン、できていますか?

これらを踏まえて「インクルーシブな社会実現に向けての取り組み」というテーマを掲げ、改めて今後どうしていくのがいいのかを議論を開始。まずは市川さんが、ダイバーシティ(多様性)はあってもインクルージョン(内包)されていない状況を変えていくには、「文化」「制度」「スキル」の3つの柱を尊重していくことが大切だと訴えました。現在23歳と若い世代である長谷川さんでさえ、過去に「大人になったらみんなと同じようにたばこを吸わないといけないのか」と思った経験があるそうです。

コピーライターで世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋さん

また、澤田さんはインクルージョンを「ミックスジュース型(多数派に染まってしまう)」と「フルーツポンチ型(ちゃんと個々の持ち味が尊重されている)」に分けて考えているそう。このうち「フルーツポンチ型」こそが理想の姿であると説明し、「目が見えない人には、目が見える人には見えない世界が見えている」と話します。高橋さんも、「相手の立場に立って考えてみることで、今の状況は緩和されるはず」と、自分に見えている世界だけがすべてではないことを念頭に置く大切さを語りました。

そして、インクルージョンが浸透していかない現実はビジネスの場に限ったことではなく、私生活においても起こっていると治部さん。澤田さんは、息子が全盲で生まれたことで福祉の世界やマイノリティに興味を持ったと話し、それまで自分とは違う人種であると線を引いていた現実に気付いたそう。しかし全盲である息子にもマジョリティや強みがあることに気付き、実は誰しもそうなのだとハッとしたと明かしました。

また、長谷川さんも「ミックス(ハーフ)として育ってきて、日本で育ってきたのに日本人として見てもらえない現実があった」と告白。理想の世界は「誰もがマイノリティ」で、まずはお互いを知ることが何より大切であると訴えました。市川さんも「無意識の偏見があることを意識しておかないと鈍感になってしまう」と、常日頃から意識的に考えることの重要性を実感しているそうです。

「インクルージョンはスキル」! 相手を知ること、学ぶことが大切!

それぞれがインクルージョンについて考えてきたこのシンポジウム。最後の議題は「インクルーシブな未来に向けての提言」です。市川さんは「インクルージョンはスキル」であると話し、人徳がないとできないことではなく、ちょっとした行動や気づきでできることだと説明。長谷川さんは「情報へ向かっていく」と回答し、まとめやニュースだけチェックするのではなく、自ら情報に向かってほしいと主張しました。

シドニー五輪金メダリストでスポーツキャスターの高橋尚子さん

また、高橋さんは「他人との違いを見つけて考えてみる」と回答。改めて、こうした意識を日ごろから持っておくことが大切だと語りました。澤田さんは、毎日ポケットにハンカチを入れるように、インクルーシブな意識をポケットに、という意味を込めて「ポケットにE&Iを」と回答。これからも多様な友達を作っていきたいと話しました。

最後は、視聴者からの質問に回答するコーナーも。「多様性を重んじない人に対して、どのようにアプローチしていますか?」という質問に対し、女性の生きづらさと男性の生きづらさがセットになっていることが多いので、それらをセットにして話します、と治部さん。例えば男性に「日中にスーパーなどに行きづらかったことはありませんか?」と聞いてみるなど、あなたにも関係がありますよ、と伝えているそうです。

ジャーナリストの治部れんげさん

このほかにもさまざまな意見が飛び交い、それぞれ気付きの多い良い機会になりましたと登壇者たち。平等な機会とインクルーシブな世界を実現にするためには、自分の“当たり前”を疑い、相手に見えている世界を想像してみることが大切。「自分には関係ない」なんて思わずに、改めてこうした問題に目を向け、真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

取材、文=月乃雫

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