次世代のクリーンエネルギー「水素」の課題とは/誰かに話したくなる地球の雑学

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誰かに話したくなる地球の雑学 153回


日本の裏側は本当にブラジル!? フグが自分の毒で死なないのはなぜ? きっと誰かに話したくなる理系のウンチクを、『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から1日1本お届け!

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クリーンエネルギーとして注目される水素は自然界にほとんど存在しない!?


地球環境の保護と、エネルギーの安定供給という表裏一体の重要課題を解決するため、現在、化石エネルギーに代わる新たなエネルギーが求められている。なかでも、燃やしてもほとんど有害物質を排出することなく、二酸化炭素も発生しない「水素(元素記号はH)」は次世代エネルギーとして大きく注目されており、水素燃料電池自動車などの開発が急がれている。

では、そもそも水素とはどんな物質なのか。水素を最初に発見したのはイギリスの化学者ヘンリー・キャベンディッシュで、1766年のことであった。地球上でいちばん軽い気体で、無色、無臭、無害。宇宙全体で見るともっとも多く存在する元素で、宇宙の質量全体の約7割を占めるといわれている。

このように大量に存在しているイメージの水素だが、じつは自然界には分子レベルで使える純粋な水素(H2)はほとんど存在しない。なぜなら、水素は酸素(O)と結びつきやすいことから、次々と酸素と一緒になって、より安定した形態の水(H2O)に変化してしまうからだ。

つまり、ほとんどの水素が水やメタン(CH4)などの形で存在することから、これをエネルギーとして利用するためには、何らかの方法で分離しなければならない。具体的な方法としては、水の電気分解、石炭燃焼の副産物(副生水素)として取り出す方法、天然ガスなど化石燃料の改質などが挙げられるが、水の電気分解以外の方法では、作業の段階で二酸化炭素が発生してしまう。

そうした意味では、水素が完全にクリーンなエネルギーとはいえないことから、今後、さらなる技術の改良が求められている。

著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(KADOKAWA)

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