世界を旅した気分になれる!親子で「ふしぎなことわざの世界」を楽しもう
「猫に小判」「月とスッポン」…日本には多くのことわざがあります。海外にも、ほぼ同じ意味の表現がたくさんありますが、比喩(たとえ)に使われるものは言語によって異なり、ユニークなものが数多く登場します。
8月17日に発売となった『320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑』からいくつか見ていきましょう。
たとえば、「腐っても鯛」。立派なものや価値のあるものは、落ち目になっても品格があり、ふつうのものとは違うということですが、海外では同じ意味でも、次のように意外なたとえが使われています。
・ゾウは死んでも90万ルピー(インドのことわざ)
・ラクダはやせて死んでも馬より大きい(中国のことわざ)
日本では「価値のあるもの」のたとえとして高級魚の「鯛」が使われていますが、インドではゾウ、中国ではラクダが登場するのです。
インドのことわざでは、ゾウは大金持ちのたとえとしてよく使われます。
中国では、古くからシルクロードでの交易のためにラクダが使われてきました。重い荷物を背に積み、寒暖差がはげしく水のほとんどない沙漠を横断してくれるラクダが、当時の人々にとってどんなにありがたかったか、このことわざからもうかがえます。

もう一組ご紹介しましょう。
日本では「虎穴に入らずんば虎子を得ず」で知られることわざ、海外では同じ意味で、次のような表現が使われています。
・危険をおかさない者は海を渡れない(スペインのことわざ)
・オオカミが怖けりゃ森へ行くな(ロシアのことわざ)

大航海時代、スペインの人々は船で大海を渡り世界中を探検していました。イタリア出身のコロンブスも、スペインの女王の援助を受け、航海していたといわれています。そんなスペインの人々の価値観として「危険をおかして海を渡る」ことが根付いていったのかもしれません。歴史のロマンを感じることわざですね。
また、ロシアでは森に多く生息するオオカミが登場します。森にオオカミが出るのは当たり前で、後で怖じけづくくらいなら、始めから森へ行くなというわけです。ロシアでは森の中に「ダーチャ」と呼ばれる別荘を持っている家庭が多く、平日は都会で過ごし、土日はダーチャでキノコ狩やイチゴ狩を楽しむ文化があり、ロシアの人々にとって森は身近な存在なのです。

『320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑』は、世界を見渡せるように、それぞれの国の文化や慣習の違いを反映した320 のユニークな表現を集め、イラストとともにやさしく解説しています。
日本のことわざも、世界に視野をひろげることによって、あらためて特色が浮かびあがってきます。なかなか海外旅行には出かけられない昨今ですが、この1冊でぜひ世界を旅した気分を味わってみてください。
文= 北村孝一
【著者プロフィール】
北村孝一
ことわざ研究者。1946年生まれ。北海道出身。1978年頃、ことわざ集の翻訳を依頼されたことからことわざに積極的関心を抱き、世界のことわざを収集・分析する。2007年「ことわざ学会」創立に参加。主な編著に『おぼえる! 学べる! たのしいことわざ』(高橋書店) 、『故事俗信ことわざ大辞典第二版』( 小学館) などがある。
伊藤ハムスター
多摩美術大学油絵科卒。フリーのイラストレーターとして活動中。くすりと笑えるイラストレーションをモットーに制作。好きなことわざは「果報は寝て待て」
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