仏壇の前で泣き崩れ…16歳の弟の死後にある事実を知った幼馴染の女の子／16歳で帰らなくなった弟 外伝（5）

「16歳で帰らなくなった弟」の著者のきむらかずよさんに、今改めて思う事についてうかがいました。

――はなちゃんのエピソードなどをみても、弟さんは女の子にも人気のある魅力的な若者だったんだと思いました。そのあたりお姉さんから見てどうでしたか？

きむらかずよさん「弟は目立ちたがり屋でやんちゃで、誰とでもすぐに友達になる子でしたね。
子どもの頃から、友達のことを悪く言われるのを何より嫌い、私が弟の友達を悪く言ったりすると、すごく怒りました。
面白いことをするために体を張るようなところがあり、女の子に優しかったので、年齢問わず、女の人に可愛がられるタイプだったようです。
私の友達も、みんな弟を呼び捨てで呼び、実の弟のように可愛がってくれていましたね」

――この作品の反響はいかがでしょうか。印象に残った反響や言葉などあれば教えてください。

きむらさん「シングルマザーで10代の一人息子を育てている人が寄せてくださったのですが、『息子は思春期の時は突然いなくなって、警察にも何度も捜索願いを出したりと大変だった。その子が、本を読んで「いってらっしゃいって大事なんやな。お母さんがそのまま帰って来なくなったら俺は困る」と言ってくれた』という言葉をかけてくださり、描いてよかったと改めて思いましたね。
『いってらっしゃい』の大切さの感想をくれた方がとても多く、少しでも自分の経験がお役に立てたのだと感じて、嬉しく思っています」

きむらさんの言葉は、当たり前のように日々を過ごす私たちに、いかにその生活が当たり前じゃないかという気づきを与えてくれます。忙しい毎日につい忘れがちですが、時には立ち止まって、大切な人たちが無事であることのありがたさを考えたいですね。

著＝きむらかずよ／『16歳で帰らなくなった弟 外伝』

【著者プロフィール】
きむらかずよ
イラストレーター。小学１年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は３人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」にてデビュー。