受験目前の年末にまさかの偏差値大暴落!!メンタルも不安定に…【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て 

書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第93回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の受験生の娘がいます。5年の初め頃は「このままで受験できるのか?」と思うほど低かった偏差値が、転塾して先生に恵まれたこともあり徐々にアップ。本人もやる気が出てきて、今年の夏はすごく勉強をがんばっていました。その成果が表れ、10月の模試では当初より15ポイントも偏差値がアップ。親子で喜んでいたのですが、先日の12月の模試ではまた10ポイント以上落ちてしまいました。解き直してみるとちゃんとできていて、問題自体を理解していないというわけではなさそうです。

受験が押し迫ったこの時期の偏差値の急降下に、私はかなり焦っているのですが、本人はボーっとする時間が多くなっていて、ちょっとがんばれなくなっているように見えます。例えば、朝起きて計算は必ずやろうということになっているのですが、何度言っても起きないなど、受験生の緊張感が感じられません。偏差値が下がり、落ち込んでいるかと思いきや、それも結果が出たその1日だけ。今はめちゃくちゃ機嫌もよく、それも不可解です。私に対しても「学校が楽しかった」「給食がおいしかった」というような楽しい話しかしてきません。

学校の先生や塾の先生に相談したところ、共通して言われたのは「娘はパニックになるとおどける節がある」ということ。私はそれを天真爛漫と捉えていたのですが、たくさんの子どもを見てらっしゃるプロの方から見ると、今の娘の明るい振る舞いは、実はちょっとパニック状態なのではないかとのことでした。

また、塾の先生には、娘はかなり環境に影響されやすく、最初の科目でつまずくと、それが尾を引いて総崩れしやすいタイプのように思うとも言われました。確かに、最初の国語がノリノリでできた時は調子が良くて、ダメな時はその後の科目も全部ダメということが多い気がします。そして、「こういう子は入試の初日で転ぶと、残りをずっと転びがちだから、入試本番に実力を出せるように、メンタルを安定させてあげる方法を何か見つけてあげてください」とアドバイスを受けました。

それでどうしたらいいか考えているのですが、いいアイデアが思い浮かばずにいます。具体的にどんなことをしてあげたらいいのかアドバイスをいただきたいです。(Tさん・42歳)

【小川先生の回答】

夏にがんばった子ほど、秋に崩れやすい

まず初めに親御さんに知っておいてもらいたいのは、「夏にがんばって伸びた子は、秋に一旦崩れる」ということ。それにはちゃんと理由があり、夏は時間が多く使えるため、勉強の量を増やすことにより学習成果が上がるのですが、9月に入って学校が始まると、急にがんばれる時間が1/3に減ります。すると、やりたいことや、今までやっていた感覚の量が全然できないうちに1日が終わってしまうようになり、自分が思ったようにできないことに壁を感じるようになるのです。時間イメージを持てる子の場合は大丈夫ですが、多くの子は気合でがんばっているため、夏休みと同じようにがんばれていないことに、段々不安が募っていきます。

その結果、10月頃に成績が落ちたり、踏ん張って粘った末、11月や12月にふっと無気力になったような症状を出したりなど、エアポケットに落ちるような瞬間がやってきてしまうのです。これは夏にがんばった子に大体起きる現象で、娘さんも12月までよく踏ん張った方だと思います。

夏休みと同じようにがんばるのは無理と知ろう

今の娘さんは、「もっとがんばらなきゃ」と思いながら、「やれてない」という不満足な感じを溜めてきて、自信を失っている状態です。夏にがんばったぶん、9月からも同じ位がんばりたいのに、時間がそうさせてくれないことで、知らず知らずに不満や不安がたまっていき、それがこらえ切れずに12月に出たのでしょう。いわば、息が苦しいのもこらえて坂道をぐいぐい登り続けてきたけれど、「もう登れない」と足が止まってぜいぜい肩で息をしている状態が今です。

ボーっとする時間が多いのも、やる気がなくなったからではなく、「無理し過ぎているから休憩しなさい」という体からのサイン。だから「がんばり過ぎて疲れちゃったんだね。これからはがんばれる範囲でがんばっていこう」と、まずは言ってあげましょう。呼吸を整えて一息ついたら、また登れます。

無目的で無生産な何もない時間も必要

また、これは親子双方に言えることですが、「受験生たるもの、何かしら成果のある時間を積み重ねばならない」という思考に陥っているような気がしました。娘さんが「学校が楽しかった」という話をするのも、学校が楽しく良い時間だったと言うことによって、充実した時間を過ごしたと自分に言い聞かせているように感じられるし、お母さんが「受験生なのに緊張感がない」とイライラしてしまうのも、他の受験生全員がフル回転で1日使っていると、どこかで勘違いしているようにも思えます。でも実際は、受験生でも1日の学習に使える時間の内、6割以上の時間で密度濃く取り組めている子は相当な優秀児のみ。ほとんどの子は半分位使うので精一杯です。

そして、成績上位の子を含め、誰もが必ず『何しているかわからない時間』を持っています。フルで動こうとしたところで、脳がついてこないため、ボーっと問題を眺めて止まっている時間というのを必ず挟んでいるのです。だから、「時間を全部埋めなくても大丈夫なんだよ」ということも教えてあげたほうがいいですね。無目的で無生産な時間があっていい。いやむしろ、そういう時間が必要なんだということをわかっておくと、気持ちもいくらかラクになると思います。

週に1~2回振り返り安定タイムを設ける

本人に今必要なのは、不安感を解消してあげる上手な一休み。そもそもこの不安感は、取り入れる学習が多過ぎたことに起因しているため、休憩がてら、今までやったことをおさらいする時間を設けるのがいいと思います。但し、気合を入れてインプットという感じではなく、お茶を飲みながらテキストやノートをパラパラめくる感じで振り返りましょう。そうすることで、やったことを自分でちゃんと再確認できるため、次第に本人の中で元気や自信が湧いてきます。このような振り返り安心タイムを週に1~2回設けることで、本人の不安定な状態と安定した状態の違いを体が自覚できるようになり、そのコントロールもしやすくなります。

そして入試の前日には、30分位安定タイムを取ってからよく寝ること。そして朝起きたら、前日見返したものをチラッと眺める程度にしましょう。それだけで、前日の安定した感覚は取り戻せます。逆に、入試会場に向かう電車の中で、がんばってあれこれ見過ぎるのはよくありません。見れば見るだけ、見なかったことが不安になるからです。とはいえ、何も持って行かないと、今度は見られないことに不安を感じるため、『鞄には入れるけど結局見ない』というのがベスト。いつでも見られるものって結局見なかったりしますが、『いつでも見られる』と思うから安心するんですよね。そんなふうに、本人の気持ちの安定を図ってあげるとよいのではないでしょうか。

お子さんは本当に努力してきましたね。本人が納得の受験を完了させていけることを願っています。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』

大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。


■小川先生のTwitter:@Kosodate_Ogawa
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