繊細過ぎる小1男子。新しいことになかなか挑戦しようとしません【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て 

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第97回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小1の息子は、もともと繊細なタイプだったのですが、自由保育の幼稚園に通って、だいぶ元気いっぱい遊べるようになりました。小学校も同じ幼稚園の子が多かったため、入学当初は放課後も友達と遊んでいたほどです。ところが、仲の良かった子が1学期で突然転校してしまい、そこから気持ちが落ち込んで、また昔のビビりモードに突入。放課後の遊びも学童もなかなか行ってくれず、家でゴロゴロすることが増えました。学童に行くと鬼ごっこなどは楽しめているようですが、新しい友達と新しい遊びをするとなると、急に心を閉ざしてしまいます。先日も学童でサッカーをする機会があったのですが、1人で部屋にこもってしまったとのこと。本人に聞くと「怖い。緊張する。入るタイミングがわからない」と、かなり怖気づいている様子が伺えました。

体を動かすのは好きなので、ある程度は発散させたほうがいいと思っているのですが、今やっているのは、友達に誘われて始めた水泳くらい。最初は水を怖がっていましたが、やっているうちに楽しくなってきたようで、友達が先にどんどん級が上がっていっても、心折れることなくがんばっています。それで、最近仲良くなった友達がやっているサッカーも勧めてみたところ、「やらない」ときっぱり。「水泳で手いっぱい。新しく始めるなら水泳やめる」と言われてしまい、新しいチャレンジは増やせずにいます。

いっぽうで、お正月に実家に帰り、いとこのお兄ちゃんにサッカーを誘われた時のこと。最初は行かないと言っていたのですが、「少し見て帰ろう」と誘って見に行ったら、いとこと一緒にボールをけり始め、楽しくなってミニゲームまで参加していました。本人もとても楽しそうで、「まだ帰りたくない!」とぐずるほど。きっとやり始めたら結構楽しめることが他にもありそうな気がするのですが、始めるまで誘導するのがなかなか難しい状況です。もう少し様子を見ていていいのかなとは思いつつ、小さい頃は自分では判断できないので、親がある程度道筋を作ってあげた方がいいとも聞き、きっかけ作りをもっとしたほうがいいのか、悩みどころです。

また、性格は後天的なものなので経験によって変わるけれど、気質はその子のもともとの特徴だから変わらないとよく聞きます。息子のような繊細な気質の子は、例えば失敗した時にトラウマになりやすいなど、注意すべきポイントのようなものがあればお聞きしたいです。(Wさん・35歳)

【小川先生の回答】

誘導ではなく、本人の心が動いた出会いを膨らませる

おそらく息子さんは、映像イメージを作ることが苦手なタイプ。「やってる自分」というのを想像して、「楽しそうだから」と動くのではなく、実際にやってみて「できた」「面白い」と感じてからその気になるタイプです。そのため、誘導という方法は向いていません。本人が気が向いたものをやってみて、楽しかったらまたやればいいし、ちょっと触れてみて「もういいかな」となったら、それは合わなかったと思えばいいだけです。何かに出会わせるために誘導するのではなく、本人が出会ったものを拾ってあげるスタンスに立ち、本人がやってみたその後を伸ばしてあげる気持ちで関わってあげると良いでしょう。

そのような本人なりの出会いを膨らませてあげる関わりを小3くらいまで続けていくと、「やってみたらいろいろ面白いことが増える」ということがわかり、「やればできるかも」という気分も育っていきます。そうしていくうちに、「新しい場所は緊張する」という要素も次第に和らいでいくと思います。

ひとつでも自信が持てると、他のことも取り組みやすくなる

水泳に関しては、本人が「手いっぱい」と言うほどがんばっているようですね。それはこのまま続けさせて「水泳はできる」と言わせてあげましょう。できることがひとつでも大きく育つと、他のことも取り組みやすくなります。息子さんのように狭く深く掘って行くタイプの子は、いろいろと無理に広げようとせず、まずは深く掘らせてあげることが大切。十分に深くまでいったものをひとつでも持てたら、それは大きな自信となります。そうすると、徐々に他のことにも広げやすくなるため、今は一点豪華主義で大丈夫です。余裕が出てきたら他のこともやってみるという感じでいいでしょう。

大人の「ちょっと」は子どもには「重い」ことも

大人は気楽に「ちょっとやってみたら?」と言ってしまいがちですが、子どもによってはその「ちょっとやる」の1個1個が重たく感じる子もいます。特に息子さんのようにあれこれ考えて緊張してしまう子の場合、「みんながやってるところに入って、自分だけうまくいかなかったらどうしよう」など不安が先に立ってしまうため、「いいからやってみよう」と押されるのは相当しんどいはず。ですから、大人主導で誘う、促すのではなく、始めるところはあくまでも本人任せにしましょう。本人の気分が動いた時というのは、既にあれこれ気にする段階を乗り越えているため、その時は「やってみたら?」と背中を押してあげるだけでいいと思います。その際、「あなたが楽しければそれでいい」ということを、先に渡してあげることもポイントです。「うまくできるかどうかは要求していない」というスタンスを常に伝え続けることで、本人としても一歩目のハードルが下がります。

気質は変わらなくとも、気質の活かし方を学べばいいだけ

また、繊細ということをとても気にされているようですが、繊細というよりも肌感覚が敏感だから、いろいろなことを察知できて慎重になってしまうだけだと思います。そもそも、既に関係ができている場所に溶け込むには、その場の空気を1回壊さなきゃなりません。息子さんは空気を感じとるところが敏感だからこそ、その空気を壊すことに対してストレスを感じてしまうのでしょう。こういった感覚も、体の成長に応じてコントロールできるようになっていきます。ですから、「慎重=人と交われない」と決めつけてしまわずに、慎重だからこそ、ものごとを始める前にいろいろ気にすることができると捉えてあげましょう。慎重だからこそケガもあまりしないでしょうし、不用意に人を傷つけることもない。簡単に口車に乗らないから、将来詐欺で騙されるようなことも少ないかもしれませんね。慎重な気質というのを大事に持ちつつ、それをどう使うかを学んでいけばいいのです。

うまくいかなかった中のできていることに目を向ける

失敗がトラウマになるかどうかについては、うまくいかなかったことについてのその後の捉え方で決まります。「ダメだった」という言葉でくくってしまうと、それは失敗としてずっと残ってしまうでしょう。うまくいかなかった時に大事なのは、できていることに目を向け、言葉にしてあげることです。例えば時間に間に合わなかったということがあれば、「惜しいところまでいったね」と、うまくいかなかった中にもできていることがあることを、まずはちゃんと伝えること。そのうえで、「あと5分スタートが早ければ間に合ってたね」と、ごく一部分を変えるだけで結果も変わるということを本人に教えてあげれば、それはトラウマではなく経験に変えることができます。

サッカーをやってみてうまくいかなかったとしても、やってみようと思って始めたこと自体をまずは評価してあげましょう。それに、そもそも初回からうまくできたらそれこそ天才です。うまい子だって最初からうまかったわけではなく、できないことをひとつひとつ練習してできるように変わっていったのです。だから今だけを切り取って「自分ができない」と捉えずに、練習すればできるようになるということも併せて教えてあげましょう。息子さんは、やってみようと思ったことに対しては深掘りするタイプなので、上達も早いでしょうし、習得する能力も高いと思います。ですから、本人が出会って動き出したものを膨らませてあげる関わりをしていけば大丈夫。次第に自分に合うものや自分のスタイルを見つけられると思いますよ。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『あれこれ無理にやらせなくても、一点豪華主義で大丈夫』
ひとつのことを深掘りできる子は、他のこともがんばれるようになります。やろうと思ったことはトコトンできるようになるので、本人のやりたい気持ちを大切に見守ってあげましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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