上の子を優先し過ぎて、第2子に十分手がかけられていないのが気がかりです【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第98回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6と小1の娘がいます。フルタイムで働いている中、長女が中学受験をすることもあり、私の余った時間は今まですべて長女につぎ込んできていました。家族思いで優しくて、お友達の間ではリーダーシップを発揮するタイプの次女は、あまり心配するところもなかったこともあり、正直ほったらかし状態。でも最近、受験も落ち着きよくよく考えてみると、次女も学校生活で困っているタイプかもしれないと気になり始めました。

次女は頑固なところもあり、その頑固さが学校生活の中では、「お話を聞かない」という評価になってしまっているようです。例えば、言われた通りにやるというのがすごく苦手で、文字をマスの中にキレイに書くなど、1年生が当たり前のようにやらされることがあまり好きではありません。そのくせ理想はすごく高くて、姉ができることは自分もできると思っているので、ファーストトライでそれができないと、すぐに嫌になってしまいます。先日も学校でカタカナのテストの直しが多過ぎたことが嫌で、掃除の時間にほうきを床に叩きつけて泣いて怒っていたということでした。また、学校で娘の靴がなくなるという事件があったのですが、様々な状況を総合的に考えると、おそらくそれは娘の自作自演。みんなの注目を集めたかったのではないかというのが先生の見立てでした。

家での次女は、構ってもらえないこともあり、いつも1人で遊んでいます。それもリビングなどみんなのいるところでやると、姉に「うるさい!」と怒られるため、寝室が彼女の遊び場所。そこで大きな声でセリフを言いながら、お人形遊びなどに熱中していたりするのを見ると、やはりもっと話したいのかなという気もします。それで、時間のある時に話を聞こうとするのですが、私が聞くモードだと察知すると、ホントにものすごくしゃべってきて止まらなくなるため、悪いと思いつつ途中で私が離脱してしまいます。次女の気になる部分がいろいろ見えてきて、もうちょっと手をかけてあげなきゃいけないと思っているのですが、あまりにも今までほったらかしにし過ぎていたため、何から手をつけていいかわかりません。(Tさん・42歳)

【小川先生の回答】

話を聞いてもらえない子は、人の話も聞かない

周りの注目を集めたいがために、自分の靴を隠すなんて、小1にしてはとても賢い子ですね。それくらい自分のことを見て欲しい、聞いて欲しいという欲求がたまっているのでしょう。ですから何をおいてもまずやるべきことは、すでにご相談者ご自身がよく分かってらっしゃる通り、本人の話を聞くことですね。それも中途半端に聞いて離脱するような聞き方ではなく、とにかく口を挟まずに、最後まで話を聞き切ること。自分の話を聞いてもらえない子が、人の話を聞くわけがありませんよね。自分の話を聞いてもらえるから、ママの言うことも先生の言うことも聞けるようになる。ですから「聞かなきゃダメよ」と指示するんじゃなくて、「ママが聞いてこなくて、あなただけ聞けってそれはないよね」と謝るところから始めて、本人が話したいことを思う存分に話させてあげましょう。本人の中にあるものを十分に吐き出して気持ちが満足すれば、話を聞こうとか、決まり事を守ろうとか、そういった余裕も生まれます。お仕事も家事もとても忙しいご様子なので、毎日とは言いません。週末も上手く使って、週に2~3回くらい、話を聞く時間をとるようにしてみてはいかがでしょうか。

話を聞く時間をスケジュールに組み込んで可視化する

話し出すと止まらなくなるから途中で離脱してしまうとのことですが、それは「ちょっと時間が空いたから話でも聞こうかな」と、知らず知らずのうちに軽い扱いをしているからです。ちゃんと聞くというのは、1時間単位でしっかり時間をとっておくものだと認識してください。本気で聞くというのは相手の存在を正面から受け止める行為です。その時、相手は「その場に生きていられる」のです。次女さんにとって、ママが自分の話を本気で聞いてくれることは、ご相談者が想像されている以上に大きな意味と力があると思います。ですから、その間に他のことを同時並行でやるような「ながら聞き」も聞いたことにはなりませんよね。会議に入るくらいの気持ちで、ちゃんとその子とだけ向き合う時間を作るようになさってください。

そのためには、話を聞く時間をスケジュールに組み込んで可視化することが必要です。子どもの会話を邪魔に感じてしまうのは、そもそもその時間に他のことをする予定になっているから。ご相談の中で「余った時間は」と表現されていたように、無意識のうちに親子の会話は「おまけ」扱いになっているのですね。聞く時間を先にスケジュールとして枠にはめておけば、他の用事ともバッティングせず、余裕を持って聞くことができるようになります。また、子どもにとっても、「明日聞く時間をとってくれているから今日はいいや」と待てるようにもなります。

「いつかやろう」ではなく「今できることをやる」

忙しくてどうしても時間が取れない時でも、15分とか短い時間でも話を聞いてあげたほうがいいでしょう。親の方に「何かしてあげたい」「話をきいてあげたい」という気持ちがあっても、実際に行動がなければ、子どもは「自分に気持ちが向いていない」というメッセージとして受け取ってしまいます。それを元に育っていくと、いつか「こんなはずじゃなかった」ということも起きてくるので、「いつかやろう」と先延ばしにするのではなく、「今できることをやろう」というスタンスで取り組むことを大事にしていただきたいと思います。

話を聞くのが短時間になってしまう場合は、「15分だけになっちゃうけど、話を聞く時間をとるから、何の話をしてくれるか考えておいてね」と前もって渡しておくようにします。すると「何を話そうかな」と考えている時間も、聞いてもらえる時間と感覚的にはセットになります。そのため、実際に聞く時間は15分だったとしても、子どもとしては30分や1時間、親との時間を共有した気分になれるのです。

そうやって計画的に子どもとの時間をとることで、自分の気持ちがちゃんと子どもに向いているよというメッセージを伝え続けてあげてください。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『話を聞いて理解する能力は高いから大丈夫』
一人遊びがうまいのも、自作自演できちゃうのも賢い証拠。自分で学んだり自分をアピールする力は相当高く、理解したことを実行する能力もあります。大人がちゃんと話を聞きさえすれば、子どもも納得して話を聞けるようになるから心配いりませんよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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作者:小川 大介 (著)

発売日:2019/12/21

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