授業中に立ち歩き。足が痛くなり座ってられないと主張する小1娘【小川先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

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教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第107回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小1の娘のことで、先日学校の先生から連絡があり、娘が授業中に立ち歩いているとのこと。その時間にやらなきゃいけない課題はやっているけれど、終わると歩いてしまうそうです。ただ親から見ると、そのやっている課題というのも、いつも完成度が非常に低いので、適当にバーッと書いて終わらせてしまっているようにも思えます。

本人に話を聞くと、「床に足がつかないから、座っていると足の裏がブラブラして痛くなる」とのことでした。確かにすごく小柄な子ではあるので先生に相談したところ、「ちゃんと足はついてるんですけどね」と言っていました。ただ本人の認識としては、「足がブラブラするので痛くなって歩く」というロジックなため、足台を持って行かせてみることに。それからは、大分座れるようになってきたらしいのですが、まだ立ち歩くのが0ではない状態です。

また、座れるようになってきたものの、やはり課題の完成度については依然として低いまま。この前も、学校で書いてきた作文があまりに汚かったので、「これはどうした?おさるがやった?」と聞いたくらいです。すると、娘はその発想がとても気に入ったようで、全部さるのせいにしてしまう始末。昔から「自分ができなかった」という事実を認めたくない子なため、「さるが勝手にやった」という発想に惹かれたみたいです。「さるじゃしょうがないね。じゃあ直そうか」と言ったら直せたので、やはり学校ではいい加減にやっていたのだと思います。

授業中に立ち歩きなどをせずに、集中して課題に取り組むようになって欲しいのですが、そのために何か家庭でできる取り組みや、学校にお願いすべきことなどがあれば、アドバイスいただきたいです。(Hさん・33歳)

【小川先生の回答】

筋力が弱いとずっと座っていられない


まず、立ち歩くことについてですが、どのくらい継続して座っていられるかというのは、子どもの体の成長具合によって違ってきます。小1でしかも体が小さいということは、腹筋や背筋もまだ弱いため、そもそも座っている姿勢を保つことがしんどいのではないでしょうか。座っているうちに、おなかや背中辺りが段々しんどくなり、無意識に足をブラブラさせることでほぐしているのかもしれません。つまり、集中が途切れているとか、集団行動がとれないということではなく、本人なりの事情があってのことでしかたのないことなんだ、ということはわかってあげましょう。

安心感が得られる程度にしっかり足を設置させる


先生は「ちゃんと足はついている」と言っていたとのことですが、先生と子どもの「ちゃんとついている」の認識が異なっている気がします。子どもにとっての「ちゃんとついている」とは、安心感が得られる程度にしっかり地に足がついていること。でもおそらく先生は、靴を履いた状態の足が床に接しているだけの状態を、そう言っているように思います。単に足を床につけるだけなら、座面の前の方に座れば可能です。でも、その姿勢を継続させるのはしんどいですよね。足台を使い出したら立ち歩きが減ったのは、足が90度の形でしっかり接地して安定したからでしょう。おなかや背中に変な力を入れる必要がなくなることで、ラクに座れるようになったのだと思います。

ですから足台を持って行ったのはとてもいいアイデア。それを使いつつ、なるべく普段から歩くようにするなど、本人の成長段階に合わせた運動を取り入れるようにして、座るための力を育ててあげればいいと思います。そして先生にもそういった事情を説明し、「段々と力がつけば落ち着いてくると思うので、今は成長段階だと思って見守ってもらえるとありがたいです」という伝え方をすればよいのではないでしょうか。

完成度を擬人化し、「どのくらいできたか」をわかりやすく示す


次に完成度の話については、おさるで反応が良かったのなら、それを使ってしまいましょう。完成度によって、おさる、赤ちゃん、〇〇ちゃん(本人の名前)と擬人化したらいいと思います。本人が「できたよ」と言っても、その完成度が低ければ、「でもこれはおさるさんだから、人にしよう」と差し戻すのです。つまり、ただ「できた」ではなく、「どのようにできたか」というところを、本人が受け入れやすいイメージで渡してあげましょう。

実際、「おさるがやった」という発想で、本人はちゃんとやり直していますよね。つまり、やり直すことを拒絶しているのではなく、「自分がダメだ」と言われることを拒絶していただけなのです。ならば、「ダメ」と言わずに完成させればいいだけの話。おさるのせいにするのは、本人がダメにならない受け止め方として、とても素晴らしいアイデアだと思います。心や体の成長が伴うにつれ、本当の意味での自信が出てきたら、できなかったことを認めたくないという部分もなりをひそめていくと思うので、そこはそんなに心配しなくても大丈夫です。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『おさるがやったというアイデアの段階でかなりOK』
足台にしても、おさるのアイデアにしても、ママが子どものキャラクターを含めてよく見れています。かつ本人も、「できる」ということがあるとがんばれる様子がうかがえるので、一個ずつ自信が育ちそうですね。まだ1年生。体も心も成長過程なので、この調子で成長に見合った見守りを続けていってください。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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