「虹のふもとに行ってみたい!」でも、その願いは永遠に叶わない!?/すごすぎる天気の図鑑(3)

近年の豪雨、巨大台風、大雪にまつわる話題など、「天気・気象のなぜ?」を本記事で解説してくれるのは、映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎さん。雲、雨、雪、虹、台風、竜巻など、空(気象)にまつわる面白くてためになる知識をやさしく紹介してくれます。
ふとした瞬間に空を見上げるのが楽しくなる、天気や気象にまつわるとっておきのネタをお届けします!
※本記事は荒木健太郎著の書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました
虹のふもとには永遠にたどりつけない
「虹のふもとに行ってみたい!」。そう思ったこと、ありませんか?しかし残念ながら、虹のふもとにたどりつくことはできません。
虹は、対日点を中心に丸いかたちをしています。ある方向の地平線からちょうど反対側の地平線までを180度としたときの空の見かけ上の大きさを視角度といい、主虹と副虹は対日点からそれぞれ視角度で42度、50度の位置に現れます。空を眺めている場所から見える虹の位置はどこにいても変わらないので、虹をいくら追いかけても、虹に近づくことができないのです。そのため、虹のふもとにはたどりつけず、虹をくぐったりすることもできません。これは朝や夕方に太陽を背にしてできた自分の影に追いつけないのと同じです。

とはいえ、虹のふもとの風景を絶対に見られないわけではありません。最近のデジタルカメラやスマホのカメラは高倍率でズームして撮影できます。美しい虹のふもとの景色にズームインしてみましょう。

虹のかかる街をズームで撮影すると、こんなにも美しい光景が……。

主虹の内側にできた過剰虹
はっきりとした明るい主虹の内側(紫側)や、副虹の外側には、何色も重なったような虹色の過剰虹(干渉縞)が見えることがある。
豆知識
はっきりと見える明るい主虹の内側(紫側)や、副虹の外側には、何色も重なったような虹色の過剰虹(干渉縞)が見えることがあります。明るい虹を見かけたときには、よく見て探してみましょう。
【著者プロフィール】
荒木健太郎
雲研究者、気象庁気象研究所研究官、博士(学術)。
1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。地方気象台で予報・観測業務に従事した後、現職に至る。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、豪雨・豪雪・竜巻などによる気象災害をもたらす雲のしくみ、雲の物理学の研究に取り組んでいる。
映画『天気の子』(新海誠監督)では気象監修を務める。
著=荒木健太郎/『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)
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