私、片づけないままでは死ねない!【人生で一番素敵な片づけ】(1)

#くらし 
人生はリレーのようなもの

『人生で一番素敵な片づけ』1話【全4話】


「もう何年も手に取っていないけど、思い出の物だから捨てられない…」片づけをしていて、そんな気持ちになる方は多いでしょう。しかし、何もしなければ物は増えていく一方です。片づけをしてスッキリきれいな空間にするのは、日々の暮らしやすさのためはもちろんのこと、急な病気など自分の身に何かあった時に家族の負担を減らすことにもつながります。

それでは、セカンドライフ世代の片づけに長年向き合ってきた、小野めぐみさんに手元に残すべき物の基準や考え方が明確にわかる、「人生で一番素敵な片づけ」メソッドを教えてもらいましょう。

“自分の持ち物は、いつ誰に見られてもいいように”自分のためにも、家族のためにも、片づけを始めてみませんか?

※本記事は小野めぐみ著の書籍『人生で一番素敵な片づけ』から一部抜粋・編集しました


半世紀(50年)以上を生きた賢い大人たちが大絶賛!「今、私たちに最も必要な片づけ法」

「そろそろ持ち物の整理をしなくては」
「家の中の大量の物を減らしたら、どんなにスッキリして気持ちがいいだろう」
「きっとすごく暮らしやすくなるだろう」
と考える大人は増えています。ですが、今日やらなくてもすぐに困るわけではなく、何にどこから手をつけたらいいかわからないので、つい先延ばしにしてしまう……。
人生を彩(いろど)ってきたたくさんの思い出がつまった物を目にしたら、いくら物を減らさなければとわかっていても、キッパリ処分するのは簡単ではありませんよね。それは、人間ならば、当然の心情です。

私が部屋の片づけの大切さを思い知ったのは、病名を宣告されてから、わずか半年で逝(い)った父が残した物を整理したときでした。大量のアルバム、洋服、絵画、名刺入れなど、大好きだった父の大切にしていた物を目にするだけで涙があふれ、どれもこれも取っておきたい!と思いました。しかし、スペースがないことを冷静に考えれば、処分せざるをえません。その悲しさ、切なさ、そして整理に費やした時間と労力……。
正直に言って心身ともに、ものすごく大変でした。
次の世代にこんな思いはさせたくない、させてはいけない、と深く思ったのです。

片づけないままでは死ねない!

同時期に経験した、友人2人のあまりに早すぎる旅立ちも、現実を教えてくれました。
「人間、いつゴールを迎えることになるか、誰にもわからない」。
当時、私の家は大量の物がぐちゃぐちゃの山積みで、散らかり放題。
もしも自分が急に旅立つことになったら、絶対にこんな部屋を人様に見られたくない!このまま死ぬわけにはいかない!そんな状態でした。

大人の責任として、自分の持ち物は、いつ誰に見られても大丈夫なようにせねば!
片づけよう!と心に誓ったのです。

人生はリレーのようなもの。バトンの渡し方が重要

リレーのような人生。大きく重いバトンは、次の走者(後世)には受け取りにくい

人生は、陸上競技のリレーのようなもの。
トラック一周400メートル(生まれてから旅立つまでの、それぞれの月日)を走りぬけて、次の走者(後世)に、バトン(自分の物や家などの遺産)を渡していく――というリレーです。

4つのコーナーを、それぞれ幼少期、学生時代、社会人時代、セカンドライフ時代と置き換えてみると、50~60代は、人生のエンディングを意識しはじめる最終コーナーにさしかかるあたり。「ゴールまで元気に走りきれるのか」「ちゃんとバトンを渡せるのか」……そんな不安が浮かぶころかもしれません。

「バトン」を渡す相手がいない方は、家系というリレーの最終走者、アンカーです。その場合も、ゴールを駆(か)けぬけたあと、そのバトンは必ず「誰か」が引き受け、片づけてくれます。ゴールを駆けぬけるとき、自分が持ちやすく、安心して渡せるバトンにしておくのが、『人生で一番素敵な片づけ』の目的です。
ちなみに、本記事における「セカンドライフ」とは、お子さんがいる場合は子育てに手がかからなくなるころ、仕事であれば定年を考えたり迎えたりして、大きく生活スタイルが変わる時期や人生のエンディングを意識するころのことを指します。

酸いも甘いもドーンと受け止められ、このうえない爽快感が!

人生はまるでリレー

「人生の最終コーナーまで、ずっと足取り軽く、順風満帆(まんぱん)で走ってきた」と胸を張って言える人はどのくらいいるのでしょうか。
私自身は、途中で何度も足をさすりながら走ってきました。
楽しいこともたくさんありましたが、思いもよらない挫折、裏切りなど、悲しみや悩みを抱えることも多く、最終コーナーが見えたころは、心は曇り、足取りは重くなるばかりでした。

それでも、当時の私は、二度とやり直すことのできない過去を振り返って反省し、よかった昔を思い出していつまでもくよくよすることを、「後ろ向きの生き方」だと思っていました。だから、「前に進むしかない」と、辛かった過去は思い出さないようにフタをして、無理に気持ちを奮(ふる)い立たせ、ずっと前だけを向いてきました。
そこにきて、大量の片づけです。過去の集大成とも言える「思い出のつまった持ち物」を整理する作業は、まさに私が避けてきた人生を振り返ること。
時間ばかり取られる、ムダな作業だとさえ思っていました。

ところが、いざ整理をしていくと、不思議なことが起こったのです。
山のように増えていた物の中には、長い時間が経つうちに意識の中から消えていた、思い入れの深い物が多くありました。親にねだって買ってもらったバッグ、自分の幼少期のアルバム、娘と息子が描いてくれた絵……。
そうした思い出の品々と再会するうちに、どんよりと曇って疲れきっていた私の心が、どんどん晴れていくではありませんか。

昔は気づかなかった感謝。
悲しみや後悔をプラスに変えるきっかけ。
ここまで頑張ってきた自分。
これからも続く日々の生き方。

過去の時間に心を寄せて、家族や友人、たくさんの人とのご縁や想いにあらためて感謝することもなかった。山あり谷ありの人生を乗り越えてきた自分を認めて労わることも、今まで全然してこなかった……。
そんな自分にハッとしました。
後ろを振り返らなかったことは、過去の自分やこれまでの人生をないがしろにしていたようなものだと、突然気づいたのです。
それでは、心身ともに疲れが出るのは当然でした。

自分のこれまでの人生を丸ごと受け止めて、反省すべきところはして、頑張ったところは「よくやってきたよ」と自分をほめ、しっかりと感謝をし、そのうえで前を向く。
それが真の「前向きな生き方」だということが、片づけを終えてようやくわかりました。
人生の最終コーナーにさしかかり、足が重く「もう無理……」とバトンを投げ出したくなっていたところに、過去の時間から、思いがけないご褒美をもらったようで、また足取りが軽くなりました。
もちろん、悲しみや後悔もよみがえりましたが、それでも、それを上回るポジティブな気持ちが湧いてきたのです。

著=小野めぐみ/『人生で一番素敵な片づけ』(三笠書房)

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