父が遺した「残高1円」口座のために書類そろえて飛行機代かけ高松へ⁉「生前整理」の大切さ

#くらし   
残高1円の通帳のために高松へ来てくれ……!?

『実家じまい終わらせました! ――大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』4回【全4回】


タレントとして活躍する松本明子さんは、香川県高松市出身。子どもの頃にお父様が購入した一軒家で育ったそうです。宮大工さんが手掛けた立派な家は、お父様にとって一生の中で最大の買い物で、松本さんにとっても思い出の詰まった場所でした。お父様の意向もあって松本さんが実家を継ぐことになりましたが、タレントとして活躍する松本さんの拠点は東京。高松の実家は空き家のままで、年間約27万円の維持費を払い続けていたそうです。売却のためのリフォーム代や家財の整理にかかったお金などを含めると、最終的に実家を手放すまでにかかった費用はなんと約1800万円…! 売却費用を差し引いても大赤字だったといいます。

実家の将来についてぼんやり不安があるものの、慌ただしい日常の中で、何もできていないという方は多いのではないでしょうか?  そういった方も、松本明子さんの体験談をきっかけに「早々に考えなければ」と思うかもしれません。

※本記事は松本明子著の書籍『実家じまい終わらせました! ――大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』から一部抜粋・編集しました

お父様が遺した高松の実家のために、年間約37万円の維持費や数百万円というリフォーム代を支払っていた松本さん。ようやくの思いで実家を売却し、東京と高松を何度も往復しながら大量の遺品や家財の整理を終えたそうです。そんな松本さんには、親が元気なうちに話しておけばよかったと痛感した出来事があったといいます…。

残高1円の通帳のために高松へ来てくれ……!?

残高1円の通帳のために高松へ来てくれ……!?

親が元気なうちに「あとのこと」や「財産のこと」をもっと話しておけばよかったと痛感した出来事がありました。

母が亡くなってしばらくした頃、気が進まないまま実家で両親の遺品整理の真似事をしたときのことです。父親名義の高松にある銀行の預金通帳が1通見つかりました。ほとんど記帳した形跡がないので、口座の様子がわかりません。

そこで通帳に記された高松の銀行支店に問い合わせたところ、

「口座の残額が1円あります。取りに来てください」と言うのです。

1円のために高松へ? 往復の飛行機代で6万円ですよ(苦笑)。

「あのー、行かないといけないんでしょうか」

「そうです。お見えになるときは、これから申し上げる戸籍謄本(こせきとうほん)などの書類を揃えてお持ちください」

それを聞いて、うわー、めんどくさい、と思いながら、言いました。

「そういうことでしたら、もうその1円はいりません。そちらの銀行さんに差し上げますので、高松まで行くのは勘弁してください」

「そう言われましても、この1円を取りに来ていただかないと」

「いや、もういりませんから」

電話をしながら、頭がくらくらしました(苦笑)。

決まりだから仕方がないのでしょうが、この残高1円問題の解決には何度も銀行とやり取りするなどして、結局、数年かかりました。最終的には所定の期間が過ぎれば、残高を放棄できるというので、それに従うことにしたのです。

それにしても残高1円の預金口座にここまで振り回されるとは思いもしませんでした。父はこの口座のことはすっかり忘れていたのでしょう。

もし父が元気なうちに、手元に残した財産の内訳をすべてわかるようにしておいてくれたら、またそうしてくれるように私から話せていたら、この口座のことも思い出してくれて、亡くなる前に解約するなどしかるべき対応ができたと思うのです。

そうした準備がないまま親が亡くなると、どこに通帳があるのかさえわからないし、通帳が見つかっても、今度は届印がどこにあるのか、どれなのか、あちこちひっくり返して探さないといけなくなります。昔はいくらでも通帳が作れたので、私たちの親の世代は、いまの感覚では信じられないほど数多くの預貯金口座を持っている場合があります。旅行に行くたびに旅先で記念に通帳を作る人までいたのです。

ですから、親が元気なうちに生前整理に取り組む気になってもらうには、たとえばこんな話を振ってみるのもいいかもしれません。

「昔は旅行の記念によく旅先の郵便局で通帳を作ったりしたみたいだけど、お父さんやお母さんもやったの?」

「そう言えば、北海道の函館に行ったとき作ったな」

「九州の鹿児島でも作りましたよ」

「あれ、どうしたっけ?」

……などと案外、話が盛り上がるかも。

 そうしたら、さりげなく、「口座に1円しか残っていなくても、あとで子どもが大変な目にあうらしいよ」と私の体験談でもうまいこと使ってみてください

「えっ、そうなの? そりゃあ大変だな」と危機感を持って、案外、子どもに迷惑をかけないように、「通帳やはんこは全部ここにあるから」などと、いろいろ考えてくれるきっかけになるかもしれません。

あと、私の両親が亡くなった当時は、まだ関係ありませんでしたが、これからはスマホやパソコンに残る写真や預金などのデジタル遺品やデジタル遺産が大きな問題になりそうです。ID・パスワードがわからないとログインできませんから。

先日、ある新聞を読んでいたら、そうした重要な情報は、紙に書いておいて、その上に個人情報を保護するシールを貼り、普段は見えない状態にしておく。そして、いざというときに家族がわかるように通帳などと一緒に保管するのがいいとあり、なるほどと思いました。ご参考までに。

最後に残ったのはお墓の問題

最後に残ったのはお墓の問題

実家は売却できました。家財や遺品整理も済みました。でも、まだ一つ難問が残っています。実家の近くの山の奥にある松本家代々のお墓をどうするかです。

東京からお墓参りに帰るには、高松は遠く、お金も時間もかかります。

この先、年をとれば、体力的にもどんどんキツくなる。

それに私も兄も99%東京に永住です。

二人とも、子どもたちは高松に縁がありませんから、私たち兄妹が亡くなってしまえば、事実上、無縁墓になってしまうでしょう。そこで兄とも相談しているのですが、いつでもお墓参りに行けるように、松本家のお墓を都内近郊に持って来られないかと考えています。

お墓の引っ越しは、新しい墓地にお骨だけ移して新たに墓石を建立するのが一般的だそうですが、できれば墓石も一緒に高松から移せたらいいなと思っています。

ただ、ちょっと調べたら、墓石も運ぶお墓の引っ越しは、運搬費用がかかるので、新しく墓石を用意するより高くついてしまうのだとか。

うーん、どうしたものか―。

一難去ってまた一難。実家じまいの最後のピースは、まだ埋まらないままです。

お墓の引っ越しまで含めた実家じまいの最終的な収支は、果たしてどうなるのでしょうか。またとんでもないしくじりをしそうで、我ながら、ちょっと怖いです(笑)。

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「実家じまい」の難しさを考えさせられますね…。自分たちの生活やライフスタイルはもちろん、子や孫にまでも影響が及ぶことも。「実家の行方」について親が元気なうちに話し合ったり、考えておく必要がありそうです。

松本明子さん

松本明子(まつもと・あきこ)/1966年生まれ。香川県出身。82年に日本テレビ「スター誕生!」チャンピオン大会に合格したことがきっかけで、翌年、歌手デビュー。その後、元祖バラドルとして人気バラエティー番組「DAISUKI!」「進め! 電波少年」(日本テレビ系)などに出演し、明るく親しみやすいキャラクターで人気を確立する。現在は、バラエティー番組の他、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動中。こうした活躍の裏で、25年にわたり累計約1800万円を費やして高松市にある空き家となった実家を維持する日々を送っていたが、放置された空き家の危険性や物だらけの実家の問題などを取り上げたテレビ番組に出演する中で、実家じまいを決意。2018年に実家の売却と2トントラックで10回分の遺品整理を行なった。近年は、自身のしくじり経験をもとに、実家じまいの重要性をメディアで発信している。近著に『実家じまい終わらせました! ――大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』がある。

※本記事は松本明子著の書籍『実家じまい終わらせました! ――大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』から一部抜粋・編集しました

作=松本明子

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