SNSで話題!「女の子なんだから勉強なんかできなくていいのよ」3.9万いいねを集めた、ある少女の日常

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 やまじえびね『女の子がいる場所は』より

「女の子は勉強なんかできなくたっていい」
そんなふうに言われてモヤモヤしたこと、ありませんか?

漫画家・やまじえびね(@ebine_comix)さんがTwitterに投稿した短編の漫画作品が、3.9万を超える「いいね」を集めて話題になっています。

「考えさせられる作品」
「同じことを親に言われてきた」
「こういうおばあちゃんいるよ」
「誰も悪くないのがつらい」
「絶対的な善悪に分けられないところがリアル」

など、このツイートには様々な感想や反響が寄せられています。
この作品は書籍『女の子がいる場所は』に収録された短編で、両親の離婚によって祖母の家で母親と3人で暮らす少女の日常を描いたもの。大きな事件が起こるわけではありませんが、家族それぞれの価値観の違いを日常会話の中から丁寧にすくいとった作品になっています。

この作品のあらすじを簡単にご紹介しましょう。

 『女の子がいる場所は』より

父親と母親は2年前に離婚し、今は祖母の家で暮らしている、10歳の少女・まりえ。祖母の輝子は「女の子なんだから勉強なんかできなくていい」「女が男よりできがいいと苦労する」とまりえに話します。

  『女の子がいる場所は』より

一方、母親の真知子は大学准教授としてTV出演や本の執筆に忙しい日々。真知子は、輝子が無意識のうちに「女には勉強より美容やファッションが大事」といった考えをまりえに伝えることをやめて欲しいと思っています。

まりえは、共働きの両親をもつ友だちの「なっきー」や、2ヶ月に一度だけ会いに行く父親の利樹との会話を通して、「幸せ」について考えていきます。そして、母に「今、幸せ?」と問いかけます……。

    『女の子がいる場所は』より

SNSで大きな反響を呼んだこの作品の作者、やまじえびねさんにお話を伺いました。

──このお話を書こうと思ったきっかけはなんですか?

やまじえびねさん 祖母や高校教師の「女の子なんだから〇〇しなさい」という言葉の「女の子なんだから」を疑問に思う、という大学生からの新聞投書に着想を得ました。

──ご自身の実体験として近い経験をされたことはありますか?

やまじえびねさん 身近な人に「女の子なんだから〇〇しなさい」と言われたことはなかったと思います。思い出そうとしてみましたが出てこないので。

──このエピソードはTwitterで公開され大きな話題になりました。この反響をどう受け止めましたか?

やまじえびねさん とても驚きました。舞台が現代の日本だから、全部ではないにしろ、それぞれにどの点かが「他人事ではない」と感じられるのかもしれません。

   『女の子がいる場所は』より

   『女の子がいる場所は』より

──どんな感想がありましたか、印象に残っているものがあれば教えて下さい。

やまじえびねさん 「『幸せ』について考えさせられた 」「おばあちゃんのような価値観に傷ついてきた」「どの価値観が『正しい/間違い』とは言えないのでは?」「一番リアルに感じたのはパパだ」 などなど。印象に残ったのは「ママはおばあちゃんに家事・育児を押し付けているのでは?」という感想。もしこう感じた読者がかなりいるのだとしたら、わたしの描写が足りてなかったと反省するところです。

     *    *    *

 『女の子がいる場所は』より

このように、「女の子は勉強なんかできなくていい」という祖母のコメントに反発する人もいれば、「おばあちゃんもそう言われて育ったんだよね」と同情する人も。さらに、まりえの前では真知子の仕事に理解があるように見えたまりえの父・利樹についても、かつては妻が仕事で認められるほど不機嫌になっていた……という描写に「リアルだ」というコメントもありました。

登場人物それぞれ、誰が正しく誰が間違ってる…とは言いきれない、この作品への様々な反響は、そのまま現代社会を映し出す鏡と言えそうです。おばあちゃんの発言にも、お父さんの不機嫌の理由にも、お母さんが疲れた表情をしていた理由にも、どれも背景には社会的な問題があります。
10歳の少女の視点を通して「女性の生き方」や「女性の幸せ」について考えるこの作品、あなたはどんな感想を抱くでしょうか?

【レタスクラブ編集部E】

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