いざというときのため、知識と備えを！ ハザードマップを事前にチェックしておこう
「まさかわが家が」と考えがちですが、風水害や地震被害は近年各地で頻発しています。自分が住んでいる場所で起こりそうな災害は「ハザードマップ」で確認できます。居住地のリスクを踏まえ、必要な備えもあわせて確認しておきましょう。CFP(R)認定者で社会福祉士の清水香さんに、ハザードマップの見方について解説してもらいました。
ハザードマップは、想定した一定の自然災害で生じる被害の範囲を地図で示したものです。河川の氾濫による洪水のほか、低地に水がたまる内水氾濫や土砂災害、高波や噴火など地域の災害特性に応じたハザードマップを市区町村が作成して住民に配布しています。災害時の避難場所や避難経路、避難方法なども記載され、被災時や避難時にも役立つので保存しておきましょう。手元になければ、各市区町村のウェブサイトにアクセスを。多くの市区町村で居住地のハザードマップがアップされているはずです。
ハザードマップで提供されている情報は、信頼性の高いものです。過去の災害において、ハザードマップで予測されていた浸水区域と、各地で実際に起きた区域はおおむね重なっていました。また浸水の被害は、河川の近くでなくても生じることがあります。過去10年間の全国の水害による浸水棟数は、内水氾濫によるものが７割を占めています。「川から離れているから大丈夫」と思わずに、居住地のハザードマップを丁寧に確認しておきましょう。なお、不動産を取引するときは、市区町村のハザードマップを用いて取引地点の浸水および土砂災害のリスクを説明することが宅地建物取引業者に義務づけられています。
より精度の高い情報を提供するため、ハザードマップは随時更新されます。最新のハザードマップを確認しましょう。いくつかの法律改正により、ハザードマップ作成の前提も近年変わっています。想定最大規模の豪雨、高潮に対応したハザードマップの作成が自治体に義務付けられ、ハザードマップの対象となる河川は、これまで含んでいなかった中小河川にまで広げられています。すでにこれらを反映した新しいハザードマップを公開している自治体もありますが、進捗は異なります。居住している市区町村に問い合わせてみましょう。
市区町村が作成するもののほか、国土交通省のウェブサイト「ハザードマップポータルサイト」では、「わがまちハザードマップ」と「重ねるハザードマップ」が公開されています。スマートフォンアプリも提供されているので、手軽に確認できるでしょう。「わがまちハザードマップ」は、各市区町村が作成したハザードマップのリンクサイトで、地域ごとのさまざまな種類のハザードマップを閲覧できます。
「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・高潮・津波のハザードマップや、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に重ねて表示できます。指定した住所地の過去の航空写真なども確認でき、以前そこがどのような土地だったのか知ることもできます。たとえば、現在はアスファルトに覆われている地域であっても、以前は海や湖であり、その後に埋め立てられた土地だった、などの情報を確認できます。なお、「重ねるハザードマップ」で公開されている情報は、市区町村のハザードマップとは作成の根拠が異なります。最新かつ詳細の情報は、各市区町村のハザードマップを確認しましょう。
しみずかおり●CFP(R)認定者、社会福祉士。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。財務省の地震保険制度に関する委員を歴任。日本災害復興学会会員。著書に『どんな災害でもお金とくらしを守る』（小学館クリエイティブ刊）がある。
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