ときにヒヤリとする乱暴な言葉遣い。子どもの言葉と向き合うときに伝えたいこと/大人になってもできないことだらけです(4)

うまくいかなくても、一緒に笑えたら、それだけで意味があるよね。
学童の支援員(放課後児童支援員)である保育士・きしもとたかひろさんが、日々多くの子どもたちと関わる中で感じた「できる」「できない」の先にある大切なこと。
「できないこと」に目がいきやすい、子どもたちとの生活。口うるさく注意するたびに、できなくて落ち込む子どもの姿。本当はお互い笑顔で過ごしていたいのに…。ふと思い返せば、自分自身が「できない自分」を「ダメな自分」と思い込み、それを子どもにも当てはめてしまっていた。
日々葛藤を続けながら「どうしたらうまくできるか?」ではなく「うまくいかなくてもええんちゃう?」「子どもも大人もしんどくない今を考える」というきしもとさんの視点が、SNSを中心に多くの共感を集めています。
子育てにまつわる身近な悩みや、子どもとの関わりで体験した温かいエピソードの数々。いまあなたが抱えている「しんどさ」をゆっくり手放すためのきっかけが見つかるかもしれません。
※本記事はきしもと たかひろ著の書籍『大人になってもできないことだらけです』から一部抜粋・編集しました。
みんなやさしいから ちょっとずつかなしい
「子ども」を一言で表すとなんという言葉を思い浮かべますか?
保育の授業でそんな質問をされた。
端の席から一人ずつ「かわいい」とか「純粋」とか答えている中で、ある男が「邪悪」と答えた。その言葉は一際目立っていて、僕は「たしかに子どもには邪悪な一面もあるかもしれないな、面白い視点だなあ」と感心していた。
一方、教壇でその質問をした先生は憤怒していた。憤怒なんて言葉を初めて使ったけれど、大げさではなく噴火する勢いで声を荒げて怒っていた。「子どもに悪の心なんてありません!」と。
その男の言葉が宙ぶらりんになっていた。なんで「邪悪」と言ったのか、どんな想いや考えがあるのか聞こうとしないその姿勢はいかがなものかと思ったが、必要以上に怒られている当の本人は言い返すことはなく「そんな変なこと言った?」と困惑していた。
どこかに隠れてしまったその男の本心を知りたくて、授業が終わってからどういう意味でその言葉を使ったのかを尋ねた。
「子どもって悪気なく嫌なこととかするやん? 人叩いたり悪口言ったりさ」と、いまだ怒られたことに納得しない表情で話してくれた。「それ、無邪気ちゃうん」と尋ねると「あ、それやわ!」と合点がいったようだった。
周りが子どものキラキラしている姿ばかりを言っている中でその視点を提起したのは素晴らしいなという尊敬の気持ちと、どんな言い間違いしてんねんアホやなという気持ちが入り混じり、「じぶん邪悪やな」と返すと、どう受け取ったかわからないけれど「ほんまや、邪悪やわー」と笑っていた。
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