小1娘が友達とトラブルに!? 親としてどこまで関わればいい?【小川先生の子育てよろず相談室】

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小1娘が友達とトラブルに!? 親としてどこまで関わればいい?【小川先生の子育てよろず相談室】

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第120 回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小1の娘がいます。入学のタイミングで引っ越したため、同じ保育園の友達は0。親子で付き合いのあるAちゃんが唯一の知り合いという状況でしたが、娘はもともと明るく社交的な性格なので、今まではあまり心配せずに過ごしてきました。

ところが先日、娘から気になる発言が。Aちゃんとはクラスが違うため、学童でいつも一緒に遊んでいたのですが、最近ずっと遊んでいないとのこと。「遊ぼう」と誘ったら、「一人で遊べばいいじゃん」と言われてしまったそうです。詳しく話を聞いたところ、今までもいろいろあったようで、例えば、Aちゃんが他の子とゲームをしているところに入れてもらった時のこと。ルールを知らない娘は間違ってしまい、「あっち行ってよ」と言われてしまったそうです。また別件としては、ドリルをやっていた娘に、Aちゃんが「遊ぼう」と誘ってきた時のこと。娘は「終わったら行くから待ってて」とお願いし、「いいよ」と言われたそうですが、ドリルが終わっていざ行くと「もう入って来ないで」と断られてしまったということです。

最近はAちゃんと遊べないので、一人で本を読んだり、他の子と遊んだりしているということでした。娘は保育園の時も結構一人で遊ぶことはあり、その時は「一人でも全然平気」と言っていたのですが、今回初めて「一緒に遊びたいのに遊んでくれないから悲しい」と言っていました。また、「Aちゃんは同じ保育園の子がたくさんいて人気者なのに、私は同じ保育園の子がいないから、そこに入れない」、「いつも自分ばっかり我慢してる!」など、話しているうちにどんどんヒートアップ。普段は明るく元気な娘がそういうことを言ってきたのは初めてだったこともあり、私もかなり動揺してしまいました。どう対応していいかわからず、とりあえず「その時は他の子と遊びたかっただけじゃない?」「他にも友達いるかもよ」と言ってみましたが、本人の耳には全然入っていかないようでした。

でも翌日になると、娘は意を決したように「自分から一緒に遊ぼうって言う!」と宣言。勇ましく学校に向かいました。その後の様子が気になったので、数日間は帰宅後にどうだったか聞いていたのですが、「今日はいなかった」「別の子と遊んだ」というような返事ばかり。本人はそんなに悩んでいる感じはなさそうだし、大丈夫そうには見えるのですが、先日の感情が爆発した状態の娘を見たこともあり心配です。

そんな折、ちょうどAちゃんのママに会う機会があり、「なんかケンカしたっぽいね」と話を振ってみたのですが、彼女は全くそんな話は聞いてないようでした。一応、「もしうちの子に何か嫌なことをされたというような話を聞いたら教えて」と頼んでおきましたが、その後も特に何もありません。保育園の時と違い、小学校や学童は子どもの状況が全然見えないため、どれくらい自分が子どもから聞き出すべきか、踏み込んでいくべきか悩んでいます。(Cさん・35歳)

【小川先生の回答】

子どもをどこまで信用できるか自己点検する


子どもは成長するにつれ、親から見えない部分も増えていくもの。保育園では毎日送迎して、先生から園での様子を聞けていたのが、小学校に入った途端に情報が入ってこなくなりますから、親御さんとしては不安になりますよね。子どもに対する不安というのは、子どもを信用しているかどうかの裏返しでもあります。ですから、子どもへの関わり方の距離感を計るには、まず自分の子どもをどこまで信用できるかを自己点検しましょう。

自分の子どもの素敵と思うところを最低100個書いてください。大変に思えるかもしれませんが、必ずあるはず。「ごはんをたくさん食べる」「よく笑う」「手がぷっくりしててかわいい」「優しい」など、些細なことから全て書き出しましょう。ひねり出されて初めて、ようやく自分の本心が出てきます。書いてる途中で心配事が浮かんで来たら、それもすべて書き出すこと。自分自身の感情をしっかり見つめることで、自分はこの子のどこは安心でき、どこについては傷つきそうで怖いと感じているのかがわかり、親として踏み込む距離感もつかめます。

成長のタイミングは人それぞれ異なることを知る


現時点での関わり方としては、お母さんの言った「その時は他の子と遊びたかっただけじゃない?」という返しで間違っていません。お話を聞いてる限り、Aちゃんが「あっち行って」と言ったのは、ただ単にその時の気分で口から出ただけ。おそらくAちゃんの通っていた保育園は、自分の思い思いに自由に遊ぶ感じだったのではないでしょうか。あまり我慢する必要のない環境で、その場の感情の繋がりだけでやってきたから、深く考える習慣がまだ身についていないのです。だから、「Aちゃんは『あっち行って』と言っただけで、『遊びたくない』とは言ってないよ」と、そのできごとに限定した話に戻してあげましょう。

小学1年児というのは、人によって成長度合いが全然違うもの。みんなが同じ次元で気遣ったり、考えたり、待ったりできるとは思わないほうが賢明です。「後で遊ぼうね」の「後」も、3分なら待って遊べたかもしれませんが、15分だともう「後」ではなくなり、Aちゃんの中では「おしまい」になってしまったのでしょう。だから、「あなたはちょっと心がお姉さんのところがあるから、我慢して待てるかもしれないけど、同じようにみんなが待てるわけではないんだよ。成長のタイミングはみんな違うからね」ということは教えておいてあげましょう。

感情が高ぶっている時は「笑顔、体温、言葉」の原則


但し、本人の感情が膨れ上がっている時は、いくら言葉で投げかけても絶対に入っていきません。ヒートアップしている娘さんに話しても、耳に入っていないようだったのもそのためです。感情を落ち着かせるためには、「笑顔、体温、言葉」の順番で接するのが原則。まずはお母さんが笑顔でいることが大事です。そして、娘さんの背中をさすったり、ギュっと抱きしめたりなど、体温を加えてあげてください。質問したり、諭したりするのではなく、ただ横にいて「そうだよね、がんばってるよね」と、本人の想いを受け止めてあげましょう。そしてその日は、それでおしまい。翌日落ち着いたら、そこで初めて言葉を使う意味があります。

ただ娘さんは、翌朝になって「自分から声をかける」と言ったということなので、後からママの言ったことを本人なりに思い出して実行したわけですよね。それはかなり賢い子だと思うので、そこを褒めてあげましょう。本人なりに考えて消化できているようなので、おそらく本人の世界は大丈夫なのだと思います。

子どもは日々成長するもの。我が子像もアップデートを


お母さんの、「大丈夫そうに見えるけど心配」というのは、もちろん親心として当然の感情でしょう。でもそこには、「明るく社交的」という自分が思っていた我が子像とは異なる一面を見たことによる、お母さんの動揺が大きく影響しているようにも思えます。保育園の頃のイメージで「明るく社交的」と言っているのでしょうが、子どもというのは毎日変化していくもの。子どもに言わせれば、「私の全部がわかるなんて思うなよ」です。

「この子はこういう子だ。自分はこの子のことがよくわかってる」という親の勝手な思い込みから始めると、子育てが空回りしやすくなります。目の前の子どもをしっかり見つめて、常にアップデートしていってください。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『子どもが知らなかった一面を見せるのは成長の証』
日々成長し、変化していく子ども全てをわかるなんてことは所詮無理。もし、100%わかっている状態の親子がいたとしたら、それは親の作った像に子どもの側が合わせようとしている状態なので、逆に危険です。つまり、今回娘さんの知らなかった一面が見れたことは、成長の証であり、安心材料でもあります。「私の全部がわかるなんて思うなよ」を心に置き、自分のイメージとズレた時は「新しいところを見つけてラッキー」と思いましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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