既婚女性=『主婦』? 自分のことを『主婦』だとは思わない既婚女性たちのリアル

既婚女性=「主婦」? 自分のことを「主婦」だとは思わない既婚女性たちのリアル

あなたは『主婦』という言葉に対して、どんなイメージをもっていますか?
「既婚女性全体」「専業主婦」「家事や育児を切り盛りしている既婚女性」などなど、人によって『主婦』という言葉のイメージは異なっているかもしれません。調べていくと、おもに働く既婚女性の中に、この言葉に違和感をおぼえる人が多いこともわかってきました。

『主婦』という言葉が持っているイメージ、そしてこの言葉に感じる違和感の正体を、女性たちの生の声、アンケート結果などから探ります。全3回の連載の1回目です。
※この記事は、レタスクラブWEBとYahoo!ニュースの共同連携企画です。

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「主婦ですか?」と聞かれたらどう答えるべき?

夫と小学生の子どもふたりと暮らす4人家族の会社員、Yさん(38歳)は、ある街頭アンケートで戸惑いをおぼえたそうです。

「こんにちは、主婦の方ですか?ちょっとお伺いしてもいいですか?」

子どもと手を繋いで夕食の買い物のために商店街を歩いているときのことでした。Yさんは反射的に「そうです」と答えます。アンケートに協力し、再び歩き出した時、「働いているのだし、私の肩書って『主婦』なのだろうか…」という疑問がわいてきたそうです。

子どもを連れ、夕食の買い物をしている自分。家事のほとんどを担っているのだから『主婦』と言っても間違いではないはず。でも自分から『主婦』と名乗るかというと、そこにはなんだか違和感がある…。

Yさんのような、働きながら子どもを育てる4名の既婚女性に、実際に『主婦』について感じていることを聞いてみました。

「私は何者?」リアル『主婦』は自分のことをどう感じている?

収入のため産後3ヶ月で復職したという、お店を営むAさん(35歳)は「『主婦』という言葉は専業主婦のイメージが強いですね。私の周りの専業主婦の方は、家をいつもきれいにしていたり、子どもの世話や教育にも熱心だったりするので、自分は正直そこまではできないな、『主婦』にはなりきれていないな、と感じています。とはいえ我が家では主人が多忙であまり家にいないので、ほとんどの家事は私がやっている状況。『主婦』=家事を担う人、という意味があるのであれば自分は『主婦』なのかな、と思います」

子どもを育てながらフリーランスで働くBさん(30歳)は、『主婦』という言葉に対するイメージをこう語ります。
「『主婦』という言葉には、「主」という文字が使われていることもあって、主に家事を担う女性、というニュアンスを感じます。わが家は夫婦で家事も育児も分担していて、「主に」家事を担っているのは私でも夫でもありません。なので、自分のこと『主婦』、と呼ばれることには違和感をおぼえます」

「結婚している女性、つまり既婚女性は世間的には『主婦』なのだろうと思っています」と言う、産休・育休を経てフルタイムで会社に勤務しながら2人のお子さんを育てる会社員のCさん(39歳)。
「でも、産休・育休中は『主婦』と言われてもそんなに違和感がなかったのですが、復職するとなんだかモヤモヤする気持ちがあります。それなりにキャリアを積んできたつもりなのですが、自分のことを『主婦』だと思うと、それがなくなってしまう感じがするのだと思います」

10年勤めた会社を寿退社し、現在はパートで働くDさん(46歳)は、『主婦』を対象としたアンケートを見ると思うことをこう話します。
「「既婚女性」だったり、「働いていない女性」だったり、ときと場合によって『主婦』の言葉のもつ意味は変わりますよね。広い意味の『主婦』と狭い意味の『主婦』があって、広い意味だと自分のことと思いますが、例えばクレジットカードの発行時の書類など、収入の有無を探られているのかな、と思うものの場合は、自分に収入があるので『主婦』と言うのは違和感があります」

リアル“主婦”は自分のことをどう感じている?


働いている既婚女性の半数以上が「私は主婦ではない」と思っている事実


話を聞いた4人の働いている既婚女性は「自分は主婦である」と言いきれず、『主婦』と言われることに違和感を持っているようですが、アンケート結果からも同じ傾向が見えてきます。

●質問:「あなたは自分のことを主婦(夫)」だと思いますか?

 (2022.7.4 Yahooクラウドソーシングにてアンケートを実施。有効回答2000人のうち、20~40代のパートナーのいる女性516人の回答を抽出)

(2022.7.4 Yahooクラウドソーシングにてアンケートを実施。有効回答2000人のうち、20~40代のパートナーのいる女性516人の回答を抽出)

「自分のことを主婦だと思いますか?」というアンケートを行うと、パートナーのいる20~40代の女性のうち、専業主婦ではほとんどの人が「はい」と答えていますが、パートナーのいる女性でも、働いている女性(フルタイム、フリーランス・自営業、パート併せて)は、約40%の方が「いいえ」、約17%の方が「どちらとも言えない」と回答。つまり、働いている女性の半数以上は、「自分は主婦ではない、または主婦ではないかもしれない」と思っているのです。

さらに、20~40代のパートナーのいる女性に、自分のこととしてではなく、『主婦』という言葉が現代の状況にあっているかどうか聞いてみたところ、およそ30%の人が違和感をおぼえる、と回答しました。

主婦アンケートグラフ-03

「はい」と答えた方々に、「主婦という言葉が現代の状況にそぐわない」と思う理由をフリーコメントで聞いてみました。

「専業主婦以外の人を主婦と呼ぶのは違和感があるから」

「仕事をしている人は主婦ではないと思うから」

「どちらか一方の家事負担が大きいことの象徴にとれてしまうため」

「主婦には女性だけが家事をするイメージがある。もう共働きは当たり前の時代だし、家事育児はお互いがすべきである」

「外で仕事をしていても、家事は永遠の仕事なので、家に住む人みんなでしていくものだと思う」

あまりにも多様なイメージを持つ『主婦』という言葉。本来の意味は?

『主婦』という言葉に対して違和感を持つ人たちは、「『主婦』=専業主婦、収入がない、家事負担が大きい」であり、共働き世帯が増えている現代の状況にそぐわないと感じているようです。

一方、冒頭のYさんのように、世間からは結婚している、子どもがいることで『主婦』と認識されることが多いのは確かです。上のアンケート結果でも、『主婦』という言葉に違和感をおぼえない人が、20~40代のパートナーのいる女性で7割近くいることもまた事実なのです。

ここまで見てきて、『主婦』という言葉には「既婚女性」「専業主婦」「家事を担う人」「家事を完璧にこなす人」など、多様なイメージがあることがわかりました。人によって異なるだけでなく、収入の有無を探るためのアンケートの職業欄や、女性が自分の肩書として『主婦』を名乗る場合など、この言葉を使用する場面や目的によっても、『主婦』の意味は変化するようです。

多くの人が日常的に使う言葉であるにも関わらず、あまりにも多様な意味を含んでいる『主婦』。第2回では、『主婦』という言葉がいつどのように使われはじめ、どういう人たちを指すものとして一般化してきたのか、歴史的背景から掘り下げていきます。


取材・文=伊藤延枝、レタスクラブWEB編集部

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