Twitterで話題!耳が聴こえないお母さんが経験した感動のできごとに、3.3万人が「いいね」

#育児・子育て   
 『わたしのことが「見えている」人』より

生まれつき耳が聴こえない、漫画家のミカヅキユミさん。
耳が聴こえる男性と結婚して、ふたりのお子さんを育てる日々を、ご自身のブログやコミックエッセイ『聴こえないわたし 母になる』で綴っています。そんなミカヅキさんが出会ったある人物とのエピソードが、Twitterで話題になりました。
「似た経験をしたことがある」「自分も同じことをしてしまっていた」と、多くの方がハッとした、ミカヅキさんのエピソードをご紹介します。


ミカヅキさんはふだん、相手の口の動きを読み取って会話をする「口話」や、手話や筆談を状況に応じて使い分けているそうです。そんな中で出会ったのが子どものかかりつけの小児科で出会ったスタッフのタツミさん。

『わたしのことが「見えている」人』より

『わたしのことが「見えている」人』より

口話でもスムーズに会話ができて、聴こえないミカヅキさんのために診察のフォローを細やかにしてくれるタツミさんのことが、ミカヅキさんは大好きだったそうです。

ある日、娘のかのこちゃんが高熱を出しました。

『わたしのことが「見えている」人』より

病院での検査の結果、細菌感染が判明し、「詳しい説明をしたいから」とタツミさんは車で待っているパパさんにも来てもらおうと提案します。ミカヅキさんはその時、少しさみしい気持ちになったそうです。

『わたしのことが「見えている」人』より

それまで会話をしていたはずなのに、聴者である夫が現れたとたん、相手が夫に向かって話し始めることで、自分が透明人間になってしまったように感じる…。そんな状況をミカヅキさんは何度も味わってきたそうです。夫を呼ぶことを提案したタツミさんもきっと…と、ミカヅキさんは落胆します。

だけど、タツミさんはちゃんとミカヅキさんの目をまっすぐ見て説明をはじめました。

『わたしのことが「見えている」人』より

『わたしのことが「見えている」人』より

聴こえる人が近くにいるのに、ちゃんと自分にむかって丁寧に説明してくれるタツミさん。そんな彼女を疑った自分を恥じつつも、ミカヅキさんは夫と一緒に親として話が聞けたことが嬉しかったそうです。

その後、この小児科は閉院してしまうことになりました。タツミさんともう会えなくなることにショックをうけるミカヅキさんでしたが、「私タツミさん大好きです」「いつも安心をくれてありがとう」と思い切って伝えるのでした。
そして数年後、めまいで訪れた耳鼻科で、タツミさんと感動の再会を果たします…。

 『わたしのことが「見えている」人』より


このエピソードはTwitterで3.3万人の読者から「いいね」を集めています。聴者とろう者でなくても、この『透明人間になってしまったように感じる』状況を感じた経験がある…という声も多く寄せられています。上司がいる時の取引先との商談、あるいは契約の場に夫婦でいると夫のほうにばかり話をされる、当事者の子どもではなく親にだけ話がいく…など、さまざまな状況で『透明人間』になった経験が、コメントで寄せられていました。
また、自分も似たような状況で誰かを『透明人間』にするような態度をとってしまった、と反省する声も。

多くの反響を呼んだ、この作品の著者・ミカヅキユミさんにお話を伺いました。


作者のミカヅキユミさんに聞きました

──『わたしのことが「見えている」人』はTwitterで現在3.3万の「いいね」がついて、多くの方に読まれています。この反響についてどのように感じていますか?

ミカヅキさん「多くの方に読んでいただいて、大変驚いております」

──Twitterのコメントやブログ読者の感想はどのようなものが多かったですか? また印象に残っているコメントはありますか?

ミカヅキさん「海外で、現地人のパートナーを持つ日本人は似たような心情になる、といった声が多かったように思います。中でも、『[第三者返答]について、当事者の心情がわかりやすく描かれている』といったコメントが一番印象に残っています。[第三者返答]とは関西学院大学オストハイダ・テーヤ教授が2005年に提唱した概念で、対話の対象相手が外国人であったり障害者であったりしたときに、その見た目や印象から、目の前にいる本人を無視して、その人と一緒にいる日本人や家族、付き添いの方に話しかけることです。これは差別行為にあたり、無意識にやっている人も多いです。障害者差別解消法にも書いてあります」

──漫画の中でタツミさんが状況に応じてフォローしてくださったことが描かれています。ジェスチャーで教えてくれたり、大事な話は書いて伝えてくれたり、検査の方法を模索してくれたり…といった漫画に描かれていたこと以外に、タツミさんがしてくださったことで嬉しかったことはありますか?

ミカヅキさん「話す対象相手が子どもである場合、まず子どもに直接話しかける方でした。子どもが答えられないときだけ、親に確認するような。最初から親に向かって話し始める人も多いので、相手が誰であっても目の前の人を無視しない、その姿勢にキュンキュンしまくっていました」

──ミカヅキさんは手話や筆談以外にも、相手によっては相手の口の動きを読み取る「口話」で日常会話をされているそうですが、コロナ禍のマスク生活はかなり不便を強いられているのではないかと思います。困っていることや、周囲の方にしてもらえると助かることなどがあれば、教えて下さい。

ミカヅキさん「表情が見えない、口が読めないという点では、マスクをずらして話してもらえるだけでもかなり安心感が違いますね。しかしマスクを外してもらったからといって、誰の口でも完璧に読めるわけではないのです…! 一方で、マスク生活になって、逆にジェスチャーや音声認識アプリや筆談で積極的に会話をする方が増えたように思います。こちらの方が確実に伝わるので、これは私にとってはうれしい誤算でした」

──なるほど! 困ったことだけでなく、メリットもあったのですね。では最後に、読者にメッセージをひとことお願いします。

ミカヅキさん「コミュニケーションは、時として大変さや困難さを感じることもありますが、どちらか一方が頑張るものでもなく、どちらかが我慢するものでもなく、対等であることが大切だと思います。そんな認識のもと、双方がその大変さ・困難さを『何とかしていこう』と楽しめるような関係であれば、もしかしたらなんらかの化学反応が生まれて、何か新しいこと、面白そうなことを一緒にできるのではないか?と期待しています」

ミカヅキさんが描いたタツミさんのエピソードは、日常のコミュニケーションにおいて大切なことを私たちに教えてくれます。自分も気づかないうちに誰かを『透明人間』にしていたかもしれない…とハッとさせられますね。どんな状況でも当事者と向き合ってコミュニケーションをすること、大切に心がけていきたいものです。

取材・文=レタスユキ

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【ミカヅキユミさんのSNS】
Twitter:https://twitter.com/mikazuki_yumi
Instagram:https://www.instagram.com/mikazuki_yumi/
ブログ:http://senaka-ponpon.blog.jp/






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