「難病ってマジか」大腸の全摘出など10回に及ぶ手術。マンガ家・島袋全優さんが語る過酷な闘病生活

#美容・健康   
 『腸よ鼻よ』より

国指定の難病「潰瘍性大腸炎」を患った実体験をギャグ漫画として描いた『腸よ鼻よ』。漫画家の島袋全優さんは、専門学生だった19歳の時に潰瘍性大腸炎を発症し、何度も入退院を繰り返しながら大腸全摘出など10回もの手術を受けてきました。そんな辛いはずの闘病生活を、突き抜けたギャグに振り切って描いていて、多くの人の共感を呼んでいます。今回は、島袋全優さんに闘病生活について聞きました。

■難病ってマジか…意外に冷静だった病名告知

『腸よ鼻よ01』より

――潰瘍性大腸炎と診断された時はどんなお気持ちでしたか?

島袋全優:聞いた時は「難病ってマジか……」って思ったんですが、隣で私よりもショック受けてる母親がいたので逆に冷静になりました。難病だったらそりゃ1ヶ月以上入院していてもなかなか治らんよなと。でもまぁ何とかなるだろうと当時は潰瘍性大腸炎を舐めて軽く考えていました。その後の自分を思い返すと何ともならんかったな……。

――その後、大腸全摘出を決意されるのですよね。

島袋全優:潰瘍性大腸炎という名前の通り、大腸で起きる病変のせいで入退院を繰り返していたので、「大腸さえ取れば治る!」と思って大腸全摘を決意しました。全摘のことを考えていた時に、当時の内科の担当医が遠い病院に移ってしまうことになったので、踏み切るキッカケにもなりました。

■めちゃくちゃ痛すぎる…!辛いことだらけだった闘病生活

『腸よ鼻よ05』より

――長い闘病の中で、一番辛かったのはどんなことでしょうか?

島袋全優:う〜ん…一番がどれか決められないくらい辛いことは沢山ありました(笑)。
大腸全摘したらめちゃくちゃ痛かった上に腸が腐る確率50%だったり。
痛みが収まらなくて大量の痛み止めを打っていたら退院できなくてストレスから顔面が痙攣起こしたり。
モルヒネを飲んでも痛くて小刻みに起きてしまい、1年半くらい睡眠時間が4〜5時間だったり。
治療で医療用麻薬をたくさん使ったら、せん妄で妙な幻覚を見てしまったり。

――ギャグ満載の漫画を読んでいるとつい忘れがちですがやはり壮絶ですね…。入院生活を快適に過ごすためのアイディアなどがあれば教えてください。

島袋全優:入院中に快適に過ごせることはあまり無かったのですが、ネット回線を持ち込めるとSNSや動画を見ることができるので、長期入院の時は助かりました。(無理な病院もあると思います)
あと退院したあとの小さい目標とか立てておくと、それが結構楽しみになって、達成した時には良い気分になれます。

 『腸よ鼻よ』より

――作中で転院したり、他県の病院まで行ったりされていますが、自分に合った病院を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?

島袋全優:とりあえずネットでもお医者さんからでもいいので、情報を集めて専門の病院を見つけることがいいと思います。あと自分の病気についてネット掲示板や患者会があるなら、そういうものも利用して情報収集できるといいですね。

■ストーマを知っておいてもらえるだけでありがたい

島袋さんは大腸の全摘出を経てストーマ生活になりました。ストーマとは、手術でお腹に穴をあけて作った人工肛門のこと。排泄物はお腹に装着したパウチと呼ばれる袋にたまるので、トイレに流す処理や、パウチの定期的な交換が必要になります。

『腸よ鼻よ06』より

――ストーマについて、オストメイト対応トイレの重要さや金銭的な負担などとても勉強になりました。ストーマについて「知っておいてほしい」ということがあれば教えてください。

島袋全優:ストーマは服を着ていたら外見からはほぼわからない内部疾患なので、他人からしたら気をつけることは難しいと思います。ヘルプマークをつけているストーマユーザーもいらっしゃいますが、普通の人とそんなに変わらないので、家族や友人にストーマの方がいたら「ああいう状態なんだな」と理解するだけでありがたい限りです。大衆浴場とか温泉とかでもお腹にパウチを付けている人がいたら「あ、ストーマなんだなぁ」くらいの認識で全然いいですよ。

――連載ではまだまだ壮絶な闘病生活が続いていますが、島袋さんは現在は体調が落ち着き穏やかに暮らしているそうです。
『腸よ鼻よ』はハイテンションなギャグに爆笑しながらも、「もし自分が大変な難病になったら?」「突然入院生活になってしまったら…」そんなことを考えさせられます。健康の大切さを噛み締めながら読んでみてくださいね。

取材・文=宇都宮薫

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