憧れのマイホーム購入…なのに、窓から突撃、のぞき、我が家に向かって放尿!?『家を建てたら自治会がヤバすぎた』著者インタビュー

#くらし   
『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

一生に一度あるかないかの、憧れのマイホームの購入。
だけど、もし家を建てた場所がヤバい町だったら…?

新庄アキラさんが実体験を元に、ご近所付き合いの苦労を描いたコミックエッセイ『家を建てたら自治会がヤバすぎた』が話題です。
自然豊かな町でのんびり子育て、あたたかいご近所付き合い。そんな生活を思い描きながら、ようやく手に入れた憧れのマイホーム。だけど現実に直面したのは、古くからの住民からのイビリやママ友関係のこじれ……すべての元凶は古い慣習の残る『自治会』だった!?

コミカルな描写に笑いつつもヤバさに戦慄する、そんなコミックエッセイを描いた・新庄アキラさんにお話を伺いました。

新庄アキラさんインタビュー

『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

──笑い事じゃないっと思いつつも苦笑いが止められないまま最後まで拝読させていただきました!『自治会』について描かれたコミックエッセイは珍しいなと思います。この作品を描くことになったきっかけを教えていただけますでしょうか。

新庄さん「この漫画の通り、私達夫婦は上の子が2歳のタイミングでマイホームを購入しました。土地選びもいい所で、憧れの注文住宅を建てることができて大満足でしたが、引っ越し当日に、早速近隣住民(自治会)の洗礼を受けました。
古いしきたりの押しつけや、時代錯誤のセクハラ、おせっかいなど最初はビックリすることばかりでした。職場で、同僚などに話すと案外『自治会』や『ご近所』の困った話はみんな抱えていて、私の話をすると『もっと酷い所があって安心した(笑)』と笑い話にしてもらえました。
ヤバい自治会のことを漫画にして笑い飛ばしてもらえたら救われると思い、この作品が生まれました」

 『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

──夢のマイホームを建てたのに、窓から突撃されたり、のぞき見されたり、バーベキューを邪魔されたりと散々な目に。お引っ越しをされて一番びっくりしたエピソードはなんだったでしょうか。またご自宅で安心して過ごすための対策などされたでしょうか?

新庄さん「一番びっくりしたのは隣人が普通に外で放尿をしていたことですね。父子で代わる代わる私の家の方に向かって放尿します。最初は『えっ?トイレがないの?』と思って不思議がっていましたが、トイレはちゃんと家の中にあるんですよね。きっとうちが建つ前から長年そうしていて、出かける前とかトイレに行くのが面倒だったのかな…? と思っています。
放尿中に何度も目が合いましたし、こっちは動揺しているのに、あちらは全く動揺していないんです。仕方なく大金を叩いて目隠しフェンスを付けました(泣)。しかし、先日2階で布団を干していたら目隠しフェンスの甲斐もなく…」

 『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

──本作で描かれている自治会エピソードは、強烈なものばかりでしたが、中でも印象に残っているものを教えていただけますでしょうか。そのときの感想もぜひ教えていただきたいです。

新庄さん「やはり男尊女卑&セクハラ発言の数々でしょうか。我が家は共働きなので、自治会の行事も行ける方が行くといった感じで私も積極的に参加していました。しかし、自治会の人は親世代やそれ以上の人がほとんどなので、ほぼ男の人が来ていました。自治会行事に夫がいるのに女性が来るのは珍しいことのようで、気に食わない人もいるようでした。そして、年配の方は『女のくせに』とか『夜の方はさぞかし元気なんだろ』とか平気で言うんですよね。『男は仕事』『女は家事をして男の一歩後ろにいる』という固定概念が強く、その価値観を全面的に出してくる人が多いんです。」

──年配の方の考え方とはいえ、今の時代にはちょっとそぐわないですね。

新庄さん「年代もあるのでしょうけど、地域柄というのも大きいような印象も受けました。今の時代にこんな考えの人がこんなにいるんだ…と思いましたが、それぞれ長年培われてきた『普通』や『価値観』があり、自分にとっての『普通』は実は通用しないことも多く、人間って難しいな…と思いました(笑)」

『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

──エピソードの中には、世代間ギャップによる摩擦も多く見受けられました。お年寄りの多い自治会の中で、現役世代の意見を反映させるためどのようなご苦労があったでしょうか。

新庄さん「はっきり言って現役世代の意見は反映されません。数でも圧倒的に負けます。最初は意見なども班長会などの場で言いましたが、『新参者のくせに』『何も知らんくせに』的な空気になるので、もはやそこに労力を使うのは諦めました(笑)。少しずつ周りの若い人たちと足並みを揃えて存在感を出していくしかないかな、と思っています。」

──お葬式の手伝いや水路掃除など、現状は大変だな…と思いつつ、ご近所同士持ちつ持たれつ生活してきたんだなと考えさせられました。自治会の良い面も教えていただけますでしょうか。

新庄さん「ちょっと良いところが見当たらないので考えますね…まだ持ちつ持たれつの出来事が一つもありません…。どうしよう(笑)。
私がもう少しこの土地に溶け込んで関係をもっと築いて行けば良い面も見えるのかもしれません…、今後自分が年をとって体が思うように動かなくなると分かるのでしょうか…。どれだけ自治会のことが嫌いなんだと思われるかもしれませんが、無理して馴染もうとも思わないですし、こんな感じで距離を取りつつ家族幸せに暮らしたいと思っています。そのうち自治会の良い所が見つかるのを信じて…(笑)」

 『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より

──最後に、メッセージをお願いいたします。

新庄さん「家を建てる、買う、というのは一生に一回あるかないかの経験だと思います。買う時はいいと思っても、いざ住んでみるといろんなことが見えてきます。
仕事でも何でもそうですが、どれだけ下調べをしても、入ってみないと分からないことがたくさんあります。運ですよね。自治会の人たちのキャラも『こういう人いるいる!』と思って楽しく読んでいただけると嬉しいです。そして、私も実際漫画にしてみるとあんなに嫌だった自治会の人たちがいつの間にかキャラとして愛すべき存在になっていました!人間考え方一つで見えている物事の景色が変わります。
なるべく楽しくポジティブな思考でいたいですね。
私は自治会メンバーに色々悩まされましたが、笑って読んでいただけるとその嫌な経験が成仏します!そしてもし、ご近所さんやママ友、自治会で悩んでいる方がいらっしゃったら、私よりはマシだと思って元気出してもらいたいです!」

イラスト・漫画=新庄アキラ『家を建てたら自治会がヤバすぎた』より
取材=ナツメヤシコ/文=レタスユキ

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