夫に宣言「突然だけど東大目指します」…⁉ 東大大学院合格を手にした主婦の「人生を面白くする」考え方

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 『ただの主婦が東大目指してみた』より

web漫画やイラストレーターとして活躍するただっちさん。主婦から東大大学院を目指すという受験奮闘記をSNSに投稿したところ、瞬く間に話題となり、2020年『ただの主婦が東大目指してみた』として1冊の本が出版されました。今年1月にはNHK「あさイチ」にも出演。その破天荒な受験エピソードと、夢を実現するための考え方などに注目が集まりました。

夫・ちゃーくんとの結婚後、在宅仕事をこなしつつも普通の主婦として過ごしていたというただっちさん。独身時代のブラック会社勤務の反動もあり、だらだらと過ごす日常が続いていたそうです。朝夫を見送った後に再び布団に入り、起きるのは午後3時。「家事は夫が帰って来る前に急いで終わらすなどして帳尻を合わせ、フリータイムを心ゆくまで満喫していた」といいます。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より


このままでは夫に三行半を突きつけられる!?という危機感から、生活を改め、自分の目標を持とうと決意したただっちさん。当初は主婦業を攻略しようと奮闘しますが、どうしてもうまくできない。そんな試行錯誤の末にただっちさんが決めた目標、それが「東大を受験しよう!」という、無謀とも思われてもおかしくない挑戦だったのです。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より


実際に東大の大学院試験を迎えるまでの3ヶ月間は、まさに破天荒とも言うべきエピソードの連続。難問すぎる試験勉強に戸惑い、締め切りギリギリの願書提出に研究計画書の作成。そこへ家事と仕事も重なり、怒涛の日々を送ります。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

時計を忘れる、ペンキャップを吹っ飛ばすなどのハプニングを乗り越えた筆記試験、お財布をもったまま臨んだ口頭試問。読み手もハラハラドキドキする展開の末に迎えた合否発表日。ただっちさんは合格一覧から、自分の受験番号を発見します。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

 『ただの主婦が東大目指してみた』より


怒涛の勢いで東大大学院の合格をつかみとった著者・ただっちさん。晴れて合格を手にしたときの気持ちや周囲の反応、そして研究と執筆業を続けている現在の近況などについて、お話を伺いました。


「頼りない」「中途半端」と思われていた過去。合格後、両親の反応は…?

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

――合格後の周囲の反響はどのようなものがありましたか?

ただっちさん 勉強が得意なイメージなんて全くなかったはずなので、すごく驚いていました。特に両親は私に対して「頼りない」とか「中途半端」の印象を持っていたので、この受験を期に、見直してもらえた実感がありました。

――現在は大学院に在籍しつつの作家活動かと思います。東大大学院で学んだご感想はいかがでしょうか。また研究が実生活や作家活動に影響していると実感することはありますか?

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

ただっちさん 大学院は「勉強する」場所ではなく、「研究をする」場所だと痛感しました。進学前は、学校なのでやはり教えてもらったり、勉強したりするイメージが強かったのですが、それは単に一部でしかなくて、実際は自分の問いをアカデミックに解き明かすために、研究方法を学んだり、授業や議論を通して論理的思考を身につけていくことが主でした。勉強が得意な人よりも、どんどん自分で行動して、突き詰めて行けるマインドを持っていないと研究生活は厳しいものだと痛感しました。

在学中に勉強の本や、哲学の本を出版できたことももちろんですが、一番大きく影響したことといえば、「女性の生きづらさ」を漫画の中に落とし込めるようになったことだと思います。在学中、フェミニズムに関心が向くようになり、特に現代の微妙な生きづらさを漫画の中に織り込ませて、以前よりもキャラに深みを持たせられるようになったかな、と感じています。


「面白そうなことは、顔を突っ込んでみる!」東大大学院合格で、人生のモチベーションが変化した

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

――東大に合格という目標を達成したことで、その後人生のモチベーションが変わった面などはありますか?

ただっちさん 生きてる限り、自分の行動次第でなんだってできるし、成功できる可能性が無限にあること!それ自体が私のモチベーションになりました。無謀だと思えた目標を達成したことで、挑戦もせずに「不可能」とか「無理そう」と考える時間が無駄と思えるようになったし、少しでもやってみたいと思ったことは、全部やってみる、面白そうなことは、顔を突っ込んでみる。それが一番、人生を面白くなる方法だと気付いたのです。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より


――東大の大学院生になったんだ!という実感は、どんな場面で強く感じましたか?

ただっちさん 学生証を提示する時に、驚かれると実感が湧きます。大学院の中にいると、みんながそうなので「東大!!」という実感が全くないですね…。

――いよいよ試験開始5分前…という時に時計を忘れたことに気づき、あわてて学内のお店へ時計を買いに行ったものの、「置き時計」しかなく、着席してからもそれを落とし…というエピソードがありました。受験終了後、あの置き時計はどうなったのか気になります…!

ただっちさん あの置き時計は引越しの時に捨てました…。燃えないゴミになってしまいましたが、私の心の中には永遠に存在し続けています…。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より



自分はどんな人生にしたいんだろう。壁にぶつかったときに、いつも考え直していたこと

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

――大人になると目標に向かって突き進む…ということ自体、難しい気もしています。新しいことをやりたいなあと頭に浮かんだときに、それを実行に移すために大切なこと、必要なことはどんなことだと思いますか?

ただっちさん 一番大切なことは、できない理由を探さないということだと思います。何かやってみたいことがあるのは、とても幸せなことですし、大きな幸せの原石でもあると思います。だからそれを否定しないで、どんどん突き詰めるべきだし、どうなりたいのかをどんどん明確にしていくべきだと思います。変わったことをするのは、初めはしんどいですが、軌道に乗ればどんどん楽しくなっていきます。万が一、頑張る過程で失敗してしまっても、その失敗からまた新しいことが見えてきたりします。何もしないのが、一番勿体ないことです。本を買うとか、話を聞きにいくとか、本当になんでもいいので、足の先だけでも突っ込んでみることが大切だと思います。

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

 『ただの主婦が東大目指してみた』より


――東大を目指す前の生活と、現在の生活はどのくらい変化していますか?

ただっちさん 今は仕事と研究の両立で違った忙しさがあります。勉強だけ頑張れば良かったあの頃がちょっと羨ましいです…。


女性の生きづらさについて深く掘り下げたい。夢は作品の映像化!


――今後手がけてみたい作品テーマ、目標や夢がありましたらぜひお聞かせください!

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

ただっちさん 女性の生きづらさやタブーと向き合うことをテーマにした漫画をどんどん書いていきたいと思っています。そして、自分の作品がドラマや映画になることも夢の一つです。

――読者へのメッセージをお願いします!

ただっちさん 私の作品を読んでくださった方は、本当にありがとうございます。ちょっとした娯楽になったり、行動するきっかけになったり、ほんの少しでも何かの役に立てたらいいな、と思っています。これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします!

 『ただの主婦が東大目指してみた』より

3ヶ月という超短期間の受験勉強に挑み、そして東大大学院合格という目標を達成したただっちさんの努力と奮闘の日々。どこかでくじけてしまいそうなほど過酷なシーンがいくつもやってきますが、それを一心不乱に乗り越えていく姿に勇気をもらえる人も多いのではないでしょうか。痛快とも言えるただっちさんの猪突猛進ぶりにも、思わず心が動かされます。

大人になっても、夢を追うことは面白い!そんなただっちさんのまっすぐなメッセージが、いまひそかに夢をあたためている人、現状に疑問を持つ人の心にパッと灯りをともしてくれるかもしれません。


※本記事はただっち著の書籍『ただの主婦が東大目指してみた』から一部抜粋・編集しました

取材・文=河野あすみ

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