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なぜ? 歳を取った義母が思い込みが激しくなって困ります…/まいにちが、あっけらかん。(3)

高齢になると思い違いが増えたり、思い込みがはげしくなったりします。これは記憶にまつわる能力の低下と、認知(対象を認識すること)の硬さが原因です。
記憶は、「事実の記憶」と「イメージの記憶」に大きく分類できます。事実の記憶とは、実際に起こった出来事に関する記憶のこと。イメージの記憶とは、「○○だったらいいのに」「△△かもしれない」と想像したことに基づいた記憶のことです。
人は事実の記憶とイメージの記憶を現実と照らし合わせ、どちらが正しいのかを無意識に判断しているのですが、高齢になるとこの判断力が衰え、2つの記憶が混同しやすくなってしまいます。さらに、一度イメージの記憶を事実と思い込んでしまうと、否定することが難しくなってしまいます。これは認知の硬さが引き起こしている症状で、お姑さんのように、最初の思い込みをなかなか変えられないのはそのためです。

お姑さんはテレビ番組の出演者を見て、「この男女はお似合いだ。きっと夫婦に違いない」、あるいは「仲がよいからこの2人は兄弟」と想像したのでしょう。これはイメージの記憶にあたりますが、お姑さんの中では事実の記憶と混同されてしまいました。さらに、認知の硬さからそれが訂正されず、真実になってしまったことが考えられます。
テレビ時代劇「水戸黄門」が高齢者に人気なのも、同じ理由で説明できます。登場人物の勧善懲悪が明確なので、善人と悪人が分かりやすく、印籠が登場すると悪人が退治されるという展開が毎回同じです。したがって、記憶が混同することも、登場人物の第一印象が変わることもないため、高齢者は安心してテレビを見ていられるのです。
詐欺の被害にあう高齢者が多いのも同様です。「電話の声は息子だ」「この営業マンは優しくていい人」などと思い込み、最後までだまされてしまうのです。
高齢になると、思い違いを真実と確信してしまうことも増えますが、「高齢者とはそういうもの」と理解して、温かく見守ってあげましょう。
監修/佐藤眞一
大阪大学大学院人間科学研究科臨床死生学・老年行動学研究分野教授、放送大学客員教授。博士(医学)。主な著書に『ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす』(光文社新書)、『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)など。
漫画=なとみみわ、監修=佐藤眞一/『まいにちが、あっけらかん。―高齢になった母の気持ちと行動が納得できる心得帖』
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