帰省したら実家が物だらけ! 高齢者が物をためこむ理由とは?/まいにちが、あっけらかん。(5)

なぜため込んでしまうの?

高齢者が物をため込んでいると、ご家族は「こんなに物をため込んで……」と思ってしまいがちですが、本人にはため込んでいる意識はありません。これには整理整頓ができなくなっているという、老化による体力と記憶力の低下が深く関係しています。

体力が低下している高齢者は、整理整頓や掃除することをおっくうに感じていますので、生活に支障がない程度に家の中が片付いていれば、物が多くなったり、散らかっていることについてはあまり気にせず、買ってきた物をすぐに整理整頓する必要も感じていません。

さらに、高齢になると家族以外の人が家に出入りする機会が少なくなるため、他人の目を意識する必要がなくなり、「家の中を常にきれいにしておかなければいけない」という意識が薄くなっていることも問題です。

また、記憶力の低下から家に何があるか覚えていられないことも原因です。買い置きがどれだけあるかを思い出せず、買い物に出ると、そのときに必要と思った物を買ってしまうのです。

買い置きを忘れてしまう傾向

お母さんが買い物に行くたびに、ティッシュやトイレットペーパーなどを買ってきてしまうのは、これらをいざというときにないと困る生活必需品と考えているからです。お母さん自身も買い物から帰って、「家にまだこんなにあった」と気づき、買い置きを忘れてしまっていた自分に落ち込むこともあるでしょうが、「必要なときに必要な物がないよりは、あるほうが安心できる」とすぐに気持ちを切り替えてしまうので、落ち込んだことさえも忘れてしまいます。

包装紙や紙袋をいつまでも大事に保管している人もいますが、同じように過去に保管しておいた物が役に立ったという経験があり、「何かに使える」という意識が強く残っているためだと思われます。世代的にも物を捨てることに抵抗を感じ、物を大切にしたいという気持ちが強くあるからかもしれません。

いずれにしても、必要だと思ってしまう物は、買い置きしていることはすっかり忘れて、また買ってきてしまうのです。

監修/佐藤眞一
大阪大学大学院人間科学研究科臨床死生学・老年行動学研究分野教授、放送大学客員教授。博士(医学)。主な著書に『ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす』(光文社新書)、『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)など。

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