SNSフォロワー107万超…!人気料理研究家・Mizukiさんが語る「生きる希望をくれたお菓子作りの道」
とにもかくにもお菓子作りが好きです
小さいころからずっと、お菓子作りが大好きです。自分の手の中から素敵なお菓子が生まれることに達成感を味わえたり、それによって自己肯定できたりするからです。仕事が忙しいときほど、無性にお菓子を作りたくなります。ある意味現実逃避のような?
テスト前に掃除がしたくなるのと同じですね。もっというと、熱が出て仕事を休んだときなど、お菓子作りの時間ができたと思うくらい。お菓子作りは私にとって癒しのようなものなのです。
世界一好きな食べものは『あんみつ』です
子どものころ、周囲にはスーパーもない祖母の家によく遊びに行きました。『食べたいものは自分で作る』が当たり前の暮らしで、一緒に白玉だんごやおはぎ、よもぎを摘んでよもぎもちを作ったり。おやつ作りが遊びで、その時間が大好きでした。祖母はとても料理上手でしたが、なぜかゼリーと呼んでいた寒天だけはめちゃくちゃ甘く作るので、それだけはちょっと苦手でした。しかし、私が風邪をひくと、いつも父があんみつを買ってきてくれて、いつの間にかあんみつが一番好きな食べものになりました。仕事で上京すると、必ず東京駅地下街であんみつ屋さんに寄るんですよ。

人生で一番作ったのはチーズケーキです
昔、うちの冷蔵庫の上に置いてあった、スフレチーズケーキレシピの古い切り抜き。チーズケーキは母が一番好きなケーキです。私が小学生のある日、材料1gの誤差もなくレシピ通りに作ってみたら、びっくりするほど上手にできて、家族にほめられました。それがうれしくてうれしくて。それから頻繁に作り、いろんな人に配ったものです。私が今までに一番作ったお菓子は、間違いなくチーズケーキでしょう。ところがやがて、作るのは好きでも、食べるのが苦手になっていきました。気がつくと重度の拒食症に。いつの間にか、食べられないことを、作ることで消化するようになっていました。

拒食症から救ってくれたもの、それは〝マフィン〟
23歳で23㎏。いつ死んでもおかしくない状態でしたが、信頼できる先生に出会い、たくさんの人に支えられ、私は生かされました。一生懸命に寄り添ってくれる母のためにも何かしなければと、焦る気持ちでいっぱいでした。生きるしかないのなら、このままではいられない。でも歩けない、話せない、髪が抜けて人に会うこともできない。考えて考えて考えた先にあったのは『お菓子を作る』ことでした。食べられない自分が作るのはおかしいかもしれませんが、それしかできることが思いつかなかったのです。そんなとき、病院の売店のおばちゃんが「売店にお菓子を置いてみない?」と提案してくれたのです。夢のような、奇跡のようなことでした。販売初日、午前中にマフィンが売り切れたとの連絡。担当だった先生が全部買い、看護師さんたちに配ってくれたと、あとで知りました。マフィンと人のやさしさが、私に生きる希望をくれたのです。

小さなカフェをやりました
病気が少しずつ回復する中、母の友人が「ミィちゃん、カフェをやってみたら?」と。できるかどうかは考えずにやると決めて、その運営を数年間続けました。その時間はまるでリハビリのようで、人とまともに話せなかった私が、少しずつお客さんと話せるようになり、社会に戻って来られたようでした。カフェではケーキを作ったり、ランチのデザートも作っていました。
新しい世界を見せてくれた投稿アプリ
長年病気で家族に迷惑をかけてきたので、もっと何かをしなければと考えていたとき、幼馴染みに『アプリ』を教えてもらいました。検索したのはもちろん料理アプリ。いろんな料理の写真やレシピが投稿されていて、毎日ランキングが更新されます。私はここで1番になったら何かが開けるような気がしました。見よう見まねで投稿したシフォンケーキにたくさんの『いいね!』をいただき、ここで頑張ろうと決めたのでした。
この器があればきっと大丈夫!
私は本来目標があれば全力で走るタイプ。目標を見つけたことで、頭の中がそれでいっぱいになり、病気はどんどんよくなっていきました。折しも料理界はカフェブーム。おしゃれなスタイリングも人気を集めていました。そこで私もスタイリングに興味を持ち、ネットで器を探していたところ、運命の一枚に出会ったのです。「あ、これだ!」と、なんの迷いもなく買ったその器こそが幸運の女神、最高の相棒となり、今でも大切にしています。
必死になってSNSの投稿を続ける日々
目標に向かって走るのは楽しいことですが、ときには苦しく感じることもあります。どんなものを作り、どんな風に盛りつけ、どんな風に撮影するべきか、試行錯誤の毎日です。一日も欠かすことなく、全力で取り組んだ結果、お気に入りの器で、本当に1番になることができました。

『本を作りたい』が次の目標に
「本当に1番になれた……」。ある種の虚無感と同時に大きな夢が舞い降りました。「料理本を作りたい」。
もしそんなことができたら、両親がとても喜ぶだろうと思ったのです。
出版社に見つけてもらうためにブログを始め、半年ほどでその夢が叶いました。今思い返しても奇跡としか思えないような出来事で、本当にたくさんの方に支えられ、自分一人では到底できなかったことが現実となりました。あれから数年で10冊以上本を作り、第9回料理レシピ本大賞料理部門準大賞をいただくこともできました。実は、ここで大賞をとることが最後の目標でした。しかし私は準大賞、つまり2番だったのです。小さいころから1番になりたくて、1番でなければ意味がないと思っていました。でも、うれしかった。なんでも必死になり、そうでなければならないと思って生きてきて、こんなにうれしい2番は初めてでした。
いつも普通でありたい
極端な自分とは正反対な私の料理。どこまでも普通でありたくて、いつまでもそうでありたいと思っています。祖母に教わったぜんざい、母と楽しんだホットケーキ、初めて一人で作ったチーズケーキ……、どれも特別ではないけれど、その思い出はどれも幸せなものです。これからも忙しくなる度に、無性に作りたくなるのでしょう。
プロフィール
【Mizuki 林 瑞季(はやし みずき)】
料理研究家、スイーツコンシェルジュ。和歌山 県在住。「簡単・時短・節約」をコンセプトに、 身近な食材で誰でも失敗なく作れるレシピを毎 日ブログでアップし、月間300万PVを誇る人気 料理ブロガーとなる。2016~2018年に3年連続 でレシピブログアワード総合グランプリを受賞、 殿堂入りに。2022年第9回料理レシピ本大賞料 理部門準大賞受賞、フーディストアワード2022 総合グランプリを受賞。Instagramのフォロワ ー106万人(2023年1月現在)。企業のレシピ 開発、雑誌、TV、Webメディアなどで活動中。
※本記事はMizuki著の書籍『Mizukiのカンタン手作り 3時のおやつ』から一部抜粋・編集しました。
Information
おすすめ読みもの(PR)
プレゼント応募

「「ノザキのコンビーフ(80g×6 個)」」
そのままでも調理してもおいしいから、ローリングストックに最適!
メルマガ登録で毎週プレゼント情報が届く!
新規会員登録する
読みものランキング
読みものランキングをもっと見る
レシピランキング
レシピランキングをもっと見る
レタスクラブ最新号
レタスクラブ最新号詳細