弟が亡くなり、涙を流す間もないまま長い夜を過ごした。あまりにも別れは唐突で/16歳で帰らなくなった弟 外伝(2)

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目の前で何が起こっているのかわからなくなった

『16歳で帰らなくなった弟 外伝』 2話【全6話】


お酒を飲むと財布のヒモがゆるくなる父、よその子でも平気でしかり飛ばす母、素直になれない姉、そしてヤンチャだけど誰からも好かれた弟。

そんな家族の日常を変えたのは、深夜にかかってきた警察からの電話でした。
「息子さんが事故に遭われまして…。もしかしたら容体が危ないかもしれません…」

慌てて病院に駆けつけるも、そこには冷たくなった弟がいました。よくよく聞くと、警察が電話してきていた時には亡くなっていたという衝撃の事実が…。

大反響だった本編『16歳で帰らなくなった弟』では描かれなかったエピソードをご紹介します。


頭が現実に追いつかない時

受け入れがたい現実を前に

死んだら終わりよ

そのとき初めて母は号泣した


「16歳で帰らなくなった弟」の著者のきむらかずよさんに、当時の心境、そして今改めて思う事についてうかがいました。

――警察から「息子さん(弟さん)の容体が危ないかもしれません」と連絡があったとき、どのようなことを想像され、そのような気持ちで病院へ向かわれていたのでしょうか…。

きむらかずよさん「事故にあい、いろんな機械に繋がれて、生きてると思っていました。
全く疑わず生きてると思ってました。病院に向かう間、父とは、一言も会話をしませんでした…」

――病院で警察に事情を聞かれた時、印象的だった出来事があれば教えていただけますでしょうか。
きむらさん「父が電話番号を聞かれていたことを覚えています。
でも、父は、動揺が大き過ぎて、電話番号を忘れてしまっていました」

――交通事故の報道は日々あります。そういったニュースを目にして思うことはどのようなことなのでしょうか。
きむらさん「新聞の片隅に乗用車とバイクの事故の記事を見つけると、胸がギュッとなります。
バイクの運転手が10代だったりすると、その家族を思います。
書籍を出版していただいてからは、事故で亡くなった方だけでなく、命をとりとめても障害が残り、事故の後遺症で苦しんでいる方からのお話を聞かせていただくこともあります。
そしてその事故によって苦しむ家族も。
事故は当事者だけでなく、まわりも本当に辛いんだということを実感します。」

連日の事故の報道の裏には、その人を大切に思う家族がいるということ。
そして、事故はある日突然起こって、自分が死んでしまったり、自分から大切なものを奪うかもしれないということ。
きむらさんの言葉は、当たり前のように日々を過ごす私たちに、いかにその生活が当たり前じゃないかという気づきを与えてくれます。
忙しい毎日につい忘れがちですが、時には立ち止まって、大切な人たちが無事であることのありがたさを考えたいですね。

著=きむらかずよ/『16歳で帰らなくなった弟 外伝』

【著者プロフィール】
きむらかずよ
イラストレーター。小学1年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は3人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」にてデビュー。

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