「知らない誰かに連れてこられた!帰りたい!」老人ホームでパニックを起こした父が毎日電話を…カータンさんが介護の現実に直面した時

#くらし   
きちんと事前に説明してくれればいいものを

月間800万アクセスの大人気主婦ブロガー・カータンさん。認知症の母と目の見えない父の暮らしに危機を感じた昨年、本格的な親の介護を経験されました。
80代半ばにさしかかった親の老化は待ったなし。両親のケアをどうしたらいいのか、自分たちだけでは解決できないことばかり。そんな手探りの介護の日々を追ったリアル介護コミックエッセイ『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』では、カータンさんと2歳年上の姉・かおさんががっちりとスクラムを組み、初めての親の介護に奔走する日々を振り返っています。

ママのことを頼んだよ


体に不自由は出てきたものの、まだ介護が必要というレベルではない…そんな「健康以下、介護未満」だった時期から数年が経ち、「介護ど真ん中に突入!」と実感するほど、ご両親の老いを目の当たりにしたカータンさん姉妹。緑内障で視力を失っていた父は急に足腰が弱り始め、1人でトイレに行くのもおぼつかない。そんな父の日常生活を支えていた母の認知症もさらに進み、物忘れが深刻化。もう両親だけの2人暮らしは困難と判断したカータンさん姉妹は、父の老人ホーム入居へと舵を切りました。

父にも私たちにも一番いいのは

施設にどうやって入る?お金はどのくらいかかる?そもそも父はホームに入ってくれる?家に残る母は1人で大丈夫…?初めて知ること、調べること、解決することだらけの毎日は、二人三脚で介護に取り組んだ姉・かおさんと泣き笑いの連続だったといいます。そんな奮闘の日々を、カータンさんにお聞きしました。

パパは?どこに行ったの?


父が老人ホームのショートステイへ。すぐに直面した問題とは

──ホームの入居にあたり、お試しのために「ショートステイ」をすることになっていましたね。入居にはお父様も納得し、「友達たくさん作って歌もバンバン歌っちゃうぞ」と前向きな発言をしていたり、盛大な送別会をして明るくショートステイ生活に入ったけれど、混乱したお父様が毎日のように電話をかけてくる…というエピソードが描かれていました。ホームへショートステイされる前後、入居が確定するまでの間、正直ここがとてもしんどかった…という場面はありましたか?

カータンさん:目の見えない父が新しい環境で混乱して、せん妄ワールドに突入してしまったのはしんどかったことのひとつです。毎日電話がかかってきて、「(せん妄ワールドの)大変なところに連れてこられた!帰りたい!」とずっと訴えてくるんです。もしショートステイの期間で帰されて入居にならなかった場合、また帰ってきた父が混乱するのではないかという心配もありました。なので、何とか本入居にこぎ着けたいと願っていました。

パパのせん妄がひどいんだって


介護を経験して実感「いま私が親の介護で困っていることは、やがて娘たちも困ること」

──高齢の親と接していると、つい自分自身と重ねてしまって感傷的になってしまう場面が多々あったかと思います。カータンさんご自身も娘さんたちがいることで、自分が介護される側になったころの娘さんたちとの関係に思いを馳せたりすることも多いかと思います。実際の介護を経験されて、具体的に自分の老後や介護期などはこうありたい…と考えが変わったことや、明確になったことなどはありますか?

カータンさん:今は「子どもに面倒はかけたくない!」と思ってます。思ってるけど、どうなるかわからない(笑)。というのも、うちの親も同じことを散々言ってきていたので。だから、「今親のことで私が困ってることは、やがて自分の娘たちが困ること」と思うようにしてます。そのために予防策というか、今からできることはやっていこうと。できるだけ、「子どもの困った」を減らせるように。お金のこと(貯金、不動産、株など資産含め)、延命治療、免許返納時期など、先に伝えておいたほうがいいことはメモしています。

私の老後資金が尽きたら



ストレスが生じやすい介護。グチを吐き出すことも大事!

──いつまで続くかわからない先の見えない介護では、介護する側の休息も大切と聞きます。カータンさんご自身はどんな息抜きをしたり、自分へのケアをされていましたか?また現在もされている息抜き方法などはありますか?

カータンさん:とにかく溜め込まないことですね。ムカッとしたことは、誰かに吐き出し、聞いてもらう。誰でもいいわけではなく、やはり状況がわかっている身内とか同じ状況にいる人とか。そうじゃない人に相談すると、相手もわからないし、負担になってしまうと思うので。あとは、現実逃避で映画を観たり、本を読んだり。そのことを考えない時間を作ることも大事だと思います。

私はどんな世界に迷い込むだろう?


親の悪口もたくさん言い合った!姉の存在に救われた日々

──お姉さまと二人三脚で取り組まれたご両親の介護。いま振り返ってみて、とくに思い出に残っている場面や、会話などはありますか?

カータンさん:姉とは言いたいことを、たくさん言い合いました。親の悪口もたくさん言った(笑)。母が認知症初期の頃、「一人になりたい」と、口を開けばネガティブなことばかり言って、こちらのメンタルが病みそうになった時期もありました。そんなとき、実家からの帰り道で姉と「誰も止めてねーわ!」と夜空に向かって暴言を吐いてました(笑)。同じ立場だからお互いの気持ち(本心で言ってない)が理解できたし、溜め込まないで、すごく救われました。

はい?


──読者の方へのメッセージをお願いできますでしょうか。

カータンさん:私たちも最初は、親の老いを目の前にどうしたらいいのかわからず迷いました。今なら、迷わずこう言います。まずは「地域包括支援センター」へ。親身に相談に乗ってくれます。日本の介護制度は、本当に素晴らしいです。一人で抱え込まないで、たくさんのプロが手を差し伸べてくれますので。

涙が止まらない


  *    *    *

親の介護は直接、間接的問わず誰もが直面すること。いざ何から始めたらいいのかと動揺してしまったり、親の老化に戸惑って冷静な判断ができないかもしれません。身内の問題だからと背負い込みすぎたり、孤立してしまうのは介護する側の大きな負担になってしまいます。
専門機関への相談や介護サービスを積極的に利用するなど、いろんな介護の選択肢があるということを知っておきたいもの。そしてまた自分が高齢者となったとき、自分の子どもたちにはどんなふうに「親の介護」と向き合って欲しいか…。カータンさん姉妹の介護経験に触れることで、いつかくる「もしも」に備えておきたいですね。

取材・文=河野あすみ

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