入道雲は積乱雲じゃない? 「雄大積雲」と積乱雲の見分け方/雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑(6)

「すごすぎる天気の図鑑」シリーズでおなじみ! 映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎さんが教えてくれるのは、数ある気象現象のなかでも観察しやすく、いつも違う姿を見せてくれる「雲」のお話。
ふとした瞬間に空を見上げるのが楽しくなる、雲にまつわるとっておきのネタをお届けします!
※本記事は荒木健太郎著の書籍『雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
雄大積雲と積乱雲の見わけ方
よく入道雲は積乱雲と思われがちですが、分類上は積雲の種である雄大積雲です。そもそも入道とは仏門に入ったお坊さんのことで、入道雲の名前の由来は坊主頭のお坊さんや大入道という坊主頭の妖怪に姿が似ているからだそう。そこで、雄大積雲と積乱雲の見わけ方を紹介します。
まず、雄大積雲は並積雲などが発達してモクモクと上空へ成長した雲で、頭が丸いのが特徴です。一方、積乱雲には2つの種があり、雄大積雲と似ているのが無毛積乱雲です。無毛積乱雲は、発達できる限界の高さにほとんど達しているため、雲頂が雄大積雲に比べてやや平らになっています。雲頂に髪の毛のような繊維質な構造が見られれば多毛積乱雲で、多くはかなとこ雲を伴っています。
雄大積雲と無毛積乱雲は見た目がほぼ同じ場合もありますが、雷の光や音、降雹があれば積乱雲と判別できます。雄大積雲は無毛積乱雲から多毛積乱雲へと成長するので、その変化を眺めても楽しそうです。
雄大積雲

モクモクと成長する雄大積雲。坊主頭がチャームポイント。
無毛積乱雲

まるで山が連なっているかのような存在感がある。頭に毛は生えていない。
多毛積乱雲

雲頂に毛が生えている。発達できる限界の高さに達し、かなとこ雲ができている。
雄大積雲・無毛積乱雲・多毛積乱雲の比較
雄大積雲

・モクモクの坊主頭
・成長途中
・雷や雹はない
無毛積乱雲

・頭がやや平で毛はない
・頭はほぼ限界の高さ
・雷や雹がある
多毛積乱雲

・頭は平で毛がある
・頭は限界の高さ
・雷や雹がある
雲の豆知識
以前、夏に沖縄へ行ったとき「沖縄の雄大積雲はマジで雄大だな!」と感じました。亜熱帯気候で雄大積雲が発生・発達しやすく、対流圏界面も本州より高いので、雄大積雲の背も高いのです。沖縄の雲、素敵です。
著=荒木健太郎/『雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑』
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