「150万のブランドバッグが欲しい!」買っても買っても欲しくなる「物欲」が強い人こそ絶対してはいけないこと
150万円の入手困難な高級バッグが欲しい…!ある1人の女性がハマったのは「ブランドのパトロール」という、知る人ぞ知る世界。そのきっかけは、家事の合間に何気なく見たSNSの”映え写真”でした。
夫に内緒で超高額なブランドを「推し活」するために、徹底的な家計の節約、昼夜問わずの情報収拾など、ものすごい努力に励むという主婦の衝撃の買い物エピソード『150万のバッグが欲しい主婦の 夫に内緒の買い物日記』。もともと人気ブロガー「エレパトちゃん」が綴っていたブランド沼体験から着想を得てコミカライズされたセミフィクションです。「これぞまさしく沼!」「私の事かと思った!」など共感のコメントを多数集め、話題となりました。
【ストーリー】 家事の合間に何気なくSNSを見ていた主婦・パト香。無数に流れてくる映え写真の中で目に留まったのは、ひときわ輝きを放つハイブランドの最高峰バッグとともにほほえむ女性たち。簡単には手に入らないというそのバッグは、世界的に生産数も少なく、めったに出会えないという幻のアイテム。そして画像には必ず「#エレパト」の文字が。それはハイブランド中のハイブランドをパトロールするためのハッシュタグだったのです…。
プロフィールを覗けば、自分とそう変わらない同世代の主婦たち。「なぜこの人はこんな高級品を持てる?」「私もほしいけど高くてとても手が届かない…」そんなひとりごとを漏らしつつ、最初は人々の投稿や界隈のやりとりを、ただ「見ている側」だった主人公。パト香。しかしいつしかその熱量に感化され、パト香自身も「150万円のバッグを手に入れたい!」という衝動に突き動かされるようになり、家族にはナイショの「エレパト」作戦が始まって…。
「私も欲しい!」身の丈に合わない買い物をしてしまうのはなぜ? 心理カウンセラー・白目みさえさんに聞いてみた!
ひと昔前は、欲しいと思ってもお店にわざわざ出向かなければならなかったけれど、いまはすぐにネットでワンクリックすれば買うことができる時代。SNS全盛のいま、自分の気になるもの、好きなものを「推す」生活は、誰しも経験があると思います。しかしあまりに影響を受けすぎて物欲が暴走してしまう心理はちょっと危うい…。
SNSや人に流されず「お買い物を楽しむ」心の保ち方はどうしたらいいのでしょうか? 気になった疑問について、今回心理カウンセラー・白目みさえさんにお話を伺いました。
白目さんは精神科の心理カウンセラーを本職とする傍ら、最新作『子育てしたら白目になりました』などを描く人気コミックエッセイストとしても知られています。
──他者に憧れるあまり、身の丈に合わない買い物をしてしまうのは、先々の生活も不安になりますし、ハマってしまうかもしれない!?という怖さも感じます。どうしても欲しい!という、買い物にのめり込んでしまう心理について教えてください。
白目さん:誰かが持っているものに対して「いいなあ、私も欲しいなあ」と思うのは自然な流れだと思いますが、「何が」欲しくなっているのかが気になりました。その「バッグ」が欲しくなったのであれば買えば満足できるでしょう。分割で払ったとしても、一時的に貧困に陥ったとしても、最終的には後悔する可能性は少ないのではないかと思います。
しかし、その「バッグ」が「自由に買える生活」や「素敵なものをいくつも持っている状況」や「持っているというステータス」が欲しいと思っている場合は、恐らくバッグを買っただけでは満足できません。「バッグ」はその方が望む「本当に欲しいもの」の一部に過ぎないからです。ただし本当ならもっともっと大きなものを手に入れたいはずなので、「バッグ」が多少高価であったとしても、「このくらいは良いでしょ」と思い、「購入」に至ってしまうのではないでしょうか。
物欲が激しい原因は〇〇!? 物欲が強い人こそやってはいけないこと
──パト香は独身時代の貯金を使ったり、節約で乗り切っていますが、行き過ぎた物欲でお金を使い過ぎてしまって借金生活に…という悪循環に陥ってしまう前に、自分の物欲にセーブをかける方法など、具体的にどんなものがあるのでしょうか。
白目さん:基本的に物欲が激しい時というのは、ストレスが溜まっている時だと思われます。クレジットカード、ネット決済、通販などお買い物がしやすくなった昨今なので、買い物そのものから距離を置くのはかなり難しいかもしれません。ただそれでも、クレカをやめてデビットにする、できるだけ現金決済にする、家計簿をつける、カートに入れてから一日置く…などの工夫でかなり緩和されると思います。
一番良くないのは「もう買い物を絶対しない」と決意して「買いたい欲」を抑え込んでよりストレスを溜めることです。人の心は何かを我慢すればするほど、後で大きく跳ね返ってきます。そこで「買わないようにする」と決意するのではなく、周りに迷惑をかけない範囲で「◯円まで買う」と考えるようにしてみてください。「◯円以上は買わない」ではなく「◯円まで買える」と意識するだけでも「買いたい欲」が満たしやすくなると思います。
罪悪感を持ってしまう人も散財してしまう人も「上手に買い物を楽しむ」コツ
──結婚してパートナーと暮らしはじめたり、さらに子どもが生まれて家族の暮らし、となると、お金のやりくりについてもそれぞれ事情が出てくるかと思います。「家のお金」で自分の物は自由に買いづらいと思ったり、逆に「家のお金」ということで気持ちが大きくなって散財をしてしまう、という人もいるかも知れません。上手に「買い物を楽しむ」ために必要なマインドを教えてください!
白目さん:正直なところ「決意」するくらいでは人の行動はほとんど変わりませんので、環境を変えた方が早いと思います。その一例として、「自分のお小遣い」を決めてみてはいかがでしょうか。
自分の子どもを見ていると、親が払うとわかっていれば「あれが欲しい」「これが欲しい」と騒ぎ立てますが、「いいよ、お小遣いで買いなさい」というと途端にしおらしくなることも。逆に自分のお小遣いで買ったものは何を買っても私は文句を言わないので、適度な無駄遣いもしています。つまりそこまで欲しくないものは我慢ができ、本当に本人が欲しいものを買えている状況といえます。
「家のお金」だと思うと自由に使えないと思って、お金を使うことに罪悪感を持ってしまう人も、「家のお金」だからこそ気持ちが大きくなる人も、「自分のお金」という制限を作ればどちらも緩和できるのではないでしょうか。具体的には自分の口座を分けて生活費から決めた額を頂戴し、そこから引き落とされるクレジットカードを作るといった方法です。そうやって「自分のお金」の範囲を決めてお買い物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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自分には手の届かない物が無数に表示されるSNS。深夜のテレビショッピングや、大人買いしたくなる倉庫型店舗。物欲が刺激される情報があふれる今だからこそ、買い物スイッチを上手にコントロールすることが肝心です。白目さんのアドバイスを参考に、自分の性格や暮らしに合った、楽しめる買い物スキルを身に付けたいですね。
【白目みさえさんプロフィール】
臨床心理士・公認心理師。心理カウンセラーとして精神科に勤務。漫画家としても活動。近著「子育てしたら白目になりました」が好評
取材・文=河野あすみ
Information
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