家電専門店ノジマでは81歳の女性が活躍中! あなたは将来のキャリアをどう考える⁉️

#くらし   
家電専門店ノジマの80歳以上雇用継続者第1号の熊谷恵美子さん

ひと昔前、多くの企業の定年は60歳でした。ところが高齢化が進む中で「高齢者雇用安定法」が改正され、2012年には「希望者全員の65歳までの雇用を義務化」(2013年施行)、2020年には「70歳まで働く機会の確保を努力義務」(2021年施行)と変化してきました。
 
企業側もこの法改正に対応し、サントリーホールディングス(株)では2020年4月に「65歳以降再雇用制度」を導入して9月から再雇用契約を開始。

家電専門店のノジマでは、2020年7月にこれまで65歳だった定年後の再雇用契約を、80歳まで延長できる制度を導入しています。

※本記事は、熊谷恵美子著の書籍『81歳の家電売り場店員 接客は天職です』から一部抜粋・編集しました。


さらにノジマでは、「80歳以上の雇用契約者第1号」の女性も誕生。2021年10月に80歳を迎えたときのことを熊谷恵美子さんは、こう話します。

「再雇用者の定年は、65歳や70歳の会社が多いなか、ノジマは珍しく長く働ける会社ですが、とうとう私は、その延長上限を迎えてしまったのです。

当時一緒に仕事をしていたイオンモール川口前川店の店長から、『熊谷さん、どうするの?』と聞かれ、私は『定年ですよね』と答えました。
すると店長は、こんなことを言ったのです。

『自分でやれると思ったら、続けていいんですよ。社長も、『ご本人が元気で生き生きと働けるなら、何歳まででも働いてもらったらいいんじゃない』とおっしゃっていますから』

驚きました。自分にできることがある限り、働き続けたいと思っていましたし、私がノジマで働き続けることで、少しでも次に続く人の道が開けたらという思いもあったので、仕事を続けさせてもらうことにしました」

81歳の今も、バイク通勤で週4日勤務

商品の品出しと、同年代のお客様を中心とした接客を担当しています

こうした定年延長の背景にあるのは、少子高齢化による人材不足や年金支給年齢の引き上げ、そして、「人生100年時代」と言われるように、日本人の健康寿命が伸びたこと。
今後も、企業の定年延長は確実に進んでいくはずです。

「先日、NHKの取材を受けました。『年金が年々少なくなっていく世の中で、仕事を続けるシニア層が増えている』という特集でした。

私たちの世代はまだ年金が出るのでしょうが、私の娘の世代、孫の世代には、どんな年金制度になっているのだろうかと不安になります。
もちろん私も、年金が十分とは言えません。

もし私が60歳で仕事を辞めてしまっていたら、いまのような生活はできなかったでしょう。でも、60歳から10年間でも、15年間でも働き続けることができれば、自由な暮らしができる程度のお金は貯められると思います」と熊谷さん。

子どもの頃から親戚の呉服店で店番や接客の仕事を手伝い、手に職をつけて自立したいと編み物講師の仕事をし、結婚後は子育てに追われながらも編み物や洋裁の内職を続けてきた熊谷さんが、フルタイムで働き始めたのは、子育てが一段落した40代半ば。

バブル崩壊やリーマンショック後の不況で転職を経験しても、「人に喜ばれることが好き」と仕事を続けてきた熊谷さんにも、一度だけ、「これ以上仕事を続けられない」と思ったことがあると言います。それが、夫の介護。

悩む熊谷さんを救ってくれたのが、
「介護だけをしていたら自分が疲れ切ってしまうから、まわりの力を借りて仕事を続けたほうがいいですよ」
というかかりつけ医の言葉だったそうです。

「介護のために仕事を辞める人もいるでしょう。でも私は、仕事という自分の居場所があったから、7年間も介護ができた。

一日中家にいて、認知症が進行していくだけの夫の介護をしていたら、途中でギブアップしていたと思います。

認知症の介護は、平均7、8年だと言われます。長いです。
高齢者がますます増えていく日本で、介護をしながら仕事を続けられる、働きやすい会社が増えてくれるといいと思います」と熊谷さん。

人生100年時代。長い人生、何が起こるかわかりません。

「人間、最後は一人で死んでいくのですから、最後まで一人で、しっかりと生きていく覚悟が必要です。
認知症にならないように健康管理をし、自立できるように仕事も続けていたほうがいいと思います。

80年も生きていれば、人間何かしら得意なことがあるもの。
それを生かして仕事ができているのは本当に幸せなこと」と人生の先輩は言います。

40代半ばから15年間、呉服店で販売の仕事をしていたので、着付けはお手のもの。毎年、初売りでは若いスタッフの晴れ着の着付けを担当。着付けのほか、ギフトラッピングも得意で、若いスタッフから頼られている熊谷さん

いまのうちから自分の得意を増やしておくこと。
できるなら、自分の天職と思える仕事を見つけられたら、いつまでも仕事を続けることができるはず。
人生100年時代のキャリアプラン、考えてみませんか。

【著者プロフィール】
熊谷恵美子
1941年生まれ、埼玉在住。「家電専門店ノジマ」の80歳以上雇用継続者第1号。親戚の呉服店での接客、ブラザーの編み物講師を経て、40代半ばで呉服店の販売職に。59歳で家電業界へ転職。勤務69歳からノジマに勤務。

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