ニセの花粉で虫を誘惑!? サルスベリに2種類あるおしべの役割とは/すごすぎる身近な植物の図鑑(2)

普段何気なく目にしている草木や花には、命をつないでいくためのすごい生態や、ユニークな特徴がいっぱい!
そんな面白さを教えてくれるのが、植物のガイドや写真家として活動する植物観察家の鈴木純さん。誰でも見られる身近な植物にスポットを当て、探し方から観察方法、知っていそうで意外と知らないトリビアまで分かりやすく解説。知れば植物への興味が深まる内容ばかりです。
花だけでなく、葉やタネ、根や茎にも注目したくなる、植物観察の楽しみ方を紹介します。
※記事は、関東圏で実際に観察した記録をもとにしています。地域によっては見られない植物があったり、観察する時期にずれがあるなどの可能性があります。
※本記事は鈴木 純著の書籍『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』から一部抜粋・編集しました
ニセの花粉で虫を誘うサルスベリ
ミソハギ科 サルスベリ属
見みられる時期:7〜10月
見みられる場所:街路樹、公園、庭
花にたくさんのおしべが!
夏が近づくころに、ピンク色の花をたくさん咲かせるサルスベリ。漢字では「百日紅」と書く通り、次から次へと花が咲くため、夏から秋にかけての長い期間、花を楽しむことができます(写真①)。

夏の植物観察では外せない植物ですが、やっかいなのはこの花のつくり。よく見てもなにがどうなっているのかよくわからないのです(写真②③)。


どんな花のつくりになっているか観察してみましょう。


花火みたいな花びらにたくさんのおしべ
サルスベリの花びらは、線香花火がチチッと散るときのような姿に見え、とても美しいです。今回はその中心に注目です。
花を横から見てみると(写真⑤)、その中心からたくさんのひも状のものが出ていることがわかります。そのかたちもさまざまで、【A 先端に黄色い円盤のようなものがついているもの】、【B それよりも長く、先端が黄色ではないもの】、【C Bのなかに交ざって1本だけ先端の色とかたちが違うもの】の3種類があります。このうちCはひとつだけ明らかに違う存在感なので、めしべです。では、AとBは??

どちらが受粉用のおしべ?
じつはサルスベリには2種類のおしべがあり、花粉にも違いがあることが知られています。よく目立つAのおしべから出る花粉には受精能力がなく、目立たないBのおしべから出る花粉のほうが受粉に使われるというのです。
Aのおしべの花粉は受粉に使われなくても、よく目立つので虫を集めます。虫がこのニセの花粉を集めていると、その体には目立たないBの花粉がひそかにくっつきます。知らず知らずのうちに、虫は受粉に使われる花粉を運んでいくというわけです。

花が次々に咲くので、落ちた花びらがピンクの絨毯をつくる。

花が咲いた枝。満開かと思いきや、まだまだつぼみがたくさん!
【豆知識】
幹がツルツルで猿もすべりそうなことから「サルスベリ」という名前がつきましたが、実際には猿はすべらないそうです。わたしも見たことはありませんが……。
著=鈴木 純/『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』
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