まるで空を埋めるジグソーパズル! ケヤキの林を見上げてみよう/すごすぎる身近な植物の図鑑(3)

普段何気なく目にしている草木や花には、命をつないでいくためのすごい生態や、ユニークな特徴がいっぱい!
そんな面白さを教えてくれるのが、植物のガイドや写真家として活動する植物観察家の鈴木純さん。誰でも見られる身近な植物にスポットを当て、探し方から観察方法、知っていそうで意外と知らないトリビアまで分かりやすく解説。知れば植物への興味が深まる内容ばかりです。
花だけでなく、葉やタネ、根や茎にも注目したくなる、植物観察の楽しみ方を紹介します。
※記事は、関東圏で実際に観察した記録をもとにしています。地域によっては見られない植物があったり、観察する時期にずれがあるなどの可能性があります。
※本記事は鈴木 純著の書籍『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』から一部抜粋・編集しました
ケヤキの林はまるでジグソーパズル!
ニレ科 ケヤキ属
見みられる時期:5〜11月
見みられる場所:公園、街路樹
視点を変えると、見え方が変わる
大きな木の下に入ると、日向よりも涼しく感じます。そこが日陰になっているからです。それでは、木々の枝葉はどのように太陽光を遮っているでしょうか。ケヤキの林を見上げてたしかめてみます。
すると、頭上には写真①のような光景が広がっていました。細切れになった枝と葉っぱの塊が並び、まるで空を埋めるジグソーパズルのようになっています。とてもきれいなのですが、これは一体なにがどうなっているのでしょうか。



枝葉が譲り合っている?
この現象は「クラウン・シャイネス」と呼ばれることがあります。直訳すると「内気な樹冠」といったところでしょうか。「樹冠」は樹上に広がる枝葉の層を指すので、内気な枝葉といってもよさそうです。
この言葉が示す通り、木々の枝葉は互いにふれないようになっていて、まるで空間を譲り合っているように見えます。こうなっていれば、隣り合う木と空間を融通し合い、それぞれが太陽光を集めることができます(写真③)。言葉で相談しているわけではないのに、自然とこのようなかたちができることは興味深いです。

クスノキでも、このように観察できる。
今度は孤立木を探してみよう
孤立木のイメージ

樹木は、まわりに空間を遮るものがなければ、枝葉を大きくのばします。こうした木を「孤立木」と呼びます。同じ種類の木でも、林のなかで密生するときと、孤立して立つときとでは大きく樹形が変わるので、両者を比較するとおもしろいです。
ですが、孤立木を見る機会は多くありません。日本では、木が単体で生えることは少ないからです。身近な環境で孤立木を探すなら、広めの公園がおすすめ。広場の中心に1本だけ木が生えていることがあるので、それを探してみてください。

冬の林を見上げると、空間を埋める枝ぶりをよく観察できる。
【豆知識】
「枝葉を譲り合う」と表現すると素敵な話に聞こえますが、「日光を獲得するための厳しい競争の結果」と表現すれば、「植物の世界も過酷なんだな……」と感じられます。
著=鈴木 純/『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』
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